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麦作の問題雑草、防除の決め手は除草剤の体系処理-カラスムギやネズミムギの多発圃場に-

病害虫・雑草コラム

カラスムギ、ネズミムギなど問題雑草の被害は本州から九州まで広範囲に渡ります。問題雑草の多発圃場には、作用特性や処理時期の異なる除草剤の体系処理が有効な手段です。除草剤の体系防除について考えます。

カラスムギ、ネズミムギなど問題雑草の被害が拡大


近年問題となっているカラスムギ、ネズミムギはムギ類と同じイネ科の植物で、カラスムギは牧草や緑肥に使われるエンバクの仲間。一方、ネズミムギは牧草のイタリアングラスのことを指し、その被害は本州から九州まで広範囲に渡ります。

日本の麦作にはイネ科の雑草に効果の高い除草剤の種類が少なく、また、生育期に処理できる茎葉処理剤もないため、土壌処理剤で取りこぼすと中耕や手で抜くしかありません。また、水田輪作では穂の出るころが田植えの時期なので、大規模農家では手取りができないことなどの原因が重なって問題が増えてきていると考えられています。

相手に応じた除草剤選びを


一方、広葉問題雑草のヤエムグラやカラスノエンドウは、土壌処理剤単独では防除が難しい雑草です。とくに、カラスノエンドウの種子はムギ類の収穫子実に混入しやすいので、徹底した防除が必要です。茎葉処理剤を使う場合の注意点は2つあります。まずは、雑草が大きくなると剤の効果が劣るので、春先の雑草の大きさを確認して地域ごとの処理適期を知ること。また、種類によって茎葉処理剤の効果が異なるので、相手に応じた除草剤を選ぶことです。

【カラスノエンドウ】

カラスノエンドウ

 

【ヤエムグラ】

ヤエムグラ

 

土壌処理剤、非選択性茎葉処理除草剤で体系防除


日本で登録されているムギ類用の除草剤でカラスムギ、ネズミムギに効果の高いのはジニトロアニリン系の有効成分を含んだ除草剤で、IPC系にもそれに次ぐ効果があります。これらの除草剤は土壌の環境や雑草の出芽が揃った均一な条件で使用すると、カラスムギ、ネズミムギともに無処理区の1割以下に抑えることができますが、平米あたり数百本も芽生えるような多発圃場では十分な除草効果が期待できません。

そのような多発圃場には、作用特性や処理時期の異なる除草剤の体系処理が有効な手段となります。プロスルホカルブ(土壌処理除草剤ボクサー)は、チオカーバメート系除草剤であり、処理時期もジニトロアニリン系の除草剤よりも幅広いので、ネズミムギの多発圃場でこれらを適切に組み合わせれば、より高い防除効果を得られる可能性があります。

カラスムギ、ネズミムギは播種前の芽生えから徹底防除が大切


カラスムギやネズミムギはムギ類の播種前から芽生えが始まりますが、この時期に徹底防除することが大切です。なぜなら、播種前に生えていた雑草が埋め込みきられずに再生してしまうと、ムギ類よりも旺盛に育ち、大量の種子を落とすからです。この時期の雑草を始末するには、イネ科雑草に効果の高い非選択性の茎葉処理剤が有用といえるでしょう。また、播種時期を多少遅らせることも、有効な除草剤の種類が少ない雑草を減らすための方策です。

「小麦・大麦 雑草防除ガイドブック
(シンジェンタジャパン株式会社発行)」
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