スギナの生態と上手な防除方法-プリグロックスLの上手な使い方
"人の暮らすところにスギナあり"ともいわれるほど、繁殖力が強いスギナ。スギナは不良な環境や条件に強く、土中での分布を広げながら、伸長します。対策としては地下茎を早期に防除してスギナ全体を断つことが大事です。詳しくみていきます。
"スギナは酸性土壌を好む"は誤解
スギナは酸性土壌を好み、発生が多いとよくいわれますが、本当でしょうか? 実はこれは誤解なのです。スギナが最もよく育つのは中性土壌で、アルカリ土壌でも酸性土壌でもよく成育することが実験で確認されています。また、窒素を与えない土壌に比べて、窒素を施した土壌のほうが生育するという結果もあります。酸性土壌を好むのだから、防除のために石灰を撒いて土壌のPHをアルカリ性にする方法もありますが、これも間違いです。
【スギナ】
では、なぜ、スギナは酸性土壌が好きだという迷信が生まれたのでしょうか。それはスギナが他の植物に比べて不良な土壌でも生育や繁殖ができるためです。酸性の不良な土壌であっても生育できるため、結果として他の植物よりスギナが目立ってしまうというわけです。石灰を撒くと作物の生育を旺盛にして競合力が高くなります。結果としてスギナを抑えてしまうのではないかと考えられています。しかし、防除目的で石灰をまいてもスギナを抑制する効果は期待できないでしょう。
また、珪酸植物(※)はカルシウムを嫌うという説もあります。石灰はカルシウムを含んでいますから、スギナが生えにくくなるとい理由で石灰を撒く人もいるようです。しかし、実験をしても石灰がスギナの発生を抑えることは証明されていません。
※珪酸植物
ケイ素を利用して、支持組織を形成している植物のこと。
地上茎の光合成で地下茎が伸びる
スギナはどのように繁殖していくのでしょうか。そのスケジュールを追ってみましょう。 まず地下茎から地上茎が伸びて成育が始まります。これがちょうど春です。ほぼ同時に昨年の地下茎に養分の蓄積が始まり、根茎が伸長を始めます。このとき、まずは魂茎(いも)が作られ、続いて来年の越冬芽、さらに新しい根茎が伸びていきます。越冬芽は翌年に萌芽させるための芽で、作られた年には芽を出さない休眠芽です。それぞれの器官が形成されるピーク期は重なることはありません。
地上茎がのびると同時に、地下茎が発達していくのは光合成で得られた養分が一度古い地下器官に蓄えられ、新しい魂茎、越冬芽、根茎を作るために、順次利用されるためです。最初の1〜2ヶ月は根茎は緩やかなスピードで伸びていきます。ところが、2ヶ月を過ぎる頃には急激に成長し始めます。この時期になると、根茎の節には魂茎が作られ始めるためです。地上茎は光合成で得られた養分をせっせと地下の茎官へと送ります。そして地上茎が地上に顔を出してから4ヶ月後には養分は75%も地下器官へと配分されるようになります。こうしてスギナは地下に強大な繁殖器官を築きあげるのです。
早期の地下茎を除草することがポイント
このようにスギナは繁殖を始めた最初の2ヶ月は、成育がゆるやかで地下へは養分をほとんど送らず、魂茎を形成していません。このときこそ、防除の適期。スギナを叩くチャンスです。 環境条件によりこの期間は変わりますので、防除は地上茎が生えそろい、草高が20〜30㎝になったころを目安としましょう。このときに、プリグロックスLを50倍に薄めた液をたっぷり散布し、地上茎を速攻的に枯らしてしまえばスギナは養分を地下器官へと遅れなくなります。繁殖のための根茎や、塊茎を育てることができにくくするのです。 新根茎や新塊茎が形成されてから、地上茎を除草してもすでに栄養分は地下器官へと蓄えられてしまっています。根茎・塊茎は休眠せず、年間を通して高い萌芽力を持っています。早期に地下茎を除草してしまいましょう。
一度枯死したスギナが再生し、20㎝〜30㎝になった頃、再度散布します。この繰り返しによってスギナ全体が弱っていきます。
【プリグロックスLのスギナに対する効果】
参考:シンジェンタジャパン(株)
「スギナの話。」