病害虫・雑草コラム

葉で増殖した後、果実へ移って吸汁加害。 6~10月にかけて発生するダニ類を上手に防除

果樹
かんきつ

もうすぐ収穫期を迎えようとしているかんきつ。病害虫は、かんきつの品質や収量に大きな影響をおよぼします。
皆様の産地では、どのような病害虫対策を実施していらっしゃいますか? 今回はかんきつの重要害虫であるダニ類を中心とした害虫の生態や防除ポイントについて、愛媛県農林水産研究所の小川 遼さんにお話を伺いました。

【目次】

近年ではカメムシ、カイガラムシ、訪花害虫が増加。かんきつで問題になるダニ類は3種類

6月にミカンサビダニ、チャノホコリダニが発生。ミカンハダニは2回発生し、初夏よりも初秋の被害に注意

露地よりもハウス栽培で増殖しやすいミカンハダニ。葉への被害を見たら防除のタイミング

アザミウマ類、ミカンサビダニ、チャノホコリダニといった複数害虫の加害シーズンに有効なアグリメック

 

 

近年ではカメムシ、カイガラムシ、訪花害虫が増加。かんきつで問題になるダニ類は3種類


 2024年、果樹のカメムシ類が全国的に多発生したのは記憶に新しいところだと思いますが、愛媛県のかんきつ産地でも同様にチャバネアオカメムシなどのカメムシが多発生したのだそうです。
「近年はカメムシのほか、カイガラムシ類、訪花害虫のコアオハナムグリなどが増加傾向にあります。また、愛媛県にはまだ発生は報告されていませんが、和歌山県や徳島県で問題になっているクビアカツヤカミキリは、大きな被害をおよぼす害虫なので、動向を注視しているところです」と話す愛媛県農林水産研究所の小川さん。今回の取材では、葉や果実に深刻な被害をもたらすダニ類について、詳しくお話を伺いました。 

「かんきつで問題になるダニ類は、ミカンハダニ、ミカンサビダニ、チャノホコリダニの3種です。いずれも葉で増殖して、葉を吸汁しつくすと果実に移動して吸汁加害します。とりわけミカンハダニは、かんきつにおける最重要害虫のひとつ。葉の吸汁被害は光合成能力の低下を招き、また、果実の被害は品質低下や収量減の原因になります」。

_kankitsu_dani.png

 

 

6月にミカンサビダニ、チャノホコリダニが発生。ミカンハダニは2回発生し、初夏よりも初秋の被害に注意


「愛媛県におけるかんきつ重要害虫の発生時期ですが、新芽の発芽以降を考えた場合、5月下旬~6月中旬にチャノキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマ、6月中旬頃にゴマダラカミキリ成虫、幼果ができ始める6月中下旬頃にミカンサビダニやチャノホコリダニが発生します。また、ミカンハダニは、6月下旬~7月の初夏と9~10月の初秋の2回発生しますが、果実への被害は初秋の方が大きくなるので注意が必要です」と小川さん。

 1980年代には殺ダニ剤への抵抗性が全国的に問題になったそうですが、現在は薬剤の種類も増え、露地栽培ではミカンハダニの密度が抑制できている状況なのだと言います。


 

537_306_kankitu_gaicyuu_hasseijiki_chart.png
【愛媛県のかんきつ害虫発生時期】

 

 

 

露地よりもハウス栽培で増殖しやすいミカンハダニ。葉への被害を見たら防除のタイミング


 ミカンハダニはふだん葉表に寄生しており、雨天の日には葉裏に潜んでいることが多いのだとか。気温が高い時期になると産卵し、9~10月頃にかけて果実への吸汁加害がピークになるのだそうです。吸汁されると葉は黄変し、果実への加害では光沢がなくなって白っぽく変色し、品質低下につながります。

「ミカンハダニは、露地栽培よりもハウス栽培で問題になっています。ハウスは、露地よりも雨や紫外線に当たりにくく、天敵も侵入しにくいことから、ミカンハダニが増殖する好環境にあります」。

 愛媛県ではどのようなミカンハダニ防除対策が行われているのでしょうか。
「冬期にマシン油などの気門封鎖剤で防除してハダニの密度を下げておくことが大事です。夏場の8月頃から気門封鎖剤や殺ダニ剤を散布していきますが、葉への被害を発見したら、ミカンハダニが果実に移動する前に防除しておくのがポイントですね。愛媛県が示している要防除基準では、葉1枚あたり3頭以上の雌成虫が見られ
るときとされています」。
 

ミカンハダニでも近年、一部の系統の薬剤の感受性が低下しており、現場ではそうした薬剤を外した防除体系が指導されているようです。

 

アザミウマ類、ミカンサビダニ、チャノホコリダニといった複数害虫の加害シーズンに有効なアグリメック


 かんきつの複数の重要害虫による加害シーズンを迎える6月に使えば、チャノキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ミカンサビダニ、チャノホコリダニといった害虫の同時防除が行えるアグリメックへの評価も小川さんからいただきました。

「やはり、アザミウマ類、ミカンサビダニ、チャノホコリダニといった複数の害虫を1剤で抑えられるのはメリットが大きいと思います。特にミカンサビダニへの防除効果は卓効だと認識しています。3回まで使えるので、例えばローテーション防除のなかの6~7月あたりのタイミングで導入すると、アグリメックのいいところが最大限に発揮できるのではないでしょうか」。

 

630_352_mikankiiroasamiuma.png
【チャノキイロアザミウマ】
630_351_mikankiiroasamiuma.png
【ミカンキイロアザミウマ】
アグリメック 500ml 製品画像
【アグリメック】

 また、天敵への影響が少ないことやナメクジへの忌避効果に対しても、「かんきつ現場での有用性が高いですね」と評価をいただいています。

「今後もかんきつの病害虫の発生動向を見ながら、最適な防除体系を現場に提案し、品質の高いかんきつ作りに貢献していきたい」と締めくくってくださいました。

 

 

 

 

 

320_295_ogawa_profile.png

 

 

 

 

 

 

 

愛媛県農林水産研究所 果樹研究センター 病理昆虫室
主任研究員  小川 遼 さん

 

 

 

※掲載内容は取材当時のものです。

 ※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。