体験レポート

一度は諦めた直播に、リゾケアXLで再挑戦。圃場条件の異なる試験を積み重ね、 3年目でノウハウが形に

水稲
農事組合法人北斗西の皆様

富山県南砺市で水稲44ha(圃場全50ha)を手がける農事組合法人北斗西。過去に他社の鉄コーティングによる直播に取り組んだものの出芽の悪さで断念し、「直播はダメだ」というイメージが長く残っていました。転機となったのは、北斗西のメンバーがネット上でリゾケアXLを見つけ、シンジェンタジャパンに問い合わせをしたこと。翌2024年、試験圃場での取り組みが始まり、2026年で3年目を迎えました。現在はリゾケアXLの導入面積が10haに達しています。北斗西のみなさんに、これまでの試行錯誤と、これからの水田経営についてお話を伺いました。

 

【目次】

「直播はダメ」の記憶を覆した、リゾケアXLとの出会い 

組合を二分してノウハウを蓄積。3年目でようやく形が見えてきた 

品種ごとの発芽の癖を見極めながら、コシヒカリ・てんこもりに展開 

育苗ハウスの更新と省力化を見据えて、直播の割合をさらに引き上げていく 

 

 

「直播はダメ」の記憶を覆した、リゾケアXLとの出会い


 農事組合法人北斗西は、富山県南砺市で水稲50haを手がける農業組合法人。旧2地区の営農組合が平成27年に合併して発足した組織で、地区ごとに圃場条件や水の入り方、栽培へのアプローチや風習にも違いがあるといいます。


 直播に取り組むのは、実は今回が初めてではありません。2つの営農組合が合併するかなり以前に一つの営農組合で時期を2回に分けて最大2ha強の鉄コーティングによる直播に挑戦した経験があるものの、結果は思わしくないものでした。
 

 「一番最初にやった時は、発芽が悪くて、圃場によっては6割ぐらいしか揃わないような状態でした。もう一度別の圃場で試したときも同じで、発芽が良くないと 。それ以来、『直播はダメだ』というイメージがずっと頭に残っていました」。そうした先入観が変わるきっかけとなったのが、ネット上でたまたま目にしたリゾケアXLの情報でした。

農事組合法人北斗西の皆様

 直播播種機を持っていない中で、農機メーカーから急遽借りて、1ha弱の圃場でスタート。「右も左もわからん状態で、ギリギリ切羽詰まってやったのが最初の取っかかりです」と振り返る。しかしその初年度、予想を大きく上回る結果が出ました。「反収で486kg、(8.1俵)も取れたんですよ同じ場所の移植と比べても全然見劣りしない。むしろ、条件によっては直播の方が良いぐらい。それでちょっと期待が出てきて」。


 かつて「ダメ」と断じた直播が、リゾケアXLとの組み合わせで初年度から手応えを示した瞬間でした。
 

 

 組合を二分してノウハウを蓄積。3年目でようやく形が見えてきた 


 初年度で確かな手応えを得ましたが、そこから闇雲に面積を拡大することはしませんでした。北斗西は旧2地区の営農組合の合併組織であり、地区ごとに圃場の性格が明らかに違うことを踏まえた、独自の運用方針を採用しています。


 「うちは合併してできた農業組合法人なので、地区ごとに水の入り方も、圃場の作り方も違うんです。だから、それぞれの地区で、それぞれリゾケアXLを試すことにしました。効率で言えば一箇所に集中させた方がいいのはわかっているんですが、あえてバラバラにやっている」。
 

 3年目となる2026年産では、あえて不整形な圃場を選んで試験に取り組んでいるのも、北斗西ならではのアプローチです。
 

 「今年は不整形な圃場をわざと選んでリゾケアXLをやっています。田の縁が曲がっていたり、変な形になっている圃場でどうなるか。それを条件を変えて2つ試して、自動水門と組み合わせながら、いろんな条件下でどんなふうにパターンを組めるかを勉強しています」。
 

 こうしたアプローチの背景には、周辺地区との温度差もあります。「うちの地区は、直播の後発部隊なんですよ。周辺の大型圃場ではすでに直播が確立していて、雑草も生えずに綺麗にやれている。でも、うちはそこがまったく分からない状態だった。だから、自分たちでノウハウを蓄積していこうということで、2組に分かれて取り組んでいるんです」。
 

 初年度の成功から3年、少しずつ地区の圃場条件に合った運用が見え始めてきたといいます。

 

品種ごとの発芽の癖を見極めながら、コシヒカリ・てんこもりに展開   


 現在、リゾケアXLで栽培している主要品種は、コシヒカリとてんこもり。全44haのうち10haがリゾケアXLの圃場です。


 「初年度はコシヒカリでスタートしましたが、2年目からてんこもりも加えて、少しずつ品種を広げてきました。ただ、品種によって出芽の勢いや発芽率が微妙に違うんです」。
同じ「米」といえども、品種によって水分量、粒の大きさ、休眠具合が微妙に違い、それが発芽の挙動に影響する。3年の試行錯誤を通じて、そうした細部の違いを実感として捉えるようになりました。
 

 「今年、種もみの充填でも工夫したことがあって。直播播種機の8つのホッパーごとにブラシがきちんとハマっていないと、あとから見るとは播種にばらつきがあったり。取り外したブラシは必ず同じ場所に戻す、締める人は毎回同じ人が同じ圧力で締める。そういう細かいところで、圃場の中で走るホッパーごとにばらつきが出てくる」。
 

 「あと、種もみの残量がギリギリになると、そこでまた部分的に発芽に影響が出る。最初から計算して、走行後に200〜300g残るように量を配分して入れると、失敗が減る。3年やってみて、ようやくそういうノウハウが見えてきました」。
 

 雑草管理についても、初年度〜2年目の失敗を踏まえて工夫を重ねているといいます。


 

育苗ハウスの更新と省力化を見据えて、直播の割合をさらに引き上げていく


 北斗西がリゾケアXLに強い関心を寄せる背景には、育苗ハウスの老朽化という切実な事情もあります。


 「うちには30年以上使っている育苗ハウスがあるんですが、もうボロボロで、風が来ると本気で危ない状態です。リプレースはしなきゃいけないんですが、金額が相当なものになる。半分の規模で済ませられないかと考えたときに、直播の比率を上げるというのが現実的な選択肢になってくるんです」。
 

農事組合法人北斗西の皆様

 現在は、同じ品種について移植と直播の両方を並行して行っている状態のため、経営効率としてはむしろ二種類の機材準備を準備しないといけない面もあります。しかし、これを「移行期のコスト」と割り切っています。
 

 「今はダブルでやっている分、確かに効率化にはまだ至っていない。でも、移植を減らして直播に寄せていければ、その分ハウスの更新も小規模で済む。作業ピークも平準化できる。だから、育苗ハウスをどこまで縮小できるかが、ここから3年~5年の一つのテーマですね」。
 

 作業人員の面でも、直播のメリットは明快です。
 

 「移植のときは、田植機のオペレーターを含めて4〜5人、それにハウスから運搬する人、トラック2台の運転、女性陣に頼んで使用後の苗箱の洗浄片付けと…全員参加体制です。直播だと、播種する1人と、軽トラで種もみを補給する人がいれば回るんです。人数の負担が全然違います」。
 

 今後見据えているのは、単年度の面積拡大ではなく、10年後の経営体制です。
 

 「正直、ここにいるメンバーは10年後にはほとんどいないんです。若い人にバトンタッチするための基準作りを、今のうちにやっておかないといけない。半分のメンバーで担保できるのか、そのために少人数でできる仕組みを作っておく。省力化は、その武器なんです」。
 

 「勇気を出して誰かがやらないと、真似してやろうという次の世代も出てこない。失敗を覚悟でやることに価値があると思って、続けています」。
 

 3年目の北斗西は、直播のノウハウが着実に蓄積されつつあるフェーズ。ここから先、育苗ハウスの更新計画とセットで、リゾケアXLの面積はさらに広がっていくことになりそうです。

【みなさんからのメッセージ:リゾケアXLを検討している方へ】
「発芽率がいいので、最初にチャレンジする方には本当に向いていると思います。うちみたいに一度直播で失敗した経験がある方でも、リゾケアXLは違った印象を受けるはずです。地区ごとに圃場条件は違うので、いきなり大面積で入るのではなく、まずは条件の違う圃場で少しずつ試して、自分たちのやり方を組み立てていくのがいいと思います。3年やってようやくノウハウが形になってきた実感があるので、焦らず、勇気を持って始めてみてほしいですね」。
 

農事組合法人北斗西の皆様

写真:農事組合法人北斗西の皆様(左) JA福光 営農指導員 西村 圭史さん(右)
富山県南砺市。旧2地区の営農組合が合併して発足した農事組合法人。水稲44ha(コシヒカリ、てんこもり、てんたかくなど)を手がける。過去に他社の鉄コーティングによる直播で断念した経験を持ちながら、2024年からリゾケアXLに再挑戦。圃場条件の異なる試験を並行し、独自のノウハウを蓄積している。


 

 

関連製品:

リゾケアXL

※掲載内容は取材当時のものです。 
※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。 ※本記事は農事組合法人北斗西への取材に基づく事例紹介です。記載された発芽、苗立ち、収量、作業人数および省力化等は、同法人の特定の年度、圃場条件、品種、使用機器および作業体制における経験に基づくものであり、すべての条件で同様の結果を保証するものではありません。 
※記事中の反収および移植栽培との比較は、同法人の特定圃場・年度における事例です。一般的な収量を示すものではなく、移植栽培と同等またはそれ以上の収量を保証するものではありません。 
※播種精度、発芽、苗立ちおよび収量は、品種、種子の状態、播種量、播種機の設定、土質、圃場形状、水管理、気象その他の条件により異なります。 
※農薬を使用する際はラベルをよく読み、登録された作物、使用時期、使用量、使用方法等を守って使用してください。