アビオスリー処理区では、根の太さや張り、葉の青みにも違いが。 継続使用で、アビオスリーの植物の力を引き出す力に期待したい
天候の変化に対応できる資材として、バイオスティミュラントに注目
周囲をぐるりと山に囲まれた富良野盆地に位置する、中富良野町。年間を通しての気温差が大きく、夏は30度を超える一方、冬はマイナス30度以下になる内陸性気候が特徴です。1日の気温差も大きく、昼間は35度以上になる猛暑日でも夜は気温がグッと下がり、その寒暖差が食味の良い作物を育んできました。
しかし、ここ数年、天候不順が続いています。特に2023年は夜温が下がらず、25度以上の熱帯夜もあったほど。加茂俊幸さんはこう話します。「農家が作物栽培をするにあたって、年々過酷な環境となっています。夏が暑すぎたり、局地的な豪雨があったり、逆に雨が全く降らなかったり。天候が目まぐるしく変わる中で、やはり作物への影響が心配です。いかに安定した収量や品質を維持するかを、課題として感じています」その対策として就農以来、力を注いできた土づくりに一層力を入れているそうです。さらに、バイオスティミュラントの可能性にも早い時期から注目してきました。農業雑誌やSNSなどで情報を集め、気になった商品は直接問い合わせたり、実際に自身の圃場で使用したりもしています。
「栽培中に予期せぬ天候変化に見舞われたときに、対応できる資材があればと考えていたときに、バイオスティミュラントというものがあると知りました。ただ、収量の増加や品質向上に結び付くかどうかは、自分の畑で確認してみないとわかりません。実際に使用し、結果を見て、費用対効果も考えつつ、導入できるものは導入していきたいと考えています」
アビオスリー処理区では、玉が揃っている傾向も
アビオスリーの試験にご協力いただいたのも、「良い機会だから、まずは自分の圃場で使ってみて効果を確かめたい」という気持ちからでした。
2023年は早生品種のオホーツク222に対して、6月1日と7月10日の2回、アビオスリーを1000倍液でそれぞれ殺虫剤と混用し、無処理区と隣り合った1haの圃場に散布していただきました。散布後、6月22日と8月3日に抜き取り調査をしましたが、違いを実感したのは2回目だったといいます。
「圃場を見ているだけでは違いはわからなかったのですが、抜いてみると根の太さがしっかりして、根張りも良い感じでした。葉の青味も処理区の方がしっかりと残っていましたので、このまま順調にいけば玉肥大も期待でき収量も多くなるだろうと予想できました」
実際にこの段階で玉の重量を測定したところ、処理区の平均の方がやや重いという結果でした。収穫時にもL大、2Lなどの等級が若干多く、大きさにばらつきが少なく、玉が揃っている傾向が見られました。
「単年度の試験だけでは評価は難しいのですが、無処理区もL大、2Lが多かったので、大きさについては、正直、それほど大きな違いはありませんでした。ただ、アビオスリー処理区の方が玉が揃っている感じはありました。また、等級に関しては加工用の場合では2Lは業者さんの作業効率が上がるので問題ないのですが、生食用としてはL大が理想なので、次年度は時期や品種などを考慮しながら散布したいですね」
アビオスリーの使用で健全株が増加
もう1つ加茂さんがアビオスリーの使用で気づいたのは、アビオスリー処理区では健全な株が多い傾向が見られた点です。2023年は高温と乾燥で、生育期間中の葉先枯れが発生し玉の肥大が妨げられてしまう株が発生しました。
「処理区の方が葉先枯れが少なく見えました。抜き取り調査でも葉に青味がしっかりと残っていることを確認しましたが、これは根も元気な証拠です。アビオスリーを散布することで、生長が維持され、作物が活性化する印象を持ちました」
中富良野町は、20代~40代の若手の生産者が多く、遊休農地が少ない事から規模拡大によって収量を向上させるのは難しいといいます。そのため加茂さんは、今ある土地資源を最大限に活用し、単位面積当りの収量を上げることを目標に掲げます。
「アビオスリーが、どれだけ植物の力を引き出してくれるのか、そして収量アップや品質向上につながるのか、継続使用しながら見極めていきたいですね」最後にそう話してくれました。
【加茂俊幸さん アビオスリー試験時のたまねぎの栽培暦】
- 2月10日~下旬 ハウス内で播種
- 4月15日~5月5日頃 定植
- 5月下旬~6月上旬 土壌処理除草剤、茎葉処理除の散布
- 5月下旬~殺虫剤、殺菌剤散布
- 7月下旬~極早生品種の収穫
- 8月20日~早生品種の収穫(オホーツク222)
- 9月5日~中生品種の収穫(北もみじ2000)
- 9月15日~晩生品種の収穫(ベガス)
加茂俊幸さん(北海道空知郡中富良野町)道立農業大学校卒業後、20歳で実家にて就農。
ご両親と奥様の4人での家族経営。2023年はたまねぎ18ha(極早生から晩生まで4品種)、秋まき小麦7ha、だいず1.5ha、水稲(ななつぼし)3haを栽培。
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