赤かび病大発生の苦い経験、開花期の防除にミラビスフロアブルで高品質な高タンパク小麦を。-ミラビスフロアブル-

体験レポート
JA兵庫西管内のずっしりと実った小麦

以前は、小麦の赤かび病防除は開花期に1回が基本だったそうですが、2018年に管内で赤かび病が大発生。その対策として2回防除必須の防除体系となったそうです。そんな過去に赤かび病被害を受けた経験をもち、高品質な小麦栽培の取り組みを進める、JA兵庫西 神飾(かみしか)営農生活センターの鎌谷 徹センター長と沼田竜也副センター長に高タンパク小麦と赤かび病防除についてお話を伺いました。


20年ほど前から高タンパク小麦の栽培に注力


姫路市など兵庫県の西部に産地が広がるJA兵庫西管内。そのうち、姫路市北部及び神崎郡を管内とする神飾営農生活センターでは、転作作物の麦作を中心とした水田利活用を推進し、約530haの小麦が作付けされています。

神飾営農生活センター管内では、製菓薄力粉用途の小麦と強力粉用途の「せときらら」「ゆめちから」「ふくほのか」といった高タンパク小麦の栽培にも注力されています。その取り組みのきっかけについて、鎌谷センター長に伺いました。

【JA兵庫西 神飾営農生活センター 鎌谷徹センター長】

JA兵庫西 神飾営農生活センター 鎌谷徹センター長

「国内で栽培される一般的な品種はタンパク含有量が9%以下ですが、高タンパク小麦のゆめちからは12.5%程度あり、地元の醤油メーカーに醤油の原料小麦として納入しています。高タンパクな小麦は旨み成分の濃い醤油の製造に適しており、歩留まり率が高まるという特徴があります。20年ぐらい前に地元の醤油メーカーから、『より高タンパクな原料小麦がほしい』という相談を受けて、ゆめちからの栽培をスタートしました。現在はタンパク含有率13.5%を目指して栽培に取り組んでいます」。

2018年の赤かび病大発生を機に、2回防除を徹底


高品質な小麦栽培に欠かせない病害虫防除。特に小麦の最重要病害の赤かび病は、食の安全・安心の観点から、近年、被害粒混入に対するリスク意識がますます高まっています。そんな中、神飾営農生活センター管内では、2018年から開花期以降2回の赤かび病防除を必須とする防除体系に変更されたそうです。

「以前は、多発しそうなときの臨機防除を除いて、開花期1回のみの赤かび病防除を指導してきました。しかし、近年は冬場の温暖化や梅雨時期の長期化などの気候変動等によって、次第におさえるのが難しくなってきたとともに、DON(かび毒)の検査もますます厳しくなっています。当管内では、2018年に赤かび病が大発生したのを機に、開花期以降に2回の防除を徹底するよう指導し、徹底できる方に高タンパク小麦を栽培してもらっています」と鎌谷センター長はおっしゃいます。

【小麦の赤かび病被害穂。DON(かび毒)の混入防止問題は喫緊の課題】

小麦の赤かび病被害穂。DON(かび毒)の混入防止問題は喫緊の課題

赤かび病の予防がとりわけ重要な高タンパク小麦「ゆめちから」、課題だった耐性菌対策


神飾営農生活センター管内が注力している高タンパク小麦の「ゆめちから」は、収穫時期が6月下旬の晩生品種。追肥を2回行うため窒素過多による病害が発生しやすく、梅雨時期と収穫時期が近いこともあり、とりわけ赤かび病の適期予防が問われるのだとか。

「ゆめちからでは、2018年以降、開花期の4月下旬と5月上旬の2回、追肥と赤かび病の殺菌剤を混用し散布するよう指導しています。しかし、今までは赤かび病に効果が高い殺菌剤の選択肢が少なく、DMI系統の殺菌剤を2回連用せざるを得ない状況でした」と鎌谷センター長。そんな状況の中、昨年新たに試験をしていただくことになったのが、新規系統SDHIの殺菌剤ミラビスフロアブルです。

【2021年赤かび病防除効果試験 ミラビスフロアブル区(左側2穂)と対照剤区(右側2穂)。対照剤区は穂が黒ずんでいる】

【2021年赤かび病防除効果試験 ミラビスフロアブル区(左側2穂)と対照剤区(右側2穂)。対照剤区は穂が黒ずんでいる】

沼田副センター長からも「赤かび病防除の徹底に伴い、同一系統の薬剤散布を継続し続けた際には、耐性菌の発生をいかにクリアして行くかの対策が必要になります。今回、従来とは全く系統が異なる新規系統SDHIの殺菌剤ミラビスフロアブルとの組み合わせによる防除体系をご紹介いただいたことで、耐性菌の課題が一気に解決できるのではないかと期待しています」と耐性菌問題の対策として、ミラビスフロアブルへの期待をお話しくださいました。

ミラビスフロアブルの圧巻の美穂効果と安心の耐雨性


実施していただいた赤かび病防除の試験では、ミラビスフロアブルと追肥の尿素を混用して散布。高タンパク小麦品種のゆめちからでは、以前、追肥として硫安を施用されていましたが、硫安はタンパク含有率が上がりにくく、倒伏もしやすいという欠点があったそうです。そこで、尿素のタンパク含有率向上効果の検証も兼ねた防除効果試験となりました。ミラビスフロアブルは対照剤区と比較して防除効果が高かった、と鎌谷センター長。

「ミラビスフロアブルは、赤かび病防除の新規系統剤ということで、非常に期待をしておりました。管内数か所で試験をしましたが、赤かび病に対する防除効果が非常に高く、対照剤との防除価の差が感じられましたね。」

【2021年赤かび病防除効果試験 穂の拡大写真 ミラビスフロアブル区(左)と対照剤区(右)】

ミラビスフロアブル区(左)と対照剤区(右)の穂の拡大写真

 

「なんといってもミラビスフロアブルは、美穂効果が圧巻。となりの対照剤区との差が一目瞭然で、黄金色の穂の状態を維持できていたのを目の当たりにしました。実際に防除効果を目で見て確認できるというのは、すごいことです。成分がワックス層に吸着して葉の内部に移行するから耐雨性も高いということなので、天候が不安定な時でも安心できるなと思いました」。そう話す鎌谷センター長は、ミラビスフロアブルの“目に見える防除効果”について強調されていらっしゃいました。


また、沼田副センター長は「赤かび病防除時期の4月中下旬は、周期的に降雨がある時期です。散布後の突然の降雨に対する安心感はもちろん、雨が止んだ合間の散布が可能となれば、散布適期を逃さず防除できるので、結果的に防除効率が上がることにつながるのではないしょうか」と耐雨性についても高く評価されています。

【2021年赤かび病防除効果試験 美穂効果で黄金色の穂のミラビスフロアブル区(左側2穂)と穂の黒ずみが確認できる対照剤区(右側2穂)

2021年赤かび病防除効果試験 美穂効果で黄金色の穂のミラビスフロアブル区(左側2穂)と穂の黒ずみが確認できる対照剤区(右側2穂)

小麦の赤かび病防除で最も重要な開花期1回目にミラビスフロアブルを


鎌谷センター長は、防除効果以外のメリットにもしっかりと着眼。「管内では大麦を40haほど作付しているので、大麦にも使えるのは使い勝手がいいですね。無人ヘリコプター散布で防除しているエリアもあるので、無人航空機散布の登録があるのもありがたい。10aあたりの散布単価も従来の剤と同等で、コストパフォーマンスに優れています」と評価してくださいました。

近年は、後発雑草の防除対策など臨機的な対応に有利な乗用管理機による赤かび病防除が増えつつあるという神飾営農生活センター管内。乗用管理機でも散布しやすく、美穂効果を目で見て確認できるミラビスフロアブルは、「生産者がそのメリットを身をもって体感できる薬剤ですね。来年からは早速、赤かび病防除で一番重要な開花期1回目の防除である4月下旬散布で検討しています」と鎌谷センター長。

【ミラビスフロアブルを使った「小麦」の赤かび病に対する防除スケジュール】

ミラビスフロアブルを使った「小麦」の赤かび病に対する防除スケジュール

今後は”小麦に取り組む生産者の全員が、平均以上の小麦を収穫できるよう地域レベルを高めていきたい”とミラビスフロアブルへの期待と産地のビジョンで締めくくってくださいました。

 

JA兵庫西 神飾営農生活センターの鎌谷徹センター長と沼田竜也副センター長

 

 

 

 

 

 

JA兵庫西 神飾営農生活センターの鎌谷徹センター長と沼田竜也副センター長

※掲載内容は取材当時のものです。

 

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