甘さとコクが自慢の特産品「三ヶ日みかん」。ブランドを守る設備と防除に抜かりなし。

産地訪問
甘さとコクが自慢の特産品「三ヶ日みかん」。ブランドを守る設備と防除に抜かりなし。

日本でもトップクラスの日照量を誇る静岡県浜松市。なかでも三ヶ日みかんは地域の特産品として古くから愛され続けています。日本有数のみかん産地としての取り組み、品質向上に向けた防除について、三ヶ日町農協営農柑橘部柑橘課の成澤和久課長補佐にお話を伺いました。

甘さとコクを兼ね備えた味わいが三ヶ日みかんの魅力


三ヶ日みかんの特徴をひとことで言うと「甘さとコクを兼ね備えた味わい」です。豊富な日照量が糖度を向上させ、水はけの良い土壌が濃厚なコクを生み出します。この地の利を活かすため、この地域のみかん園は日当たりの良い南傾斜面に広がっています。

三ヶ日町農協管内では早生・晩生の温州みかん、かんきつ類を栽培しており、この土地に適した代表品種が晩生の「青島温州」。そして、この青島温州の中でも高級品として、人気を博しているのが貯蔵みかんです。

「みかんは貯蔵により熟成させることで果肉中のクエン酸が分解されて酸味のカドがとれるとともに、水分が蒸散して味が濃厚になります。生産者は各自で貯蔵庫を所有しており、12月に収穫した青島温州を薄い木箱に入れ、長いものでは4カ月にわたり熟成させます。みずみずしさを保ちつつ、まろやかで芳醇な甘味を引き出す熟成技術は、まさに匠の技といっても過言ではありません」とのこと。

【木箱で貯蔵される青島温州。貯蔵庫は温度約8度、湿度85%程度を維持】

木箱で貯蔵される青島温州。貯蔵庫は温度約8度、湿度85%程度を維持

 

2つの機能性表示食品として受理された三ヶ日みかんの健康への効果


「みかんには1個あたり約35mgのビタミンCが含まれており、3個食べれば1日の必要量をまかなえるといわれています。また、みかんの内側の皮には食物繊維が豊富に含まれており、悪玉コレステロールの上昇を抑える効果があります。さらに、代謝や老廃物の排泄に大きな役割を果たすクエン酸、毛細血管を保護して血管を強くし脳卒中の予防に効果があるといわれるフラボノイド化合物を含む健康食品として注目が集まっています。」とみかんが持つ健康食品としての側面を紹介いただきましたが、実は三ヶ日みかんはそれだけにとどまらず、「機能性表示食品」として受理されているそうです。

「三ヶ日みかんにおいては、骨の健康に役立つ『β-クリプトキサンチン』が含まれていることから、2015年に三ヶ日みかんの早生温州と青島温州が生鮮食品で初めて機能性表示食品として、2020年には高血圧改善の効果が期待される『GABA(ギャバ)』を含有する機能性表示食品としても受理されています」。

美味しいだけでなく健康にも貢献してくれるみかんをより多くの方に食べて欲しいという産地の願いを強く感じさせてくれました。

日本最大級の規模と最先端のAIを導入した選果場を新設


三ヶ日町農協では2021年11月、日本最大規模を誇る新しい選果場を竣工されました。多様化する市場ニーズへの対応や、生産者の選果にともなう労力軽減、さらには品質向上が大きな狙いだったそうです。

【延床面積は2万2400m2と日本最大規模を誇る三ヶ日町農協の柑橘選果場】

延床面積は2万2400m2と日本最大規模を誇るJAみっかびの柑橘選果場

「現在、みかんの市場では品質やサイズの違いだけでなくパッケージングの形態も細分化されています。かつて、みかんは箱での販売が一般的でしたが、スーパーの売り場を見れば今ではビニール袋での少量販売が主流になっていることがおわかりいただけると思います。多様化するニーズに応じた製品規格が必要になり、同時に様々な選果ラインを設ける必要があったのです。」

つづけて、「従来はみかんをランク分けするために家庭で2回の選果をしていたのですが、それが一度で済むようになったことも大きなメリットです。さらには、被害果や障害果をAIに学習させることで、生産者ごとの病害虫別被害率を推定することができます。これにより、次年度生産に向け生産者に寄り添った営農指導が可能です」と最先端技術についてもご紹介いただきました。

【全長約80mのコンベアを28条設置した選果場。AIの導入も話題に】

全長約80mのコンベアを28条設置した選果場。AI(人工知能)の導入も話題に

多様な害虫が発生するとき、幅広い害虫に適用のあるアグリメックは心強い


そんなみかんの産地として、病害虫防除の徹底は大きなテーマの一つです。農協管内の20園地に最新のIoT技術を活用した気象観測システムを設置し、風速、風向、温度、湿度、雨量、日射、土壌水分、土壌温度などをきめ細やかに観測していらっしゃいます。

ここ最近の傾向としては雨量が非常に多く、とくに2021年は例年の1.5倍に達したとのこと。そのせいか、チャノキイロアザミウマが多発生しており、ヨモギエダシャクやミカンサビダニもちらほら見られるようになったそうです。そうした幅広い害虫に対応するため、2022年から防除暦に採用いただいたのがアグリメックです。

「アグリメックについてですが、長年の試験結果からも効果を実感できましたし、いろいろな害虫が多発生するときこそ幅広い害虫に対応できるのは心強い。生産者さんには7月中旬の散布を奨励しています。」

【アグリメックを使った「かんきつ」の害虫防除スケジュール】

アグリメックを使った「かんきつ」の害虫防除スケジュール

これからもみかんの消費量拡大に尽力し生産者に還元したい


今後の目標とビジョンを成澤和久課長補佐に伺うと「みかんをもっと食べていただけるように頑張っていきたいですね。2021年には三ヶ日みかん公式オンラインショップを立ち上げ、ジュースやゼリー、ドライフルーツなど多様な商品を展開しているところです。みかんの消費量が少しでも増え、三ヶ日みかんを支えてくれている生産者さんに還元できたらと考えています」と思いを語っていただけました。

【希少な青島みかん濃蜜青島の100%ジュース『純しぼり極』】

希少な青島みかん濃蜜青島の100%ジュース『純しぼり極』

 

JAみっかび営農柑橘部柑橘課の成澤和久課長代理(右) JA静岡経済連西部支所肥料農薬課の山田陽平さん(左)

 
 

 

 

 

 

三ヶ日町農協営農柑橘部柑橘課の成澤和久課長補佐(右)
JA静岡経済連西部支所肥料農薬課の山田陽平さん(左)

※掲載内容は取材当時のものです。

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