ネキリムシ防除には播種・定植時までの予防的な薬剤防除が有効

病害虫・雑草コラム

ネキリムシの被害と防除の重要性について教えてください


チョウ目ヤガ科のカブラヤガ( Agrotis segetum)、タマナヤガ(A. ipsilon)、オオカブラヤガ(A.tokionis)、センモンヤガ(A.exclamationis)、シロモンヤガ(Xestia c-nigrum)などがネキリムシとして知られていますが、作物の被害はカブラヤガとタマナヤガによるものが大半です。加害様相は特徴的で、その名が示すとおり土中に生息する中老齢幼虫が定植後や発芽間もない苗の地際部を切断して芯葉を食害するため欠株が生じ、収量に大きな影響が生じます。その影響は欠株による収量の低下や生長点の食害による生育遅延だけではありません。欠株により周囲の健全株が不均一となり品質低下にもつながるため、発生量が少なくても農家の収益に及ぼす影響が大きくなります。

成虫は作物の葉裏や枯草に1~数個ずつ圃場に分散させて産卵します。若齢幼虫も作物を加害しますが、前作物や雑草等を摂食して成育した中老齢幼虫による加害が問題となります。したがって、ネキリムシの被害を防ぐためには播種・定植時までの予防的な薬剤防除が有効です。

 

【カブラヤガによるキャベツ被害】

カブラヤガによるキャベツ被害

 

フォース粒剤はネキリムシ防除にどのような効果があるのでしょうか


ネキリムシに有効な薬剤として、合成ピレスロイド系、有機リン系、ジアミド系などに属するいくつかの殺虫剤が農薬登録されています。フォース粒剤はピレスロイド系の殺虫剤ですが、ピレスロイド系の殺虫剤の中では蒸気圧が高く、害虫が有効成分に接触して効果を示す接触効果のほかガス効果を示します。土壌に混和された粒剤から有効成分が土壌中にまんべんなく広がり、高い速効性による優れた食害防止効果とフラッシングアウト効果(土壌中の害虫を地表面に追い出し死亡させる効果)を示し、しかも長い残効性を発揮します。

フォース粒剤の効果発現時間
フォース粒剤のフラッシング効果

 

小笠原宏美

 

 

 

 

 

 

 

シンジェンタジャパン株式会社
研究開発本部
生物研究 殺虫剤チーム研究員

小笠原 宏実

※掲載内容は取材当時のものです。

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