幅広い害虫に効果があり、残効が長いのがメリット。てんさいのヨトウムシ、アブラムシ、その他害虫を同時防除。-リーズン顆粒水和剤-

体験レポート
立派に育ったてんさい

北海道全体のてんさい栽培面積約5万7500haのうち、約4割にあたる2万4500haの圃場と栽培契約を結ぶ日本甜菜製糖株式会社。同社試験圃場で防除管理を担当する佐藤悠子さんにてんさいの害虫防除について伺いました。

道内の約4割の栽培面積にあたるてんさい生産者と契約を結び、その栽培管理や病害虫防除をサポート


道内8か所の製糖工場のうち日本甜菜製糖株式会社の工場は、芽室、美幌、士別の3か所で、その周辺地域の生産者と契約されています。佐藤さんが所属する農技開発課は、てんさいの新品種などの栽培試験や、新規剤の効果試験、農務課の指導員から依頼を受けた薬剤試験などを行っているのだとか。そこで得た結果をその年の秋に共有し、防除暦を作成し、現地指導の部署を通じてJAや生産者に提示して、薬剤の選定に役立ててもらっているとのことでした。

「てんさいに求められる品質は、重さと糖分。品質が高く、製糖効率が良いてんさいを栽培するための情報を提供しています」と佐藤さんは言います。


【日本甜菜製糖株式会社の試験圃場】

日本甜菜製糖株式会社のてんさいの試験圃場

重要害虫はアブラムシとヨトウムシ。幅広い害虫への効果と残効の長さを活かす防除


てんさいの品質向上のために重要な対策の一つが病害虫防除。重要害虫としては、アブラムシとヨトウムシ、需要病害では褐斑病、葉腐病、根腐病があげられるそうです。

まず害虫防除についてですが、「アブラムシは葉の吸汁害ではなく、てんさい黄化病を引き起こすウイルスを媒介するのが問題となっています」と佐藤さん。「ヨトウムシは葉を食害し、光合成を阻害しますが、どちらの害虫の被害も根が十分に育たなくなり、収量や糖分が落ちてしまうのでやっかいです」。

【アブラムシがウイルスを媒介して引き起こすてんさい黄化病】

アブラムシがウイルスを媒介して引き起こすてんさい黄化病


ヨトウムシ対策としては、管内の半数以上の生産者が、リーズン顆粒水和剤を導入されているそうです。ヨトウムシは6月中旬から7月にかけての1化期、8月中旬から9月にかけて2化期と、発生時期の山が2回あるそうですが、リーズン顆粒水和剤は前半の1化期に使用している方が多いようです。その理由について佐藤さんはこうおっしゃいます。

「リーズン顆粒水和剤は幅広い害虫に適用があるので、ヨトウムシの1化期に防除すれば6月中旬に発生するアブラムシの同時防除もできます。また、ヨトウムシの殺卵効果もあることや、残効が長いので新たに孵化した幼齢虫にも効くことなどがあげられます。特にここ数年はヨトウムシの発生時期の山がなくなり、だらだらと発生する傾向が顕著です。残効の長いリーズン顆粒水和剤なら1回の散布でだらだら発生に対応できるのもメリットですね」。

【てんさいを食害するヨトウムシ】

てんさいを食害するヨトウムシ

現地混用の手間を省け、混用間違いのリスクが少なく、安全性高いのが魅力のリーズン顆粒水和剤。さらなる効率化にドローン散布も期待


管内には、以前からマッチ乳剤アクタラ顆粒水溶剤を混ぜて使用していた生産者が多くいらっしゃるそうで、「この2剤はてんさいの害虫防除のツートップ」と佐藤さんに評価いただきました。その2剤のメリットを合わせもつリーズン顆粒水和剤について、生産者の方はどのような意見をお持ちなのでしょうか。

「生産者の方からは『やっぱりマッチ乳剤が入っているので残効が長いよね』と良さを実感する声などを耳にします。単剤同士を現地で混用するのと比べ、リーズン顆粒水和剤は2成分の混合剤なので、現地混用の手間が省けるので好評です。マッチ乳剤とアクタラ顆粒水溶剤はどちらも信頼性の高い剤なので、混合剤であるリーズン顆粒水和剤の導入も推奨しやすいですね」。

また、佐藤さんはドローン散布への可能性についても言及してくださいました。「管内ではブームスプレイヤーで散布をしている生産者が中心ですが、リーズン顆粒水和剤が無人航空機散布にも適用拡大されたことで、ドローン散布できる点も魅力です。混合剤なのでそのまま希釈して散布できますし、ドローンなら極所的に発生しやすいヨトウムシをピンポイントで防除ができるのではと期待しています」。

【ヨトウムシの食害】

ヨトウムシに食害されたてんさい

育苗期の灌注処理にアクタラ顆粒水溶剤、根腐病防除にアミスター20フロアブル


また、育苗期にはアクタラ顆粒水溶剤を使いテンサイトビハムシを防除し、多くの生産者が強い苗作りに活用されてらっしゃるそうです。「以前はカメノコハムシの被害も局所的にありましたが、アクタラ顆粒水溶剤でかなり抑えられ、そういう意味でも今も頼りにしています」とのことでした。

一方、病害防除については、特に深刻なのは褐斑病で、その次に根腐病、葉腐病があげられるのだそう。「殺菌剤も様々な選択肢がありますが、根腐病、葉腐病予防にアミスター20フロアブルを使っている生産者が多いようですね。」

つづけて「予防効果の高い剤なので、当社としても根腐病が広がりやすい地域には、信頼が厚いアミスター20フロアブルの導入を薦めることが多いです」と根腐病対策として高く評価されています。

【根腐病の発生で枯れた地上部】

根腐病の発生で枯れたてんさいの地上部

【根腐病における根部の被害】

根腐病に被害を受けたてんさいの塊茎

【リーズン顆粒水和剤を使った「てんさい」のヨウトウムシ・アブラムシ防除スケジュール】

リーズン顆粒水和剤を使った「てんさい」のヨウトウムシ・アブラムシ防除スケジュール


てんさい栽培の課題は高品質を保ちながらの省力化


てんさい栽培は生産コストがかかり、労働時間も長いため、栽培面積が減少傾向にあり、省力化が課題だそうです。その対策として道内で広がっているのが、直播栽培なのだとか。

一般的な移植栽培ではてんさいの苗を長期間大きく育てれば、定植後の根も大きくなり、糖分も高くなるそうです。一方で直播栽培も大きく育てるためには早い時期に播種できると良いのですが、寒さで遅れがちになり、生育期間が十分に取れないことが直播栽培の課題なのだとおっしゃいます。今後、そういった課題をクリアし、栽培技術が高まることで、直播栽培の収量が安定することが期待されています。

「当社としても高品質を保ちながら、省力化が実現できるように生産者を支援し、おいしい砂糖を皆さんにお届けしてまいります」と話す佐藤さんのてんさいへの取り組みはまだまだ続きます。

【高品質のてんさいが、甘くておいしい砂糖製品になる】

日本甜菜製糖株式会社の砂糖をはじめとする製品

日本甜菜製糖株式会社 佐藤様

日本甜菜製糖株式会社 農技開発部 農技開発課 佐藤悠子さん
※掲載内容は取材当時のものです。

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