宮崎では徐々にサツマイモ基腐病が拡大。 ドローン受託防除なら、他の作業に専念できるし、経営的にもプラスだね。-アミスター20フロアブル-

体験レポート
宮崎県さつまいも

近年、九州地域を中心に被害が拡大している「サツマイモ基腐病(以下、基腐病)」。宮崎県でも、ここ数年で被害が広がっており、その対策が重要視されるようになりました。そんな中、生産者の高齢化や作業省力ニーズの高まりを受け、注目を浴びているのがドローンによる受託防除です。基腐病防除の現状やポイントについて、受託防除を利用されている宮崎県の上水農園代表 上水広志さんと受託防除を請け負う(株)スカイウォーカー代表の大工龍也さんにお話を伺いました。

23年前から基腐病の被害株が発生。抵抗性品種も導入し、防除対策を実践


かんしょ5ha(青果用3.5ha、焼酎原料用1.5ha)やにんじん、かぼちゃを作付する宮崎県北諸県郡三股町の上水さん。かんしょ圃場では23年前から基腐病の発病株が見受けられるようになったのだそうです。

 基腐病の防除対策では、アミスター20フロアブル(以下、アミスター20)の活用、額縁暗渠による排水対策、発病株の抜き取り・圃場外への持ち出し、収穫残渣への分解促進剤活用、健全な種子の利用や苗床の消毒などを実践されている上水さん。加えて2023年今年からは、基腐病抵抗性品種の「べにまさり」を導入するなど対策を講じていらっしゃいます。なかでも重要なのが、アミスター20などによる防除なのだとか。

「かんしょは以前、殺菌剤なんて散布してなかった。でも、鹿児島や宮崎の串間市での被害の話を聞いていたし、自分の圃場でも1つの畑に12株程度、実際に被害株が見られるようになったから、こりゃマズいと思ってね。それで、アミスター20を動噴で散布するようにしたんだ」。

「べにまさり」の圃場
【基腐病抵抗性品種「べにまさり」の圃場】

面積が大きい圃場の防除を委託。多忙な時期の防除が省力できて経営的にプラス


上水さんのかんしょの基腐病防除は、6月から9月にかけて23回行われますが、その時期は、7月上旬のかぼちゃ収穫、8月中旬のにんじん定植、89月掘りのかんしょ収穫など農作業が重なり多忙を極めます。作業の効率化を図るために上水さんは、1枚が40a50aといった面積が大きいかんしょ圃場の防除を2021年から(株)スカイウォーカーに委託。「ただでさえ忙しい時期なのに、暑い中、動噴のホースを引っ張りながら広い畑を歩き回るのは大変だったんだ。受託防除にしてからは身体がラクになったし、その間、自分は他の作業ができるから農業経営的にすごくプラスになってる」と上水さんはおっしゃいます。

かんしょ収穫機
【上水農園では、2023年から新しいかんしょ収穫機を導入】

ドローン防除でアミスター20を採用して3年目。使用圃場と未使用圃場では明らかな差が発生


宮崎・鹿児島エリアの水稲・畑作(かんしょ)におけるドローン受託防除を実施されている(株)スカイウォーカー。基腐病の広がりを目の当たりにされている同社代表の大工さんに、宮崎における被害の現状を伺いました。

 「2年前、鹿児島の一部地域では基腐病の甚大な被害が発生しました。昨年2022年は宮崎でも都城市など一部地域で被害が見られ、徐々に広がりを見せているような実感があります。宮崎全体では、まだそれほど被害は多くありませんが、広がってしまってからでは抑えるのが難しくなるので、いまきちんと止めておく必要があるんです」。

 同社では、かんしょの基腐病防除の基幹剤として、2021年からアミスター20を採用。3年目に当たる今年2023年からは、系統の異なる他剤を加えたローテーション防除で、延べ100haの圃場にドローンによる受託防除を行っていらっしゃいます。アミスター20の防除効果は、受託防除現場の最先端にいる大工さんには、どのように映っているのでしょうか。

「宮崎でも、去年まで基腐病防除をしていなかった圃場で、今年アミスター20を散布したら例年と比べて、すごくかんしょの状態が良くなったという事例を確認していますし、アミスター20を使った圃場と使わない圃場では、明らかな差が出ているケースを複数確認しました。ドローンでも3年近い防除実績があるのですごく信頼しています」。

ムラサキマサリの収穫風景
【焼酎用原料かんしょ「ムラサキマサリ」の収穫風景】

1mの高さからアミスター20をドローン散布。株元まで付着させ、浸透移行でしっかり守る


(株)スカイウォーカーでは9名のスタッフで5台のドローンを駆使し、地域のドローン受託防除を展開されています。ドローンによる基腐病防除のポイントについて大工さんに伺いました。

「定植後のドローン防除は23回行っていますが、1回目と2回目の防除は早めのタイミングで防除する方が結果は良好です。また、弊社ではかんしょの葉から1mぐらいの低い位置にドローンを飛ばして、そのダウンウォッシュを利用して葉裏や株元まで薬剤がしっかり付着するようにしています。アミスター20は、浸透移行性があるのでより確実に効果がいきわたっている感じです」。

基腐病では、地上防除などで圃場を歩くことで土壌などに付着している菌を広げてしまうリスクも懸念されているのだとか。そうした地上防除のデメリットもドローンならクリアできる、と大工さんは続けます。

「また、ドローン散布であれば圃場に入らずに防除できるので、土壌の菌を広げてしまうこともないし、大雨の翌日でもすぐに散布できるので、より計画的な防除が可能です。また、弊社で実施した防除試験では、アミスター20の散布をドローン散布と動噴散布で比較した場合、より希釈液の濃度が高いドローン散布の方が、かんしょの収量が高かったという結果が得られました。アミスター20は、フロアブル剤なのでドローンの高濃度少水量散布にも使いやすい薬剤です」。

株式会社スカイウォーカー 代表取締役の大工龍也さん(左)と上水農園の上水広志さん
【株式会社スカイウォーカー 代表取締役の大工龍也さん(左)と上水農園の上水広志さん。】

前年の発生状況などの条件に応じた防除パターンを作成。受託防除なら、防除の日程管理もすべてお任せ


上水さんのかんしょ圃場では、6月中旬~7月上旬に1回目、7月中旬~8月上旬に2回目、8月上旬~9月上旬(早掘りは除く)に3回目のドローン防除を実施。前年の発生状況や連作・輪作、収穫時期などの条件に応じた圃場ごとの防除パターンを(株)スカイウォーカーが作成されているそうです。

ドローン防除スケジュール例

上水さんは、「スカイウォーカーさんに委託すれば、いつどこの圃場に何をどれだけ散布したかを報告してくれるでしょ。そういう防除の日程管理をしてもらえるのが助かる。ドローンだって、自分で購入したら常日頃メンテナンスしなきゃいけないから、総合的に考えるとお任せしちゃった方がコスパいいんだよね」と受託防除を利用されている理由をお話しくださいました。

現在、三股町の農業の未来を検討する組織を立ち上げ、地域農業にも貢献する上水さん。後継者の育成や規模拡大を視野に入れ、今後も地域をリードする存在であり続けることでしょう。

上水広志さん

 

 

 

 

 

 

宮崎県北諸県郡三股町の上水広志さん。
青果用品種「べにまさり」「紅はるか」や焼酎原料用品種「ムラサキマサリ」といったかんしょのほか、にんじん、かぼちゃを作付。

掲載内容は取材当日のものです

 

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