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枯れ残りやすい低感受性雑草も。「体系処理」で果樹園の下草を上手に管理。

病害虫・雑草コラム

数年ほど前から全国の果樹園で問題化してきたオオアレチノギクなどの低感受性雑草。今回は低感受性雑草など果樹園の問題雑草とその除草対策について、弊社技術普及センターの杉山 稔にインタビューし、その詳細をご紹介してまいります。

かんきつなど果樹園における下草管理のメリットとは


管理作業がしやすくなる、養分競合をなくすなどのメリットもありますが、一番のメリットは除草により果樹の周囲を裸地化することで、地温が上昇しやすくなり、果樹の根の動きが活発になって春の肥料の吸収率が向上することです。この春期の肥効の効率化が秋の収穫に大きく影響するので、下草管理は重要な作業と言えるでしょう。

木の周囲を裸地化することで春の肥効がアップ

グリホサート系非選択性除草剤の低感受性雑草が拡大中


下草管理の課題の一つは、グリホサート系非選択性除草剤におけるオオアレチノギクやオヒシバなどの低感受性雑草問題。これら低感受性雑草が園地に枯れ残り、優占化して栽培管理を妨げるなどの影響が問題化しています。

そしてもう一つは、メヒシバなど非常に繁殖力が強く密生しやすい雑草が各地に広がっていること。メヒシバは草丈が高く管理作業のじゃまになり、果樹との養分競合も起こします。こうした雑草の中でもオオアレチノギクは、全国の果樹園に広がりを見せていることからとりわけ重要で、適切な除草が必要となります。

オオアレチノギク

【オヒシバ】

【メヒシバ】

個体が増えやすい低感受性雑草「オオアレチノギク」


オオアレチノギクは一年生雑草ですが、秋に発芽した個体がロゼットの状態で越冬するので、一年を通して見られる雑草です。生長すると草丈が人間の身長よりも大きくなることも珍しくありません。種子の生産量が多く、

また、茎が折れても根元から再生しやすいので個体が増えやすく、グリホサート系非選択性除草剤で枯れ残るだけではなく、枯れ残った個体からどんどん増殖していくので注意が必要です。

【オオアレチノギクの生育ステージ】
※冬から春に地際から出す葉(根生葉)が丸い形状をなしている状態

オオアレチノギクにはパラコート系非選択性除草剤が効果的


オオアレチノギクはグリホサート系非選択性除草剤の感受性の低下した個体が見られるので、パラコート系のプリグロックスLなど系統・作用性の異なる非選択性除草剤を使用することが重要です。

また、プリグロックスLはイネ科雑草への『種子発芽後枯殺効果』を有していますが、当センターで実施した試験では、オオアレチノギクが休眠中のロゼット状態になる2月にプリグロックスLを散布することで、ロゼット状の個体を枯らすとともに、その後の実生個体の発生も抑えました。このことから2月のプリグロックスL散布が、オオアレチノギク対策に有効な一つの手段と言えるでしょう。

また、オオアレチノギクに限らず果樹園の年間の下草管理では、同一系統の非選択性除草剤の連用を避け、異なる系統の非選択性除草剤を上手に組み合わせた体系処理や、その除草剤のタイプに適した散布ノズルの選択が重要なポイントになります。

イネ科雑草種子発芽後枯殺効果について

パラコート系とグリホサート系の体系処理がポイント


果樹園の年間の下草管理では、4~5月から1回目の除草剤散布をスタートするケースが多いかと思いますが、2~3月の春先にも1回、非選択性除草剤の散布を組み込むことをおすすめします。この時期にひと手間かけることで、春先の雑草を枯らして地温を上昇させ、冒頭にお話した春の肥効アップを促すことができます。パラコート系非選択性除草剤プリグロックスLは、気温が低くても効果が現れますので、この時期の除草に最適です。

そして夏場の除草は、タッチダウンiQなどの根まで枯らすタイプのグリホサート系非選択性除草剤が効果的。生育が旺盛な夏期の雑草を長期間抑草できます。

また、秋期には、翌年の発生源となる雑草の種子の密度を減らすために、イネ科雑草への『種子発芽後枯殺効果』があるプリグロックスLの散布が効果的です。繁殖力が強く密生しやすいメヒシバなど秋期の雑草を枯らすとともに雑草の種子発芽後に作用し、翌年の発生密度を減らすことができます。

体系処理の試験では、園地の裸地期間が長く持続


3年前より非選択性除草剤の散布による果樹園の植生変化について、当センター内の園地で試験を実施してきました。この試験は、3月から9月まで隔月で非選択性除草剤を散布する条件で、同一系統の連用区(グリホサート系、グルホシネート系、パラコート系の各区)および、異なる系統の体系処理区(パラコート系→グリホサート系の体系処理)を比較するもので、グリホサート系やグルホシネート系の連用区では、9月の散布後にメヒシバの後発生が目立ち、また、グリホサート系連用区はオオアレチノギクの残草も多く見られました。

一方、パラコート系のプリグロックスLとグリホサート系のタッチダウンiQの体系処理区では、メヒシバ、オオアレチノギクを効果的に抑え、裸地期間が長く続きました。このように、同一系統連用と体系処理では果樹園の植生に大きな違いをもたらすことが実証されたのです。

非選択性除草剤散布試験 同一系統連用区(グリホサート系)
オオアレチノギクの残草、メヒシバ後発生が見られた

【非選択性除草剤散布試験 体系処理区(パラコート系:プリグロックスL→グリホサート系:タッチダウンiQ)】
裸地化を維持し、メヒシバも抑制した

接触型は「多量散布用」、浸透移行型は「少量散布用」のノズルが最適


非選択性除草剤は、その非選択性除草剤の特性に合わせた適正な散布ノズルを使用しないとその除草剤の効果が十分に発揮できません。
一つは「接触型」と呼ばれるタイプで、グルホシネート系やパラコート・ジクワット系はこのタイプに属します。葉から有効成分が吸収され、薬剤が接触した部分は枯れますが、茎や根まで浸透移行することがありません。

もう一つは「浸透移行型」と呼ばれるタイプ。グリホサート系がこのタイプに当たり、有効成分が葉から吸収されて根まで浸透移行するので、根まで枯らすことができます。
「接触型」の非選択性除草剤は、雑草全体にまんべんなく散布する必要があるので、『多量散布用ノズル(商品名:キリナシノズル等)』を使用しましょう。薬液粒子のミストが均等に分布し、ドリフトもしにくいノズルです。

また、「浸透移行型」は雑草の葉などに薬液が付着さえすれば、有効成分が移行して効果を発揮するので『少量散布用ノズル(商品名:iQノズル等)』を選択するようにします。泡状にした薬液バブルのサイズが大きく、少量が均等に分布するので浸透移行性の除草剤に最適です。タッチダウンiQの場合、このノズルを使用すれば10aあたり10ℓの散布水量でも高い除草効果を発揮するので、夏場の散布が省力化できます。

枯れ残りやすい帰化雑草はターゲットを絞る


冒頭でご紹介したオオアレチノギクやメヒシバ以外にも、やっかいな雑草があります。マツバウンランやアカバナユウゲショウといった帰化雑草で、ここ数年報告が増えている果樹園の問題雑草です。
マツバウンランは、茎が細長いことから除草剤の薬液が付着しにくく、アカバナユウゲショウは、茎が硬く、節目から再生しやすい雑草。どちらも枯れ残りやすいので、これらの雑草にターゲットを絞り、4月ごろにある程度生えそろったタイミングで、グリホサート系非選択性除草剤を多めの散布水量でしっかりと散布して薬液を付着させるようにするといいでしょう。

シンジェンタでは今後も、こうした雑草防除技術のほか、果樹園の現場ニーズに応じた様々な病害虫防除技術を研究、ご提案してまいります。

マツバウンラン

 アカバナユウゲショウ

※農薬のご使用にあたっては、製品ラベルをよく読み、適切に使用しましょう。

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プリグロックスL

タッチダウンiQ

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