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ほうれんそうの害虫-ハスモンヨトウの生態と防除対策

病害虫・雑草コラム

ほうれんそうには様々な重要害虫が発生しますが、ここでは主にチョウ目のハスモンヨトウの生態と防除方法についてとりあげます。ハスモンヨトウは年内取りの栽培で多く、9月中旬から11月上旬にかけて発生します。フェロモントラップや予察等を利用して成虫の発生量や発生時期を把握することが重要になります。

ほうれんそうに発生する害虫


ほうれんそうは西アジアの原産で、回教徒の往来によって東西に広がったアカザ科の植物です。ほうれんそうの葉には繊維が少なく舌触りも良いことから、和食・洋食・中華のいずれの料理にもマッチする食材として広く利用されています。(写真1)ほうれんそうにはビタミンAとCが豊富で、ポパイを例に出すまでもなく栄養価の高い素材として知られています。

【写真1:ビニールハウスのホウレンソウ】

ビニールハウスのホウレンソウ

このほうれんそうにはミナミキイロアザミウマ(写真2)、タネバエ、モモアカアブラムシ(写真3)、コナダニ類といった害虫が発生しますが、チョウ目ではハスモンヨトウ(写真4)、ヨトウガ(写真5)、シロオビノメイガが重要害虫となっています。

【写真2:ミナミキイロアザミウマ】

ミナミキイロアザミウマ

 

2005年11月に台湾を訪れた際、さつまいもやラッカセイでハスモンヨトウが大発生しており、これらの作物を収穫した畑から野菜類への大移動が問題となっていました。また、台湾では簡易なネットハウスでチンゲンサイなど各種の中国野菜が栽培されており、ほうれんそうの栽培と被害もみられました。

【写真3:モモアカアブラムシ】

モモアカアブラムシ

 

【写真4:ハスモンヨトウ 6齢幼虫(キャベツ葉)】

ハスモンヨトウ 6齢幼虫(キャベツ葉)

 

【写真5:ヨトウガ3齢幼虫(パセリ)】

ヨトウガ3齢幼虫(パセリ)

 

ほうれんそうのハスモンヨトウは9月中旬から11月上旬にかけて発生


ハスモンヨトウは南方系の害虫で、温帯の冬に耐える休眠性をもたないことから、日本では野外での越冬は困難と考えられています。おそらくビニールハウスや施設等が重要な越冬場所になっています。

 

台湾と同様にだいずやさつまいもでハスモンヨトウが大発生することがあり、隣接する野菜類が幼虫の移動によって加害されることがあります。ほうれんそうのハスモンヨトウは、主として年内取りの栽培で多く、9月中旬から11月上旬にかけて発生します。

ハスモンヨトウの防除対策


防除対策としては、フェロモントラップや予察等を利用して成虫の発生量や発生時期を把握する必要があります。また、ほうれんそうでは初発の確認は困難ですから、だいず、さつまいも、さといもなどの好適な寄主植物での発生を確認します。

 

成虫は夜間に活動し、植物の葉に卵塊として産卵し、その卵塊は成虫の鱗粉で覆われています。孵化幼虫は頭部が黒褐色、体色が緑色で、分散せずに葉裏から集団で食害します。

 

薬剤の防除効果は孵化幼虫がもっとも高く、発育が進むにしたがって分散するとともに薬剤感受性が低下します。老熟幼虫になると株元に潜んでいることが多く、ほうれんそうの株元にも薬剤がかかるように散布する必要があります。

施設では、成虫の侵入を防止するため、開口部に4mm目程度の寒冷紗を張ることが有効です。多発時には、卵〜老熟幼虫までいろいろなステージが混在するため、5日〜10日間隔での薬剤散布が必要になります。

ちなみに、台湾のハスモンヨトウは漢字で斜紋夜盗、ヨトウガは甜菜夜蛾、オオタバコガは番茄(トマト)夜蛾で、実際にはレタスでもっとも重要な害虫だそうです。

独立行政法人農業・生物系特定産業研究機構

武田 光能