水稲育苗箱用灌注処理剤「ミネクトシリーズ」使用実感レポート(秋田県)

体験レポート
使用者体験レポート

2022年8月初旬、出穂を間近に控えた秋田県で水稲を経営する3名の生産者様をおたずねし、病害虫防除の課題とミネクトブラスター顆粒水和剤の使用実感についてお話を伺いました。

粒剤のようにこぼれ落ちるムダもなく、必要な分だけの処理で、コストセーブできる。


秋田県大仙市・Oさん

水稲やだいず、野菜などを手がける秋田県Oさんは、ちほみのり、あきたこまち、ゆめおばこ、サキホコレといった水稲品種を作付。サキホコレ以外の品種では、2019年より高密度播種苗栽培を採用して、作業省力化に取り組んでいらっしゃいます。

高密度播種苗に変えて苗箱が半分に

以前は、10aあたりの育苗箱が中苗で24枚程度必要だった、というOさん。高密度播種の採用により育苗箱が10aあたり10~11枚程度に削減され、「田植え機に苗箱を積み込むときや補充するときに、以前の半分の枚数で済むから助かる」とそのメリットをお話しくださいました。

箱粒剤の無駄が課題

Oさんの病害虫防除スケジュールは、4月下旬の播種時に殺虫・殺菌の箱粒剤を処理した後、本田では8月に無人ヘリコプターによる共同防除(殺虫・殺菌剤)を2回実施されています。播種時に使用されている箱粒剤は、播種同時施薬機での処理なので作業性には優れた処理方法。しかしながら、予備も含めた育苗箱全量に処理するためムダになる苗が一定量あり、薬剤処理済み苗の廃棄により結果として余計なコストがかかっていたのだそうです。

従来の箱粒剤と同等の効果

そこで2022年4月下旬、Oさんに高密度播種苗(あきたこまち:育苗箱100O箱)に対し、育苗ハウスで普段お使いの灌水装置を使ってミネクトブラスター顆粒水和剤(以下、ミネクトブラスター)の灌注処理をお試しいただきました。

Oさんの圃場はいもち病が発生しやすい地域とのことですが、試験区は病気の発生がしっかり抑えられ、イネミズゾウムシなどの初期害虫の被害もなく、播種時に使用している慣行薬剤と比較しても同等の効果が得られました。

【イネミズゾウムシ】

イネミズゾウムシ

灌注処理剤で省力化と経済性を実感

今までの箱粒剤と比べた一番大きなメリットは、「何と言ってもムダがないこと」とOさんは評価します。

以前は、薬剤処理した苗の廃棄をなくすため、殺虫殺菌剤散布機で箱粒剤を田植え同時処理されたこともあったそうですが、降雨時には粒剤の吐出が安定しなかったり、薬剤の充填を忘れたまま田植えをしてしまうなど、別の課題も生じてきたそう。

「ミネクトブラスターは田植え当日までに処理をすればいいから、田植えスケジュールが進んで実際に必要な枚数が見えてくる頃に、必要な枚数に処理できるからムダがない。薬剤コストの面でもかなり助かる」とのことでした。

育苗ハウスでは、毎日灌水作業をしているというOさん。ミネクトブラスターの灌注処理も、この灌水作業と同じ装置で行うので簡単で手間がかからない、と使い勝手についても評価してくださいました。

「来年は、ミネクトブラスターを処理するあきたこまちの苗箱数を今年の2倍に拡大するつもり」。水稲のみならず野菜においても、次世代の生産者のための堆肥散布など、その基盤づくりを整備していきたいと産地の未来をしっかり見据えていらっしゃいました。

あきたこまち

液肥と混用できるのが便利。弁当肥と同時に処理すれば省力的。


秋田県美郷市・Kさん

あきたこまち12ha、きんのめぐみ3.5ha、サキホコレ2haなど22haの水稲を作付するのは、美郷市のKさん。きんのめぐみの病害虫防除スケジュールは、4月下旬の播種時に殺虫・殺菌の箱粒剤を処理し、本田では8月中旬に無人ヘリコプターによる共同防除(殺虫・殺菌剤)を実施されています。

灌注処理の作業性と効果を実感

2022年5月下旬、きんのめぐみの育苗箱1000枚に対して田植え2日前に、ミネクトブラスターと液肥を混用し、灌注処理をお試しいただきました。

「ミネクトブラスターの灌注処理は1000枚処理するのに5~6分しかかからなかった。従来の箱粒剤と防除効果は同等で、いもち病も初期害虫も問題なしとその効果にご満足いただけたご様子です。

液肥との混用で更なる省力化の可能性!?

Kさんは普段育苗ハウスで、灌水チューブにより散水を行っていらっしゃいます。例年イネ出芽2週間後を目安に動噴で液肥を散布しているそうですが、今回の灌注処理はその動噴を活用いただきました。

普段は、出芽後のタイミングでしか液肥を散布されていないKさん。ミネクトブラスター灌注処理のために動噴を別途セットする必要があったそうですが、「田植え前の弁当肥として液肥を散布してる人は、そのときに一緒に処理すればいいので、そういう意味ではすごく省力化できる箱処理剤」と省力性にも可能性を感じていただいたようです。

今回、200倍に希釈したミネクトブラスターを育苗箱に灌注処理したKさん。薬害もなく、稲の生育も順調だったと振り返ります。

今後の更なる技術開発に期待

かつて箱粒剤の田植え同時処理も試したことがあり、粒剤がこぼれ落ちてムダが生じるなどのデメリットを感じていたKさん。田植え同時処理と違い、省力化のために新しい機器を購入しなくてよかったことも、Kさんが今回試験を受け入れてくれた理由のひとつです。「ミネクトブラスターは薬害の心配もないし、生産者にとって、液肥と混ぜて処理できる点が使いやすいと思う。その点をもっとアピールした方がいいのではと私たちにアドバイスをくださいました。

これからは、より安全・安心な農業が問われる時代。圃場近隣の皆さんにも環境に配慮した自分たちの取り組みを伝えていきたい、とKさん。持続可能な農業の実現に向けて、地域の課題に日々向き合っていらっしゃいます。

仙北市のKさんの圃場

床土混和の重労働から、簡単な水まきへ。

アスパラガスの繁忙期に作業が省力できるのはありがたい。


秋田県仙北市・Kさん

水稲ではあきたこまち、ゆめおばこ、サキホコレといった品種を合計5.2ha作付するほか、露地と施設で60aのアスパラガスを手がける仙北市のKさんの圃場におじゃましました。水稲の病害虫防除スケジュールは、播種前に箱粒剤を育苗箱の床土に混和、本田では7月中旬と8月中旬に無人ヘリコプターによる共同防除(殺虫・殺菌剤)を実施。その後、カメムシの発生状況によって、動噴による地上防除で対応されています。

播種時の重労働が課題

以前は、箱粒剤の処理方法について、田植え同時処理や播種時処理も検討されていましたが、「田植えの時は苗を植えるのに専念したいし、播種の時期はちょうどアスパラガスの繁忙期だから、やむを得ず播種前に床土混和している。ミキサーで混和するから結構作業が大変」とその苦労を語るKさん。ミキサーの中への床土の出し入れが重労働で、20回以上は出し入れを繰り返すため1日では作業が終わらないほどなのだとおっしゃいます。

液肥と混用して手間もかからず省力的

そこで2022年5月中旬、普段灌水や液肥にお使いの散水ポンプで、ゆめおばこの育苗箱700枚に対しミネクトブラスターを灌注処理していただきました。

「育苗時の液肥はいつも1~2回するし、田植え1週間前の液肥は必ずやるようにしてる。その液肥のときにミネクトブラスターを混用すれば、手間はかからなくて省力的。アスパラガスの繁忙期に、水稲の作業が軽減できるのがいい。処理自体も10分とか20分で済んだから、断然カンタン」と喜ぶKさん。

液肥と混用して手間もかからず省力的

既存の機器で手軽に取り組める

実は、春先にシンジェンタ営業担当者が試験の提案にきた際、箱粒剤の播種同時処理機の購入を検討されていたKさん。使い慣れた粒剤から切り替えて、灌注剤を使ってみようと思った背景には、新たな投資が不要だったことも1つの大きな理由だったようです。

水まきでも高い防除効果を実感

当初は「ホントにこんな水まき程度の処理で大丈夫なのか?」と不安だったそうですが、防除効果は従来の箱粒剤と変わらず、本田での共同防除までしっかりといもち病と初期害虫を抑えてくれたのだそうです。

これほど作業がラクになるなら、来年に向けてぜひ採用を検討したい、とKさん。ミネクトブラスターが日々の営農にますます貢献できることを願ってやみません。

【葉いもち病 病斑】

葉いもち病 病斑

【いもち病多発圃場】

いもち病多発圃場

 
 

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