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ヤノネカイガラムシの発生と防除対策

病害虫・雑草コラム

主要なかんきつ産地や落葉果樹の産地を訪問した際に、カイガラムシ類の発生が目立つようになった、という声を耳にすることが多くなりました。中でもヤノネカイガラムシの発生が増えてきたという産地も多くなっています。ヤノネカイガラムシの防除対策を考えます。

ヤノネカイガラムシは侵入害虫


ヤノネカイガラムシ(英名:Arrowhead scale,学名:Unaspis yanonensis)は中国からの侵入害虫で、1907年に長崎で最初に発生が確認されています。1980年に中国から2種の天敵寄生蜂が導入され、重要害虫から普通の害虫に格下げになっていましたが、最近その発生が問題になっています。
ヤノネカイガラムシはマルカイガラムシ科に属しており、移動できるのは数時間で一度定着すると足が無くなって一生同じ場所で生活します。

【写真1:ヤノネカイガラムシのメス成虫(介殻)】

ヤノネカイガラムシのメス成虫(介殻)

 

【写真2:ヤノネカイガラムシのメス成虫(虫体)】

ヤノネカイガラムシのメス成虫(虫体)

 

【写真3:ヤノネカイガラムシのオス成虫】

ヤノネカイガラムシのオス成虫

 

ヤノネカイガラムシの生態


ヤノネカイガラムシの成虫の形態は雌と雄で異なり、雌成虫は褐色の介殻を形成し(写真1)、その下に虫体があります(写真2)。体長は介殻が約4.5mm、虫体は約3.5mmです。介殻の形状が弓矢の矢に似ていることからこの名前となっているようです。雄成虫(写真3)は羽を持ち、雌とは全く異なった形態をしています。

【ヤノネカイガラムシの卵】

ヤノネカイガラムシの卵

 

【写真4:ヤノネカイガラムシの成虫と幼虫】

ヤノネカイガラムシの成虫と幼虫

 

【写真5:ヤノネカイガラムシのオス蛹】

ヤノネカイガラムシのオス蛹

 

卵は介殻の下に産卵されますが、1時間前後で孵化し、孵化した幼虫は介殻の下から這い出してくるので、卵胎生とも呼ばれています。這い出してきた幼虫は(写真4)自分の寄生場所を求めて歩き回り、1~3時間の内に定着します。歩き回っているときに風に飛ばされたりして周囲に分散する個体もあります。

ヤノネカイガラムシの雌と雄の発育は異なり、雌は不完全変態で、卵⇒1齢幼虫⇒2齢幼虫⇒未成熟成虫⇒成虫(写真1)の順に発育します。これに対し、雄は卵⇒1齢幼虫⇒2齢幼虫⇒蛹(写真5)⇒成虫(写真3)と完全変態で発育します。1齢幼虫の発生時期はその年の気温によって大きく左右され、2月以降の気温が高いと早くなり、低いと遅くなります。2002年と2003年では2週間もの差が見られました。

ヤノネカイガラムシの発生は定型的


ヤノネカイガラムシの発生回数は年に2~3回で、第1回目が、5月~6月、第2回目が7月~9月、第3回目は9~11月に発生します。第3世代は発生量が少ないため、防除の必要はありません。第1世代の初発生日から35~40日後が薬剤による防除適期(2齢幼虫最多寄生期)になります。

また、第2世代では初発生日から30~35日後が薬剤による防除適期(2齢幼虫最多寄生期)となります。このように、初発生日からの発生型は定型的ですので、各世代の初発生日をつかむことによって薬剤による適期防除が可能です。これら防除適期の平均値は第1世代が6月23日頃、第2世代が8月27日頃となります。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 技術顧問

古橋 嘉一