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水稲における雑草管理と非選択性除草剤の上手な使い方

病害虫・雑草コラム

水稲における雑草管理では、選択性除草剤による本田除草のみならず、非選択性除草剤による耕起前除草や稲刈取後除草も含めたトータルな除草が重要になります。なかでもパラコート除草剤による稲刈取後除草は、埋土種子を低減させ、翌年の発生密度を減らすためのキーとなる除草作業。今回も、稲刈取後除草について弊社開発登録部 開発部の杉山 稔が詳しくご紹介します。

10本のヒエは発生していたら、土中には数千~数万の種子がある!?


水田雑草の最重要雑草ともいえるノビエは、水があってもなくても生育できる雑草で、ヒエに代表されるイネ科雑草は、種子の生産量が多いため、放置しておくと「埋土種子」を増やすことになり、翌年の雑草発生密度が高まってしまいます。
シードバンクとも呼ばれている「埋土種子」は、雑草が種子をつけ、その種子が土壌に落ちて土壌中に蓄積された種子のことを指しますが、例えば水田に10本のヒエが発生していたら、水田の土中には数千~数万のヒエの種子があると考えられているようです。

【埋土種子による雑草密度の増加】

埋土種子による雑草密度の増加

 

パラコート剤で、次世代の雑草発生源となる埋土種子を低減


最近の研究で、パラコート剤には、非選択性除草剤の中で唯一、「種子発芽後枯殺効果」があるということが証明されました。稲刈取後除草を行うことで雑草の種子に薬剤が付着すれば、発芽後に種子が枯死し、次世代の発生源となる埋土種子を低減させることができるので、毎年継続的に稲刈取後除草を実施することをおすすめします。

植物体の光合成を利用して細胞壁を破壊するパラコート剤


さて「種子発芽後枯殺効果」について詳しくお話しする前に、パラコート剤が雑草を枯らすメカニズムについてご紹介しておきましょう。パラコート剤は、植物体に薬液が付着すると、葉緑体上の光合成で生成される電子エネルギーを利用し、過酸化物に変換します。この過酸化物が植物体の細胞壁を破壊するわけですが、パラコートという成分は植物体内を移行にしくいという物理化学性や、葉緑体を持っていない部分では基本的に作用しないという特性から、根まで枯れることがありません。このことから、根まで枯らすと崩れやすくなる畦畔や傾斜地の除草に向いているということが知られています。

【パラコート剤の作用機構】

パラコート剤の作用機構

 

光がなくてもパラコート剤の「種子発芽後枯殺効果」が作用する理由とは?


ここで「種子発芽後枯殺効果」に話を戻しましょう。パラコート除草剤は植物葉緑体の光合成で生成される電子エネルギーを利用して雑草を枯らすので、光と酸素があれば気温が低くても除草効果を発揮します。こうした理由が、秋季の稲刈取後や気温の低い春季の耕起前除草にも向いている所以です。しかし、その一方で、パラコート成分には光が届かない土中においても種子から伸長する組織を枯殺させる作用を示します。

では、なぜ光合成がなくても作用するのでしょうか。雑草の種子から新芽が発芽する際には、種子がもともと持っていた酵素の力で細胞分裂が活発に行われます。この細胞分裂の際に電子エネルギーが生成されるので、その電子エネルギー利用して形成する過酸化物の作用で、雑草種子からの伸長部位の細胞膜を破壊することで初期生育が阻害され枯殺に至ると考えています。

稲刈取後除草はたっぷりの水量でしっかり散布するのがコツ


【水田の重要雑草】

水田の重要雑草

 

パラコート剤による稲刈取後除草のコツですが、登録の範囲内でできるだけ多くの水量で散布し、雑草および雑草種子に薬液がしっかりと付着するようにしましょう。お勧めは、10aあたり150L水量での散布です。ノビエをはじめとするイネ科雑草が種子を落とす前に、薬液を付着させることが重要なので、稲刈取後1ヵ月以内の早い段階で散布するのもポイントです。

気候変動などの影響で近年は、例年通り本田除草をしても本田に残ってしまうノビエが多くなってきた、という話を各地で耳にします。このような状況からも、本田散布はもちろん、耕起前除草や稲刈取後除草といった非選択性除草剤による除草を継続的に実施し、トータルな雑草管理を行いましょう。

【水稲作での上手な雑草管理(後編)】

 

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