体験レポート

鉄コーティングとリゾケアXLを並行実施し、 収量と作業性の見極めを進める2年目

農事組合法人光明寺営農組合の浦野 粋陽さん(中) JA高岡 営農指導員 二谷 慎亮さん (右)

富山県で水稲約27.9ha、麦、麦あと大豆、麦あとソルゴーを含めて約41haを手がける農事組合法人光明寺営農組合。平日は社員の浦野 粋陽さんを含めて2〜3名で作業を回し、繁忙期には10名規模の体制となる中規模経営です。10年以上前から鉄コーティングによる湛水直播に取り組む一方、麦・大豆との輪作サイクルを組み込むことで、水稲の2分の1を直播で維持する運営を続けてきました。2025年からリゾケアXLを試験導入し、2026年産では鉄コーティングとリゾケアXLを半々で並行実施。技術的な観察を積み重ねる浦野さんに、両者の使用実感と、水田経営の展望について伺いました。

 

【目次】

水稲3分の2、麦3分の1ずつのローテーションに、直播を組み込む 

鉄コーティングとリゾケアXLを並行。生育の違いを観察 

「収量は移植と変わらない」——10年以上の鉄コーティング経験がベースに 

育苗ハウス削減と作業省力化。次の10年に向けた経営視点 

 

 

水稲3分の2、麦3分の1ずつのローテーションに、直播を組み込む


農事組合法人光明寺営農組合は、富山県で水稲約27.9ha、麦、大豆、緑肥用ソルゴーを合わせて約41haを手がける中規模経営体。平日は社員の浦野さんを含めて2〜3名で作業を回し、繁忙期には10名規模の体制で対応しています。

光明寺営農組合の経営を特徴づけているのが、水稲・麦による作付けローテーションです。水稲面積の約2分の1ずつを、直播、移植で振り分けて回しています。

「うちは転作率(麦・大豆等の転作面積率)が約3分の1なんです。水稲の半分は直播、半分は移植で、その体制を長年続けています」。

「ハウスが2,000枚しか入らないので、直播は必須になってきます、あとは高齢化が進んでいるので省力化のために直播を取り組んでいます。」

直播にすることで、省力化などに加え稲の刈り取り時期を移植より遅らせることができ、麦・大豆との作業サイクルに余裕が生まれます。作期分散が経営の骨格となっているといえます。

「うちのような転作率が高い経営では、直播があるかないかで作業の回り方が全然違うんです。それが3分の1という規模で回っているから、なんとか成り立っている」。

農事組合法人光明寺営農組合の浦野 粋陽さん(左)浦野 智稔さん(右)

写真:農事組合法人光明寺営農組合の浦野 粋陽さん(左)浦野 智稔さん(右)

 

鉄コーティングとリゾケアXLを並行。生育の違いを観察


光明寺営農組合が湛水直播を本格的に始めたのは10年以上前。当初から鉄コーティングによる直播で、技術的な蓄積を重ねてきました。

その中で、2025年、初めてリゾケアXLを試験導入。30aから始めた試験を経て、2026年産では6ha程度まで拡大しています。

「去年、JA高岡の指導員の方からの薦めで初めてリゾケアXLを30aほど試してみたら、割と良かったので、今年は6haまで広げてみました。今、鉄コーティングとリゾケアXLで半々ぐらいの比率で運用しています」。

浦野さんの取り組みが特に興味深いのが、同一年度に鉄コーティングとリゾケアXLを並行して実施しているという点です。両者の生育の違いを、実際の圃場で並べて観察できる貴重なケースになっています。

浦野さんが観察している違いが枕地(田の縁)での立ち上がりです。

「鉄コーティングは表面に播種するタイプで、乗用播種機のタイヤで泥をまくっていくと、苗立ちが悪いことがある。リゾケアXLは、枕地でも安心して発芽してくれる印象があります」。

「収量は移植と変わらない」——10年以上の鉄コーティング経験がベースに


長年の鉄コーティング経験から、光明寺営農組合では移植と直播で収量差はほとんどないという感触を持っています。

「収量は移植とそんなに変わらないんです。直播の方がむしろ良い年もあるぐらいで」。

この背景には、10年以上にわたって鉄コーティングを続けてきた組合の技術的な蓄積があると浦野さんは分析します。

「うちは10年以上前から直播をやっているので、皆さん生育の見方がわかっているんです。ある程度の播種さえきちんとできれば、あとは移植とほぼ同じように管理していける。始めさえうまく苗立ちさせれば、あとは一緒になる、というレベルまで技術が定着しているんですね」。

 

育苗ハウス削減と作業省力化。次の10年に向けた経営視点


浦野さんが直播を続ける根本的な理由は、育苗の負担と担い手不足という構造的な課題にあります。

育苗の負担を軽減する現実的な選択肢として、直播の面積を拡大していくのが浦野さんの構想です。

「直播はこれから絶対に増やしていかざるを得ない方向だと思っています。人手が減っていく中で、育苗の重い作業を続けるのは難しい。鉄コーティングもリゾケアXLも、その意味では両方とも重要な選択肢です」。

一方で、コスト面については冷静な視点も持ち合わせています。

「リゾケアXLは種もみの単価が鉄コーティングと比較するとコストは高いので、そこはやっぱり気になります。ただ、値段だけを見て判断するのではなく、発芽の安定性、枕地での立ち上がり、生育のスピード、そういう総合的な違いを見て、圃場ごとに使い分けていく形になると思います」。

技術的な観察を丁寧に積み重ね、圃場条件と経営全体のバランスを取りながら、直播を経営の骨格に組み込んでいく——光明寺営農組合の取り組みは、大規模な水田経営における直播の在り方の一つの姿を示しています。

「これから10年、20年と続けていくには、少ない人数でも回せる仕組みが必要になる。育苗を減らして、作業を省力化して、そのために直播をどう使いこなすか。そこがこれからのテーマですね」。

【浦野さんからのメッセージ:リゾケアXLを検討している方へ】
「うちは鉄コーティングを10年以上やってきましたが、今リゾケアXLと並行して使ってみて、両者の違いが実際の圃場でよく見えるようになりました。発芽までのスピードは浸種をしている分、鉄コーティングの方が早い印象ですが、生育スピードや枕地での立ち上がりはリゾケアXLの方が良い印象があります。値段は少し高めですが、圃場条件や生育の安定性を求める方には、試してみる価値のある資材です。特に転作率が高くて、麦や大豆との輪作の中に直播を組み込みたい経営体にとっては、選択肢の一つとして検討してみてほしいですね」。

農事組合法人光明寺営農組合の浦野 粋陽さん(中) JA高岡 営農指導員 二谷 慎亮さん (右)

写真:農事組合法人光明寺営農組合の浦野 粋陽さん(中)
JA高岡 営農指導員 二谷 慎亮さん (右)
富山県。水稲約27.9ha、麦、大豆、飼料用ソルゴーを含めて約41haを手がける農事組合法人。平日は2〜3名、繁忙期は10名規模の体制で運営。10年以上前から鉄コーティングによる湛水直播を実践し、水稲面積の約3分の1を直播で維持。麦・大豆との輪作サイクルの中に直播を組み込む経営を確立している。2025年からリゾケアXLを試験導入し、2026年産では鉄コーティングとリゾケアXLを並行して運用中。

 

 

関連製品:

リゾケアXL

※掲載内容は取材当時のものです。 
※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。 
※本記事は農事組合法人光明寺営農組合への取材に基づく事例紹介です。製品の使用感、発芽、苗立ち、生育、収量、作業性およびコスト等は、同組合の圃場条件、品種、使用機器および長年の直播経験に基づくものであり、すべての条件で同様の結果を保証するものではありません。 
※鉄コーティング、リゾケアXLおよび移植栽培に関する比較は、同一条件下で実施された比較試験による一般的な評価ではなく、同組合の圃場における観察と所感に基づくものです。 
※記事中の移植栽培との収量比較には、同組合における長年の鉄コーティング直播の経験が含まれています。リゾケアXLの使用により、移植栽培と同等またはそれ以上の収量が得られることを保証するものではありません。 
※2026年産に関する生育および作業性の記載は取材時点の評価を含み、最終的な収量・品質を示すものではありません。結果は品種、土質、圃場、水管理、気象、播種条件その他の条件により異なります。 
※農薬を使用する際はラベルをよく読み、登録された作物、使用時期、使用量、使用方法等を守って使用してください。