ロジカルな視点で農業に臨む担い手が、 わずか2年半弱で全国ミニトマト選手権 最高金賞にたどり着いた、 その秘訣とは!?
東京・府中市で都市型農業を展開する澤藤(さわとう)園(えん)。5代目にあたる澤井政善さんは、全国トマト選手権ミディアム部門で2年連続最高金賞を受賞、さらにミニトマト部門でも最高金賞・金賞をダブル受賞するなど、 高品質なトマト栽培を実現していらっしゃいます。2021年からトマト養液栽培を始めたにもかかわらず、数多くの賞に輝く澤井さん。そのトマトづくりの秘訣に迫ります。
【目次】
トマトの売上は農園全体の8割を占めるまでに成長。スマホで品ぞろえが分かる自販機が消費者に好評
直売比率を上げることで出荷作業を減らしてトマト栽培の作業時間を確保
大学時代に学んだ研究手法や製薬会社時代のノウハウを農業に活かす
予防効果の高いアミスターオプティフロアブル、浸達性のあるアファーム乳剤を使用
トマトの売上は農園全体の8割を占めるまでに成長。
スマホで品ぞろえが分かる自販機が消費者に好評
澤井さんは大学院で動物応用医科学を専攻し、外資系製薬会社のMRとして活躍。2013年に実家の農業を継いで就農し、2021年から本格的にトマト栽培をスタートしました。
現在、お父様が20品目の野菜全般を担当する一方、澤井さんは妹さんとともに、4連棟のハウス(8.7a)で大玉トマト、中玉トマトを専門に栽培していらっしゃいます。澤藤園の売上全体で、トマトが占める割合は80%以上。その販売チャネルとして、中心的な役割を担っているのが直売なのだとか。
「直売ではネットショップや飲食店などへの販売も展開していますが、一番売上が大きいのは自宅の庭先に設置した、トマトの自販機です。ライブカメラによってお客様がスマホやパソコンから、リアルタイムで在庫数や品ぞろえを確認することができるので好評です」。
直売比率を上げることで出荷作業を減らして、トマト栽培の作業時間を確保
東京都府中市という住宅地で展開する都市型農業。どのような課題とメリットがあるのでしょうか。澤井さんに伺いました。
「ハウス一つ建てるにも隣家の日照権、装置による騒音防止など、周囲への配慮が問われます。逆にメリットとしては、消費者になるお客様がたくさんいらっしゃるので、直売がしやすいこと。トマト販売全体のうち直売比率は約78%で、これを上げれば上げるほど出荷作業に費やす時間がショートカットできます。それによって、浮いた時間を品質の高いトマトづくりのための作業時間にあてることができる。庭先の自販機導入は、効率良く時間を使うことを目的としたものです。
大学時代に学んだ研究手法や製薬会社時代のノウハウを農業に活かす
大学生時代や製薬会社勤務時代に学んだことは、農業でも積極的に活かしている、という澤井さん。大学院の研究室で学んだ研究手法は、いまでもトマトの栽培に活用されているのだとか。
「研究室で学んだ実験の手法は、簡単に言うと一度の実験で並行して複数のパターンを試すことで、正解にたどり着くスピードをアップさせるもの。それをトマト栽培にもあてはめたんです。例えば、一度の栽培で、品種、作型、施肥、灌水、葉の残し方、収穫の高さなどをそれぞれ複数パターンで試す。そうすると、正解に到達する速度が速くなるわけです。こうした学生時代の知見など、いままで学んできたトマトの植物生理をベースに、栽培管理の仮説を立てて、液肥の濃度だとか灌水量やタイミングなどの条件検討をしていくことが、高品質なトマトづくりのポイントだと考えています」。トマトは水分を絞ると糖度が上がりますが、絞り過ぎると葉が小さくなって光合成の量が少なくなるので、かえって糖度が落ちるんです。だから、毎年条件検討を重ね、その分岐点を見極めるのが大事ですね。
また、澤井さんの農業経営には、製薬会社勤務時代のノウハウが活かされています。現在の4連棟ハウスを建てる前には、SWOT分析※1によってトマトの事業戦略を立案。お客様や先輩農家さんとのコミュニケーションでは、DISC分析※2によって4つに分けたタイプに応じて相手へのアプローチを工夫しているのだそうです。
※1 SWOT分析:経営戦略や事業戦略の構築において、現状を把握するための分析手法。内部環境の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境の機会(Opportunity)と脅威(Threat)を分析する。
※2 DISC分析:人の行動特性を4つのタイプに分類する性格診断ツール。1920年代に心理学者ウィリアム・マーストン博士が開発した理論がベースになっている。
「さわとまと」ブランドで中玉、大玉トマトを商品展開
澤藤園のトマトは「さわとまと」というブランドネームで販売。ブランドは平均糖度で分けられており、中玉のフルーツトマトでは「さわとまと」「さわとまと極み」「さわとまと極みプレミアム」をラインナップ。さわとまと極みプレミアムは、平均糖度14~15.9度という数量限定トマトで、全体の1.2%しか収穫できないのだそうです。
さらに大玉トマトでは、「さわとまと甘美」「さわとまと甘美極み」を栽培し、お客様のニーズに応えていらっしゃいます。
受賞の秘訣は、「目標を高く設定すること」にあり
「さわとまと甘美」で、全国トマト選手権ミディアム部門で2年連続最高金賞を受賞(2024年・2025年)、全国ミニトマト選手権では「さわとまと」で最高金賞、「さわとまと極み」で金賞をダブル受賞(2023年)するなど、高い評価を集めているブランド「さわとまと」。審査員からは「甘みが強い」「出汁のような旨味がある」「ジューシー」などの評価があったのだそうです。
澤井さんは、2021年に本格的なトマト栽培を始め、わずか2年半弱で全国ミニトマト選手権の栄誉を手にしました。その秘訣を澤井さんに伺いました。
「私は“結果の9割は準備”に尽きると思っています。本格的にトマト栽培を始める以前から、東京トマト養液栽培研究会に所属して学んでいました。目標を高く設定することも重要で、自分がワクワクできるような明確な目標を設定し、そこから逆算してそのためには何をすればいいのかという具体的な行動内容を決めていく。そうした考え方と行動が受賞につながったのではないでしょうか」。
予防効果の高いアミスターオプティフロアブル、浸達性のあるアファーム乳剤を使用
「トマト栽培を始めて4年目の2024年の時点で、病気に関しては環境制御でほぼコントロールできるようになりました」という澤井さん。トマトの防除に、アミスターオプティフロアブルとアファーム乳剤を採用されています。病害虫防除への取組みについて伺いました。
「ハウス内の環境制御がきちんとできているので、基本的な防除をしていれば病気はほとんど問題になりません。アミスターオプティフロアブルは、灰色かび病とか葉かび病の予防に使っていますが、浸透移行性がある剤で、残効性も高いと思います」。
害虫では、昨年までコナジラミに悩まされたものの、現在はコナジラミの成長過程や世代交代サイクルなどの生活環を意識した薬剤散布方法を確立。ローテーションのなかでアファーム乳剤などを活用し、発生を抑えることができているのだそうです。
「アファーム乳剤は、コナジラミに効果が高いですね。それとハチへの影響日数が少ないのと、浸達性があるので葉裏のコナジラミにも効くところが気に入っています」。
これまでの経験で培った研究手法やビジネス戦略、効率的な 病害虫対策を活かして、高品質なトマト栽培を日々追求する澤井さん。全国トマト選手権のラージ部門で最高金賞をとって、全部門制覇することでお客様へのPRにつなげるという目標をお持ちです。また、「日頃の農作業や食農教育の場を通じて、農業の価値を広めていきたい」と目を輝かせながら将来のビジョンを語ってくださいました。
澤藤園 澤井政善さん
※掲載内容は取材当時のものです。
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