栃木県×福島県の視察研修会で見えた、 リゾケアXLによる稲作省力化の可能性
2026年6月中旬、栃木県内のJAにおいて、水稲の直播栽培をテーマとした「栃木県視察研修会」が開催されました。福島県からは、農事組合法人ヒュッテファーム、JA全農福島の皆さまが参加しました。
視察先は、2024年からリゾケアXLの湛水直播に取り組む栃木県下野市の株式会社川井ファーム。圃場視察と意見交換を通じて、両県の生産者・関係者が、稲作の省力化に向けた実践を共有しました。
両県が直播水稲の現状を報告
JA全農とちぎが県内のリゾケアXL普及状況、フィールドツアー、リゾケアアカデミーなどの取り組みを紹介。JAうつのみやからは、リゾケアXLのJAでの推進活動の紹介がありました。
シンジェンタからは、県内ユーザーの生の声、リゾケアXL向け肥料、水田自動給水システムによる水管理の省力化、リゾケアユーザーズLINE活動などを紹介しました。
育苗・田植えの負担を減らすために
株式会社川井ファームの代表取締役 川井保明さんが、リゾケアXL(品種:とちぎの星)を導入したのは2024年。育苗箱や育苗ハウス、田植え作業の負担を減らしたいという思いでした。
川井さん「基本的には私一人で60ha近くの圃場を管理しています。田植え時期は午前中に代かきして、午後に田植えをするという毎日が続くので大変。パートさんにも手伝ってもらいますが、苗運びは重労働。なんとかしたいという思いで2024年からリゾケアXLを導入しました」。
一方、福島県のヒュッテファームでは、以前より鉄コーティング種子による湛水直播で、中山間地にある全圃場を管理してきました。代表理事の菅野泰彦さんら6名の共通課題は、点在する約500枚にもおよぶ圃場の煩雑な水管理でした。
菅野さん「10年ほど前から鉄コーティング直播を取り入れてきましたが、水管理に手間がかかり、播種条件も天候に左右されます。反収も思うように伸びない時期が続いたため、数年前から試験的にリゾケアXLを導入しました。2026年は、70ha近くある全圃場をリゾケアXLに切り替えました」。
決め手は、すぐ播けるコーティング済み種子。
数年前から直播を検討していた川井さんがリゾケアXLを選んだ決め手は、種子コーティングの手間がないことでした。2024年からの取り組みを通じて、その利便性と苗立ちの良さを実感されています。
川井さん「鉄コーティングは、自分で種子をコーティングしなきゃいけないでしょ? それは面倒くさい!と思ったんです。リゾケアXLは、タネが届けばすぐに播けるから便利ですよね。2025年から播種機を導入したところ、発芽率も高く、反収も8.5俵。自分の中では大成功でした」。
視察されていた「ヒュッテファーム」の皆さまも、苗立ちや水管理の面で大きなメリットを感じていらっしゃいます。
菅野さん「何と言ってもリゾケアXLは苗立ちがいいですね。田面の均ぺいが十分でない深水気味の場所でも、しっかり苗立ちしました。それと、播種の2日前の代かきでも大丈夫だから、代かきと播種の作業を効率よく進められる点も助かります」。
順調な生育と、次の課題
リゾケアXLを導入して3年目を迎えた川井さん。課題は、鴨による食害※と藻の発生なのだと言います。
川井さん「リゾケアXL導入初年度の2024年は、ドローン播種だったんですが、鴨にだいぶ食害されてしまいました。代かき後にすぐ播種したため、タネが土中にほとんど埋まっていなかったのが一因だと考えています。2026年は播種後、田面に藻が繁殖して生育不良になり、結局播種のやり直しになってしまいました。播種後には藻の発生を抑える対策が必要だと感じています」。
今回の視察研修会の中でも説明がありましたが、栃木県内では、鴨の集中飛来を受けた圃場事例か報告されています。通常の湛水直播よりも播種時期が早い圃場は、周囲の圃場に水が入る前に湛水するため、鴨が集まりやすい傾向があるようです。
一方、2026年より本格的なリゾケアXL導入となったヒュッテファーム様では、この秋の収穫に大きな期待を寄せていらっしゃいます。
菅野さん「今のところは生育が順調。秋の収穫がどうなるか楽しみにしています」。
菅野さんは、今回のような産地間交流について、「自己流の栽培にならないように、他産地のノウハウも参考にしながら初心に戻って経営していきたい」と振り返っていらっしゃいました。