産地訪問

糖酸バランスにこだわって「一味違う共選」をめざす 温州みかんのトップランナー、JAにしうわ「みなの共選」。

果樹
JAにしうわ みなの柑橘共同選果部会 宇都宮宗昭共選長(写真右)と山下晃弘事務所長(写真左)
【JAにしうわ みなの柑橘共同選果部会 宇都宮宗昭共選長(写真右)と山下晃弘事務所長(写真左)】

 温州みかんで全国一の生産量を誇るJAにしうわ管内。昨年2023年、八協共選と三瓶共選などが合併し、新たに「みなの柑橘共同選果部会」が誕生しました。
 生産園が約200mの標高差の中にあり、それぞれの気温に適合した技術指導を徹底し、生産者とともに生まれた「みんなのしあわせ“みなのみかん”」。年間出荷量8000tをめざし、糖度と酸度のバランスに配慮した高品質なみかんの出荷が2024年からはじまりました。JAにしうわ みなの柑橘共同選果部会 宇都宮宗昭共選長(最高運営責任者)と山下晃弘事務所長に、ドクター古藤こと古藤俊二がお話を伺いました。

 

目次

標高差を活かした園地の品種リレーで、旬のタイミングに出荷。隅々まで行き届いた栽培管理が強み。絶妙な糖酸バランスが品質の高いみかんを生む
糖度13度以上の希少品から、レギュラーまで。4つのブランドで流通先のニーズに対応
みかんの特性を熟知し、一本一本の個性に合わせた施肥を
葉裏への浸達性でスプリンクラー防除との相性がいいアグリメックを防除暦に採用
稼げる農業をめざし、生産者、JAが一体となった産地へ
 

 

標高差を活かした園地の品種リレーで、旬のタイミングに出荷。隅々まで行き届いた栽培管理が強み。絶妙な糖酸バランスが品質の高いみかんを生む


 みなの共選管内の作付面積は約350ha、主な出荷先は関東、関西圏に加え、北海道も増えています。地域志向性の違いも、関東圏は中玉系、東北では大玉系、津軽海峡を越えると小玉系が好まれるというのが、みかん流通の面白いところ。栽培農家は415戸で若い生産者も少しずつ増えており、一戸一戸の栽培面積が大きくないので、栽培管理が隅々まで行き届くところが強みです。

みなの共選様
【“みなの”の名称は、歴史を“ みんな ” で刻んでいく、 関係者“ みんな ” で取り組む想いを込めた。選果場のシャッターに描かれたデザインは、そのコンセプトを「人と人が手をつないだフォルム」で表現】

 生産園の3分の2で温州みかんが生産されていますが、宮川早生を中心に、田口早生、上野早生などに加え、南柑20号や中晩柑も含めて、ロングラン出荷ができるようにしています。また、200mの標高差を利用して出荷リレーすることにより、旬を迎えるタイミングで消費者にお届けできるよう努力しています。

 私たちがめざすのは「一味違う、みなの共選」と呼ばれるような、味にこだわる共選。老若男女に美味しい!と感じていただくために、糖度と酸度のバランスには繊細な管理を徹底しています。目標とする糖度は13度ですが、糖度だけではなく、口に溶け込む程良い酸度が食味上重要。比率的には糖度12に対し酸度は1で、酸度の許容範囲は±0.05度に設定しました。そこにクオリティの高さと人気の秘密があると自負しています。

 また、良質なみかんの栽培と販売には、3つのキーワードがあります。1つは最高のみかん生産による「商品力」。2つ目は、安定した出荷の維持と好条件下での流通による「販売力」。3つ目は、婦人部も取り入れた生産者とJAが一体となった全員参画による「組織力」で、これら3つの力の結晶が、産地ブランドを支える柱となっています。

みなの共選様みかん圃場
【旧八協共選時代には、日本農業賞「集団組織の部・優秀賞」を受賞】

 

 

糖度13度以上の希少品から、レギュラーまで。4つのブランドで流通先のニーズに対応


 温州みかんのブランドは、糖度13度以上の希少品「極媛(ごくひめ)」、糖酸バランスを重視した糖度12度以上の「みなの」、糖度は「みなの」と同等で外観より味重視の「和(なごみ)」、糖度12度以下の「レギュラー」をラインアップ。

 みかんの生産では、見た目にも優れたみかんと、外観が劣るみかんがあります。中身は美味しいけれども、キズや色・形の面で外観が良くないみかんをどう販売するかが一つのポイント。当共選では、味は優れているものの外観が基準に達しないみかんを「和(なごみ)」と「レギュラー」の2ブランドに分け、「極媛」「みなの」と合わせた4ブランド構成で、流通先のニーズにお応えし、販売力を高めています。

西宇和みかん「なごみ」
【味重視の「和(なごみ)」はいちばんの売れ筋商品】

 

みかんの特性を熟知し、一本一本の個性に合わせた施肥を

 みかん栽培で重要なのが土づくりと施肥技術。食味・品質向上に向けた「根づくり、葉づくり、木づくり」のために、土壌改良剤や有機質肥料にこだわって栽培しています。

みなの共選様管内みかん圃場
【200mの標高差を利用した品種リレーで、旬の時期に旬の品種を出荷】

 特に数多くの種類がある肥料については、しっかり特性を熟知し、どのタイミングでどのくらいの量を与えるのがいいのか、一本一本の個性を考え与えることが重要。みかん全体の細胞強化を図るためにも、カルシウムやアミノ酸の施用効果は重要なので、製品の肥料成分や性質などを把握して、施用時期と目的に合わせて使い分けています。

 近年は天候の不順や温暖化の影響で、過去統計からすると平均気温も高くなっていますし、降水量も減少傾向です。排水性に優れた傾斜地を利用した栽培では、異常な高温や乾燥は、特に危惧していますね。みかんにとって「着花」から「着果」が最も大事であり、この時期の天候は特に観察しています。

 

 

葉裏への浸達性でスプリンクラー防除との相性がいいアグリメックを防除暦に採用


 当共選管内では、傾斜地での作業労力軽減を図るため、12ブロックに分けた各地区でスプリンクラー防除を主体とした共同防除を実施しています。

 葉や果実を吸汁し、果皮に大きな影響を与える重要害虫ミカンサビダニは、初発の防除が遅れると、密度が高まり抑えにくくなるので、速効性がある薬剤での早めの予防が大事。管内のスプリンクラー防除暦では以前から6月中旬~下旬にアグリメックを採用しています。近年はミカンサビダニの発生が抑えられているので、アグリメックの防除効果が功を奏しているのかもしれません。速効性があり、葉表から葉裏まで浸達する力を持っているので、葉裏に薬剤がかかりにくいスプリンクラー防除との相性がいいんだと思います。また、チャノキイロアザミウマ(などのアザミウマ類)も同時に抑えてくれるのも助かりますね。

 全国的な傾向のようですが、今年はカメムシ類が大発生しています。アクタラ顆粒水溶剤は、この地域で「天牛」と呼ばれているゴマダラカミキリ成虫に対して、7月中旬の散布で採用していますが、カメムシ類に対しても効果が高いことから、今年はその発生に合わせて、早めの散布を実施しております。

 また、ブロックによって異なりますが、灰色かび病予防にスイッチ顆粒水和剤、ミカンサビダニや天牛(ゴマダラカミキリ)の防除にリーズン顆粒水和剤も使用しています。

みなの共選様みかん圃場
【今年はチャバネアオカメムシやツヤアオカメムシなど、越冬したカメムシ類が大発生中】

 

稼げる農業をめざし、生産者、JAが一体となった産地へ


 傾斜地での栽培は高齢の方には負担が大きいので、今後、栽培適地を拡大できれば、比較的平坦地を園の転換先として計画しております。

 これからは全量集出荷をめざし、高品質で常に消費者の方々に満足いただけるブランドへと育てていきます。また、さらなる生産力の拡大を図るためにも指導を含め生産のバックアップ、新品種の導入、優良品種への改植、農地の若返りの推進を行っています。

 キーワードは「稼げる農業」。消費者が感動するような美味しいみかんをしっかり作って、それをしっかり販売し、稼げる農業を実践することで、次の世代にもみかんづくりを広げていく。婦人部も取り入れた生産者、JAといった関係者みんなが一体となってこれからの産地を作っていきたいと思います。

 

ドクター古藤

『傾斜地での栽培は決して、ラクではない作業だと思いますし、先人が築き上げた園地を守ることも容易ではないとも言えます。個人的には、急こう配を活用した広範囲の生産地は間違いなく農業の大切な遺産でもあると思っております。

高い生産技術、共選場を通じた安定した流通システム、消費者へのみかんの美味しさと満足感の提供。滞ることなく循環したみかん流通には、生産地と消費者との信頼の和が築かれている──そんな思いを強くした取材でした。』

 

 

掲載内容は取材当日のものです。

 ※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。

 

 

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