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さといもに寄生するワタアブラムシ-初期段階での防除が重要

病害虫・雑草コラム

さといもに寄生するアブラムシは、ほとんどがワタアブラムシです。ワタアブラムシは50種近くの植物ウイルス病を媒介することで知られています。さといもが発生源になって周辺の野菜類に発生が拡大するのを回避する上でもウイルス病の蔓延を防ぐ意味でも早い段階の防除が必要になります。

世界中に分布するワタアブラムシ


さといもに寄生するアブラムシは、ほとんどがワタアブラムシです。ごくまれにモモアカアブラムシもみられることもあります。ワタアブラムシは世界中に分布がみられる多食性(多種類の作物を加害する)アブラムシです。とくにワタの害虫として注目されたことが名前の由来になっています。寄主植物は116科900種もあり、農作物では各種野菜類のほかに花き類、果樹類など多くの作物に寄生します。また、50種近くの植物ウイルス病を媒介することで知られています。

野菜類ではウリ科(キュウリ・カボチャ・スイカ・メロンなど)やナス、トマト、さといもなどで特に寄生が多く見られます。アブラナ科(キャベツ・ハクサイ・ブロッコリー・コマツナなど)には寄生しません。

【ワタアブラムシ】

ワタアブラムシ

 

寄生する植物もライフサイクルも多様


ワタアブラムシはライフサイクルや寄生する植物によっていくつかの種類がみられます。ムクゲやワタなどの樹木に卵で越冬し、性別が分かれて世代交代をする有性世代と無性生殖で世代交代をする無性世代の両方を持つものもあれば、無性世代のまま植物上で越冬するものも見られます。

北日本では有性世代と無性世代、南西日本では雌の単性世代が主体と考えられていますが、色々なライフサイクルが混在しているようで、実態は不明です。寄生する植物については野菜類でウリ科に適応したものや、ナス科に適応したものなど多様です。

さといもに寄生するワタアブラムシは、夏の高温期に多発する


ワタアブラムシの体色は黄色~緑~濃青緑で、体長は1~2mm程度です。体色、体長は寄生植物の種類や気温などによって変異がみられます。本来、ワタアブラムシは繁殖適温が18~23℃と低温を好む傾向があり、一般には春と秋に繁殖のピークを迎えます。

【ワタアブラムシとナミテントウムシの成虫・卵】

ワタアブラムシとナミテントウムシの成虫・卵


しかし、さといもで多発するのは、夏の高温期です。春先に、葉裏に緑色系統のワタアブラムシもみられますが、夏には、それよりも小さい黄色系統のワタアブラムシが発生します。黄色系統は、高温に対する適応性があるため、夏に繁殖が旺盛になるのです。さらに、さといもの草丈が高く、寄生部位である葉が地表面の高温の影響を受けにくいことも、夏の増殖を可能にしていると考えられます。

初期段階の防除は、ウイルス病を防ぐ意味でも重要


ワタアブラムシは、セミのような針状の口吻を作物に刺して汁液を吸います。新芽が吸われるとその部分が変形や萎縮がおき、その後、生育の遅れなどの被害が生じます。寄生がさといもの葉全体を覆うほど多くなると、葉が萎縮し、枯れてしまうこともあります。とくに生育初期は植物体が小さいだけに注意が必要です。またさといものウイルス病であるサトイモモザイクウイルス(DMV)を媒介します。

ワタアブラムシはDMV以外にも多くのウイルス病を媒介します。野菜類ではキュウリモザイクウイルス(CMV)やカボチャモザイクウイルス(WMV)などの重要なウイルス病の媒介者です。さといもが発生源になって周辺の野菜類に有翅虫が移動し発生が拡大するのを回避する上でもウイルス病の蔓延を防ぐ意味でも早い段階の防除が必要になります。

ワタアブラムシの防除は薬剤の散布が効果的です。前号でも紹介したように、アブラムシ類に高い活性を有するアクタラなどのネオニコチノイド剤が開発されていますので、これまでの薬剤抵抗性アブラムシにも優れた防除効果が期待できます。

シンジェンタジャパン株式会社 技術顧問