大豆の生育初期の雑草防除「高品質・高収量な大豆づくりのまめ知識」
日本の転換圃場での大豆栽培で、雑草害は湿害などと並んで収量・品質を低下させる大きな要因の一つです。実際、大豆がどこにあるのか分からないほど雑草が繁茂してしまった圃場も少なくありません。そのー方で、大豆は葉による遮光力が高いので、雑草に対する競争力が強い作物である、とも言われます。現実の圃場と、抑草力が高いとされる大豆の特性の間で、なぜこのようなギャップが生じるのでしょうか。
初期生育中の大豆は、雑草に対する競争力は意外とひ弱
その原因は、大豆の初期生育が必ずしも早くないことにあります。普通の畦幅の場合、圃場が大豆の葉ですっかり覆われるのは、地域や播種日にもよりますが、播種の2か月後頃。抑草力が強いと言われるのはそれ以降のことで、それまで大豆の競争力は案外ひ弱です。つまり、大豆圃場に繁茂した雑草は、多くの場合、この時期までの雑草防除の失敗の結果と考えられます。
【大豆の草高と群落内への光の透過率の推移】
苗立ちの十分な確保と初期生育の良さが、やはり重要
大豆の雑草防除のカギは、圃場が大豆の葉で覆われるまでの競争力がひ弱な時期をどう乗り切るかにあります。土壌処理型除草剤や生育期の茎葉処理型除草剤の散布、中耕培土などはいずれも大豆の競争力がひ弱な時期にそれを補う意味で行われるものです。
また、大豆の畦の幅を狭くしたり、播種量を増やす工夫も、ひ弱な時期を早く乗り切るのに有効です。しかし、なによりも重要なことは、“大豆の苗立ちを十分に確保し、初期生育を良好にする“こと。例えば、湿害対策が功を奏して、大豆の生育が旺盛な圃場では雑草は良く抑えられますが、湿害で生育が不良な圃場では雑草が繁茂しがちです。大豆の雑草防除の成否と、大豆を上手につくれるかどうかは、まさに表裏一体と言えるでしょう。
大豆が早期に群落を形成することで雑草の繁茂を抑制
出芽後に子葉が健康に保たれ、できるだけ長く落ちないことも、初期生育を旺盛にするために極めて重要な要素です。発芽直後の生育は子葉に含まれる貯蔵養分に依存します。病害に感染すると、子葉が早く脱落し、生育が遅くなるので、 その間に雑草が繁茂するスキを与えてしまいます。初期生育が旺盛だと早期に条間が被覆され、雑草の要防除期間が短くなります。
【大豆の葉で畝が覆われると、雑草の生育が悪くなります(左が無処理、 右がクルーザーMAXX塗抹処理済み種子の生育)】
着莢数の減少、生育後半の倒伏、子実の肥大阻害を起こす大豆の雑草害
圃場の雑草量と大豆の収量の関係を調べると、雑草によって減収することがわかりますが、実際には、雑草害が生じる機作は大豆の生育段階によって様々で、それらの最終的な結果として、減収が認識されます。まず、生育前半の雑草害を挙げると、「主に、光競合による分枝の抑制と、それに伴う着莢数の減少」となって現れます。また、「茎を徒長させ、生育後半の倒伏を助長」することも。さらに、生育の後半には、養分や光をめぐる競合によって、子実の肥大が阻害されます。
【雑草量と大豆収量の関係】
【生育初中期の競合が大豆の収量と品質におよぼす影響】
残草がコンバイン収穫の妨げとなり、汚損粒が発生
夏雑草の勢力は、大豆の成熟期にむかって次第に衰えるのが普通であり、たとえ残草していたとしても大豆の生育に対する影響は次第に小さくなっていきます。しかし、収穫時の残草はコンバイン収穫の妨げになり、汚損粒の発生による品質低下の原因にもなるので注意しましょう。
雑草の種子が翌年以降の発生源に
もうーつ忘れてはいけないのは、残草から生産された雑草の種子は、確実に次の年以降の発生源になるということ)。特に、シロザやホソアオゲイトウなどの大型の広葉雑草は成熟期が遅い傾向があり、大豆の成熟期以降にも大量の種子を圃場に落とすので、これらの残草を防除することは、次の年に備える意味で重要です。なお、雑草が病気や害虫の宿主になることで、間接的に病虫害を大きくすることがあるとも考えられています。
【大豆圃場地表面のノビエ類の種子】
写真撮影:2006年10月( 岩手県内の転換圃場)
大豆栽培においての雑草防除の成功のカギは、生育期前半と残草対策
初期生育が旺盛だと早期に条間が被覆され、雑草の要防除期間が短くなります。大豆の初期生育の改善はクルーザーMAXXがサポートし、圃場が大豆の葉で覆われるまでの雑草防除にはデュア―ルゴールド、そして大豆圃場の取りこぼし雑草にはタッチダウンiQによるパクパク処理がおすすめです。
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