秋冬期の温暖な気候を活かし、露地栽培による高品質な豆類を生産

産地訪問
JAいぶすき 農産部営農課の別府昭吾次長(左)、えんどう部会の西山昭二部会長(右)

そらまめ、スナップえんどう、グリーンピースなど豆類で、日本屈指の生産量を誇るJAいぶすき。海沿いの産地を車で走っているとあちこちに豆の圃場が見えてきます。年間の平均気温18~19℃と温暖な気候に恵まれた管内の豆類への取り組みについて、同JA農産部営農課の別府昭吾次長と、えんどう部会の西山昭二部会長にお話を伺いました。

まず、豆類の栽培が盛んになった背景からお聞かせください。


別府次長:
冬期の平均気温が12~13℃と秋冬期が温暖なので、露地栽培での豆類生産が可能で、作付面積が拡大しやすかったことが大きな要因です。それと、土質が適度に石を含んだ礫土なので水はけに優れ、豆類の栽培に向いていることもその理由のひとつだと思います。

豆類の生産では、どのような課題がありますか。


西山部会長:
豆は連作障害を起こしやすい作物なので、いかにそれを抑えるかが課題です。この管内は場所によって霜害を受けやすい地域があるので圃場をローテーションしにくいという事情があります。だから、連作障害を軽減するために、収穫後に緑肥を植えてすき込んだり、作付の1ヵ月前に土壌消毒を行ったりして対策を講じているんです。

また、霜害についてですが、私自身も霜によって豆がやられてしまい、収穫ゼロに近い年もありました。そんな霜害が多い時期でも、部会員が協力し合うことで、産地として市場から厚い信頼をいただいています。

【そらまめの圃場。足元の土は適度に石を含んでいた】

そらまめの圃場。足元の土は適度に石を含んでいた

【取材時はそらまめの収穫が行われていた】

取材時はそらまめの収穫が行われていた

JA管内産の豆類のセールスポイントについて教えてください。


西山部会長:
当産地の豆類の三本柱は、そらまめ、スナップえんどう、グリーンピースです。最大の特徴は、自然豊かな環境を活かし、露地栽培で育てることで生まれる、その甘み。気温が低い1~3月は豆類が自分の身を守るために、植物体のでんぷんを糖に変えることで甘みが増します。

この露地栽培体系によって冬期に糖度の乗った豆が出荷でき、消費者や市場から高い評価をいただいています。

豆づくりで苦労される点や栽培のポイントについて教えてください。


西山部会長:
毎年、土壌診断を行い、緑肥のすき込みや適切な施肥を実施しています。また、豆は朝・昼・晩と時間によっても状態が変わってくる作物なので、常に圃場や豆の状態をじっくり観察することも重要ですね。

特に9~10月はそらまめの定植やスナップえんどう、グリーンピースの播種といった作業に加えて、病害虫防除、台風の対策なども重なり、大変です。この時期は暑いので、適期に芯止めなどの管理作業を行うことで、豆にストレスをかけないような配慮が必要です。

豆類の防除にアファーム乳剤をお使いだそうですね。


西山部会長:
アファーム乳剤は発売当初から使っています。そらまめ、スナップえんどう、グリーンピースと豆類に幅広く使えるから助かりますね。例えばそらまめは、台風対策の風よけとして寒冷紗をかけるのですが、密閉された中でハモグリバエが繁殖してしまうので、寒冷紗をかける前には必ずアファーム乳剤を使うようにしています。皮ごと食べるスナップえんどうは、特に薬害には気を使うので、薬害の出ないアファーム乳剤は安心して使えるんです。

また、そらまめでは、生育期後半の12月ごろに灰色かび病予防としてセイビアーフロアブル20を散布します。この剤も薬害の心配がなく、灰色かび病への効果が高いので安心して使えます。

今後の取り組みについてはどのようにお考えですか。


西山部会長:
グリーンピースの「まめこぞう」という新しい品種に注力していきます。この品種は、収量性と食味の高さを兼ね備えており、鹿児島県ブランドとして推進中です。

これまでのグリーンピースといえば子供さんから敬遠されがちですが、「まめこぞう」は甘くて食べやすいので、ぜひ子供さんたちにも、食べてもらい豆好きになってほしい。そんな想いでいっぱいです。

JAいぶすき 農産部営農課の別府昭吾次長(左)、えんどう部会の西山昭二部会長(右)

 

 

 

 

 

JAいぶすき 農産部営農課の別府昭吾次長(左)、えんどう部会の西山昭二部会長(右)