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コナギの特徴と水田に及ぼす影響

病害虫・雑草コラム

コナギは一年生雑草のなかでは稲に最も害を及ぼす雑草のひとつです。コナギの形態的な特徴や他の雑草との見分け方、発芽しやすい環境などを詳しく解説します。除草剤を使った防除の方法についても触れます。

代表的な水田雑草 コナギ


ミズアオイ科ミズアオイ属のコナギ(Monochoria vaginalis (Burm. f.) Presl var. plantaginea (Roxb.) Solms-Laub. )は、日本の代表的な水田雑草で、主に本州から九州に発生します。ミズアオイ科の植物には、コナギの他に同じミズアオイ属のミズアオイ(Monochoria korsakowii Regel et Maack)とホテイアオイ属のホテイアオイ(Eichhornia crassipes (Mart.) Solms)があります。

コナギとミズアオイは、稲作が伝来したときに稲に伴って持ち込まれ帰化したと考えられています。ミズアオイは葉の形がアオイ (葵)に似ているのでこの名前がありますが、古名ではナギと呼ばれ、昔は葉をゆでて食べていたことから「菜葱」という字が当てられました。コナギはナギ (ミズアオイ)に似ているが小型であるという意味だといわれています。

【コナギの多発した水田】

コナギの多発した水田

 

コナギとミズアオイの見分け方


コナギとミズアオイはどちらも水生植物で同じような場所に生え、また、葉の形がよく似ていますが、コナギの方がやや小型です。コナギの花茎は葉よりも短く葉柄の基部にありますが、ミズアオイでは直立して葉よりも高くなり、花が咲く頃には見分けがはっきりできます。ミズアオイは絶滅危惧種とされておりますが、北海道の水田では多発するので、主要な雑草です。

なお、近年、新しく帰化した雑草のアメリカコナギ(Heteranthera limosa (Sw.) Willd.)が西日本で分布を広げているようです。

コナギの種子が発芽しやすい条件


コナギは種子で繁殖する一年生雑草です。種子には休眠性があり、夏から秋に植物体から落ちた種子は、すぐには発芽しません。冬の間の低温に遭遇すると目が覚め(休眠覚醒)、次の年の春にはほとんどのものが発芽できる状態になります。

【コナギ幼植物】

コナギ幼植物

コナギは、発芽に際して酸素を好まない植物です。実験的に酸素濃度を変化させて発芽率をみてみると、全く酸素のない 条件で最も発芽率が高く、酸素が多くなると発芽しにくくなります。従って、水を張った水田ではよく発芽しますが、畑ではほとんど発芽がみられません。また 最近、一部で米ぬかを利用した除草が行われていますが、米ぬか除草でよく問題になるのがこのコナギです。これは、米ぬかを施用してしばらくすると米ぬか自体が腐敗し、水田水や表層の土壌に酸素が少なくなり、コナギが発芽しやすい状態になるためと考えられています。

 

成長によって形態が特徴的に変化するコナギ


コナギは単子葉植物で、発芽時には細長く平たい子葉が一枚、俵状の種子の殻を先端に着けたまま横に開いて土から出てきます。その後、数枚のやや広い線形の葉が出ます。この頃の姿はウリカワ、オモダカ、ヘラオモダカなどとよく似ていますが、コナギは葉先が一番とがっているので見分けがつきます。その後に出てくる葉は、ササのような形をしていますが、成長すると新しく出てくる葉の先が次第に丸くなり、やがて先端が卵形、心臓形などの形の葉になります。

方言ではコナギをササナギ、イモバグサ、タバス、ツバキグサ、トリノシタ、ハートグサなどの呼び名がありますが、それぞれ、コナギの成長によって変化する形態から名付けたのでしょう。花は夏から秋にかけて咲き、青紫色の花が集まって短い房状の穂となります。

コナギは一年生雑草のなかでは稲に最も害を及ぼす雑草のひとつ


コナギは背丈の低い雑草ですが、一年生雑草のなかでは稲に最も害を及ぼす雑草のひとつです。稲への雑草害は、主に養分の奪い合いによるものと考えられています。コナギの地上部の窒素含有率は稲に比べ2倍ほどあるため、見かけの草の量に比べ稲の生育に及ぼす影響は大きくなります。地上部乾燥重量が同じであればノビエよりも稲の収量の低下程度が大きくなるという試験結果もあります。

また、ある研究者は、コナギがはびこった場合に稲の分げつ芽に対する遮光の影響を指摘しています。

コナギの防除には除草剤が有効


コナギは、このような特徴を持った強害草ですが、除草剤には比較的反応しやすく、一般的な除草剤で容易に防除できます。除草剤を散布する時期を逸したり、散布したあと水管理を怠ると残草しますので、除草剤はラベルの使用基準や注意事項をよく守って使用しましょう。

なお、最近コナギやミズアオイにも「除草剤抵抗性雑草」が出てきており一部の地域で問題になっています。同じ除草剤を長年使い続けてきた水田で、除草剤が効くはずの条件でも、雑草が異常に多く残ってしまったときには疑ってみる必要があります。疑わしいと思ったら抵抗性かどうかの判断とその対策について都道府県の指導機関(農業試験場など)に相談しましょう。

財団法人 日本植物調節剤研究協会

技術部長 土田 邦夫