ぶどうの「べと病」や「晩腐病」は絶対に蔓延させてはいけない病害。確実に防除できる「特効薬」は心強い存在です  -オロンディスウルトラSC・セイビアーフロアブル20-

体験レポート
ぶどうの「べと病」や「晩腐病」は絶対に蔓延させてはいけない病害。確実に退治できる「特効薬」は心強い存在です  -オロンディスウルトラSC・セイビアーフロアブル20-

フルーツ王国山梨のなかでもJAフルーツ山梨管内は果樹生産量の約4割を占め、とくにぶどうにおいては日本最大の生産量を誇ります。今回は、そんなぶどう栽培における問題病害と対策について、同JA  営農指導課の久保田和成課長にお話を伺いました。

 

鎌倉時代から続く高品質なぶどうを安定供給するために


一説によると鎌倉時代から甲州ぶどうが栽培されていたといわれる山梨県。JAフルーツ山梨の管内は県下でもとりわけ高品質なぶどうの産地として知られ、安定した供給力とともに高い評価を得ています。

「生産者さんを対象とした管理講習会を定期的に開き、営農指導を徹底しています。また、共選所では糖度・着色・傷など、山梨県青果物検査協会と連携して入念に検査し、とくに品質に優れたものを『秀』と位置づけ、ふるさと納税の返礼品や大手デパートのギフト商品としてもご利用いただいています」と語るのは、管内におけるぶどう栽培を牽引する同JA営農指導課の久保田課長。美味しいぶどうを少しでも多く消費者へ届けるため、地域の生産者とともに徹底しているのが病害防除です。

 

【JAフルーツ山梨 営農指導部 営農指導課 久保田和成課長】

JAフルーツ山梨 営農指導部 営農指導課 久保田和成課長


【徹底した営農指導のもと、高品質なぶどうを市場へ安定供給している】

徹底した営農指導のもと、高品質なぶどうを市場へ安定供給している

 

期せずして襲う大雨による、突発的なぶどうの「べと病」に頭を悩ませて


ぶどう栽培で問題になる病害の筆頭格といえるのが、今も昔もべと病という久保田課長。「感染力が非常に高く、放っておくと一晩で一気に広がり甚大な被害を受けてしまいますので、我々にとっては死活問題です」と、その怖さを強調します。

その防除を難しくしているのが、ここ10年の異常気象。雨が降るときはとことん降り、降らないときはまったく降らないという極端な気候となり、季節外れの大雨や長雨により突発的にべと病が発生することもあるのだとか。

「それまでは梅雨の時期にべと病専用の殺菌剤をまいておけば問題なかったのが、突発的な発生により追加防除が必要になるケースが増えています。耐性菌の問題もあるためなるべく1回で済ませたいのですが、べと病が出てしまったら使わざるを得ない…そんなジレンマに悩まされ続けていました」と表情を曇らせます。

【べと病に感染したピオーネの葉】

べと病に感染したピオーネの葉

 

あらかじめオロンディスを散布した圃場との違いは歴然


そんな久保田課長にとって、従来のべと病専用殺菌剤とは別系統のオロンディスウルトラSC(以下、オロンディス)は待望の新剤だったとのこと。

「2021年に管内で広く試験検討して2022年から現場での防除指導に取り入れました。残効性に優れるということで、予防的に散布してみたらどうなのかなと。効果はテキメンでした」と目を輝かせる久保田課長。

「昨年管内では5月ごろに突発的なべと病が発生しました。私の自宅でもぶどうを栽培していますが、4月中旬ごろにオロンディスを散布した私の圃場にも一切べと病が出なかったんです。」

 

「べと病」発生時にオロンディス散布を指導、新鞘が伸びる時期も移行性と残効性でしっかりガード


「もちろん、発生したべと病にも治療効果がありますので、昨年はべと病発生時に速やかに遽オロンディスを散布するよう生産者さんに指導しました。2023年からは防除暦の本欄に掲載していますし、管内でも一気に普及するのではないでしょうか」と手応えを感じられています。

その残効性とともに「オロンディスの大きな魅力」と評価するのが高い移行性。

「開花期を迎えるまでの時期は新梢が伸びていく重要な時期です。その、伸びていく先にまでしっかりと薬効が残るのは大きなメリットですよね。この開花期までの時期は、ぶどうの品質を大きく左右する重要な前半戦。オロンディスはここにとてもマッチした殺菌剤なのではないでしょうか」と、その特長を語ります。

【成長するぶどうの新梢の様子】

成長するぶどうの新梢の様子

 

ぶどうの大敵「晩腐病」、過去には収量2割減も


べと病と並ぶ、ぶどうの大敵が晩腐病。とくに、巨峰やピオーネといった品種は晩腐病に弱く大敵になっているとのこと。主な感染原因が、雨、風、雹(ひょう)。風に煽られて葉が擦れてできた傷や、雹が直撃した傷から感染することが多いのだとか。

 

【晩腐病に感染したピオーネの発病果】

晩腐病に感染したピオーネの葉

 

JAフルーツ山梨では圃場に簡易雨除けの設置を奨励する、ぶどう棚に残ったぶどうの蔓を一つ一つ丁寧に取り除き晩腐病の感染源を潰していくなどの耕種的な対策を取っているものの、過去には大規模な蔓延により収量が2割ほど減ってしまったこともあるといいます。

 

【ぶどうを雨や雹から守る簡易雨除け(取材・撮影時はビニールをかける前の状態)】

ぶどうを雨や雹から守る簡易雨除け(取材・撮影時はビニールをかける前の状態)

 

【ぶどう棚に巻きついた蔓から晩腐病などに感染することも】

ぶどう棚に巻きついた蔓から晩腐病に感染することも

 

袋かけ前の仕上げの時期に、セイビアーを「晩腐病」対策として活用


そんな晩腐病対策として、2020年から防除暦にご採用いただいているのがセイビアーフロアブル20(以下、セイビアー)。

「生産者さんも使い方を熟知され、年々利用頻度も高まっているのではないでしょうか。最近の傾向としては、ぶどうに袋をかける前の仕上げとして活用するケースが目立っています」と採用から3年経った現在のセイビアーの普及度と使用場面を説明する久保田課長。

つづけて、「この地域では10日ごとの殺菌剤散布を奨励しているのですが、たとえば袋かけまであと5日しかないという場合でも、そこを疎かにするとそれまでの苦労が台無しになってしまう。そこで、仕上げの段階でセイビアーを散布しておくと安心というわけです」と晩腐病へのスキを与えない当JA管内のセイビアーによる防除方法をご紹介いただきました。

 

【JAフルーツ山梨管内のぶどう圃場が広がる風景】

JAフルーツ山梨管内のぶどう圃場が広がる風景

 

蔓延が許されない「べと病」と「晩腐病」には特化した殺菌剤が必要


「現在は開花期までのべと病対策にオロンディス、灰色かび病の時期にスイッチ顆粒水和剤、晩腐病対策の仕上げにセイビアーというローテーションにより、より良い防除体系が実現しました」と目を細める久保田課長。

最後に、殺菌剤に対する考え方と今後の展望をこのように語ってくださいました。

「我々が農薬に求めるのは確実に効くことです。たしかに“いろんな病害に効きます”という剤は便利だけれども、それぞれの病害に特化した製品には及びません。とくに、べと病や晩腐病は出さないことを心がけるとともに、出てしまったら確実に退治することが重要。べと病にはオロンディス。晩腐病にはセイビアー。この『特効薬』をこれからもこれらも上手に活用しながら、日本一の名に恥じない品質と収量を維持していきたいと考えています」。

 

【オロンディスウルトラSC・セイビアーフロアブル20を使った巨峰・ピオーネの防除スケジュール】

オロンディスウルトラSC・セイビアーフロアブル20を使った巨峰・ピオーネの防除スケジュール

 

地域の果樹栽培を牽引するJAフルーツ山梨の久保田課長

 

 

 

 

 

 

地域の果樹栽培を牽引するJAフルーツ山梨の久保田課長。
2001年0JAが合併して発足したJAフルーツ山梨。
日本最大のぶどう産地としての誇りを胸に、防除を徹底しさらなる高品質・高収量を目指す。

 

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