大豆の苗立率と初期生育の改善「高品質・高収量な大豆づくりのまめ知識」
わが国における大豆の単収は、主要生産国と比較して低迷しています。その背景として、アメリカ・ブラジルが油糧用品種主体で、耐病性等の品種改良が盛んであることに対して、日本はタンパク質含有量等を重視する生食用品種が主体で、品種改良の速度が遅いことが最大の要因です。また、水田転作でつくられる大豆の栽培面積は86%(2008~2010年平均)を占め、転作における“捨てづくり”の比率が高かったことが挙げられます。
【大豆単収の年次変動】
【日本の大豆栽培の田圃場比率】
大豆の苗立率低下と生育遅延は排水対策だけでは防ぎきれない
水田は圃場地に比べると地下水位が高く、排水性も劣るので、長雨や隣の水田からの漏水があると、土壌が過湿になりやすく、転換圃場で利用する際に湿害が発生しやすい環境にあります。水田転作大豆では、種子が腐って苗立率が低下したり、酸素不足によって植物体の生理活性が低下して、生育が遅延することがよく観察されます。また、低温のストレスはこうした生育不良を助長します。今までこうした症状は単に湿害によるもので、排水対策が最重要課題とされてきました。
過湿などの環境ストレスによる病害感受性の高まりで病原菌に感染しやすくなる
しかし近年、環境ストレスによって作物の病害感受性が高まり、感染力が弱い病原菌でも感染し、種子の腐敗や生育不良を引き起こすという研究成果が相次いで発表されました。ー方、土壌の過湿は雑草種子の発芽にも好適な条件を与えてしまいます。
初期生育不良と雑草害の深刻化という、大豆作の二大問題は、いずれも土壌の過湿が大きな要因となっていることは間違いありません。
湿害軽減技術を補完し、作物が受けるストレスを低減
過湿や低温は作物の生理活性を低下させ、初期生育を停滞させます。抵抗力が低下した状態では、日和見的に感染する病害によって種子が腐敗したり、初期生育が著しく劣ることも少なくありません。病原菌が蔓延すると、翌年以降も土壌感染する病害もあります。
大豆は初期生育でつまづくと高収量が見込めない作物。生育初期の過湿や低温といったストレス条件下では、病害虫の攻撃によるダメージが品質・収量を大きく左右します。クルーザーMAXXは、初期の病害虫に幅広く効果を発揮する3つの有効成分を配合し、病害や害虫から大豆を守ることで、苗立率・初期生育の改善に貢献します。
病原菌からのストレスで根が浅くなると、夏の干ばつに弱くなる
初期生育で病原菌が感染すると、出芽しても地上部、 地下部の生育が劣ることがよく観察されます。 大豆は根の先端から土壌中の養水分を吸収します。そのため、病原菌感染により根の伸びが悪くなると、養水分を利用できる土壌の層が浅くなってしまいます。
大豆の要水量は生育段階によって大きく変化します。日本の栽培環境では水をあまり必要としない播種から初期生育に降雨が多く、大量に水を必要とする開花期から莢肥大期には、逆に干ばつに見舞われることが多いといえます。
【大豆圃場の蒸発散と降水の関係】
原図:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 島田 信二氏
引っ張ると簡単に抜けてしまう大豆。湿害だから仕方がないとあきらめていた方も多いのではないでしょうか。病原菌感染を防いで初期生育を旺盛にすることは、収量・品質の向上の「良い循環」に乗るための第一歩です。
初期生育で根が深くなると干ばつに強い植物体になり収量が安定
初期生育で根が貧弱になった場合は、高温と干ばつに弱くなり、養水分が不足し、根粒菌の着生も悪くなります。莢の数は少なく、子実の肥大も阻害されるため、結果として収量も劣ることになります。
クルーザーMAXXを使用すれば、殺菌成分が、根部を病原菌の感染から保護。豊かで活力のある根部を形成し、干ばつ耐性が向上します。病原菌のストレスから守り、強く大きな根を育て、品質・収量の安定に貢献します。
【水田転換圃場における根の状態】
品種:白山
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