播種機の故障とドローン購入が重なった転機。 リゾケアXLで6年間、ドローン散布による湛水直播を実践し、地域の担い手不足を見据えて次の一手を模索する。
富山県で水稲および、野菜を含めると39haを手がける金屋本江アイリスファーム。前身の営農組合時代を含めると1999年から「酸素発生剤コーティング」技術 による湛水直播を続けてきた、地域の直播パイオニアです。2020年、長年使ってきた播種機の故障と、自社でのドローン購入というふたつのタイミングが重なり、リゾケアXLを導入。以来6年間、ドローン散布による湛水直播に取り組んでこられました。副代表理事の中島さんに、リゾケアXLの使用実感と、これからの水田経営についてお話を伺いました。
【目次】
播種機の故障とドローン購入。ふたつの転機がリゾケアXL導入につながった
4haをおよそ3時間で播種。中島さんが語るドローン散布の使用感
沈みやすい圃場は水を張って対応。休眠打破した種もみで発芽の勢いも向上
播種機の故障とドローン購入。ふたつの転機がリゾケアXL導入につながった
金屋本江アイリスファームは、水稲、野菜を合わせて39haを手がける富山県の農業法人。前身の営農組合時代を含め、1999年からカ「酸素発生剤コーティング」技術による湛水直播に取り組んできた、地域でも早くから直播を実践してきた担い手です。
「直播用のの播種機がちょうどダメになってきたタイミングで、こちらでもドローンを買っとって。そこにJAいなば経由で『リゾケアがあるからやってみんかい』という話をいただいて、じゃあやってみようか、と。ちょうど機械が壊れて、ドローンが入って、話が来て、そういうタイミングがきれいに重なったんです」。
2020年、リゾケアXLをまず1haで試験導入。「右も左も分からんまま」の状態でのスタートでしたが、その後は徐々に面積を拡大し、現在は4haでリゾケアXLによる湛水直播を実践されています。
4haをおよそ3時間で播種。中島さんが語るドローン散布の使用感
リゾケアXLの播種は、代かき後の圃場にドローンで散布する方法。作業のスピード感は移植とはまったく別物だといいます。
「4haをだいたい3時間で播けます。バッテリーの持ちがあるので、休憩と充電を挟みながらですけど、それでも早いですよ」。※作業時間は金屋本江アイリスファームにおける事例です。使用機種、圃場条件、作業人数、播種量、充電・移動時間等により異なります。
種もみの散布にはドローンを活用する一方、肥料関連はすべて背負い式散布機で対応しているといいます。播種後は、使用する除草剤の登録内容と圃場の状態を確認しながら除草剤を散布し、その後の水管理へ移ります。
「移植だけでやろうとすると、うちの規模だとちょっとキャパを超えてくる。ドローンでの直播があるから、面積を維持できているところはありますね」。中島さんは、同農場の作業体制では、ドローン直播が春作業の分散に役立っていると感じています。
富山県内にとどまらず、中島さんの周辺でも、ドローンによる直播面積は年々増えていると感じつつ、導入当初から関心の高さを感じてきたといいます。
「6年前にうちがやり始めた頃は、隣の集落からわざわざ見に来られたりしましたね。今はドローンを持っている人自体が増えてきているし、これからドローンを導入するタイミングで、直播を選ぶ人もどんどん出てくると思います」。
沈みやすい圃場は水を張って対応。休眠打破した種もみで発芽の勢いも向上
6年の実践を通じて、中島さんが実感してきたのは「圃場ごとに条件が違う」という基本でした。
「うちは田んぼが割と深いところもあって。トラクターで代かきした後、後ろに沈むような柔らかい圃場だと、種もみが入りすぎてしまうんです。深く入りすぎると出芽が揃わない」。そこで中島さんが取り入れているのが、沈みやすい圃場では水を張った状態でドローン散布を行うという工夫です。
「水があると、そこがクッションになってくれるので、種もみが深く沈み込みにくい。5センチくらい水を張った状態で播くと、表面近くで発芽してくれる。コシヒカリのような草丈の長い品種は、逆に少し土に埋まったほうが根が張って倒伏しにくくなるので、そこは圃場の土質を見ながら調整しています」。※同農場における事例です。適切な播種条件や水管理は、品種、土質、圃場条件、気象条件等によって異なります。
なお、直播で懸念される鳥害についても、同農場では電柱や電線が近くにない圃場を選んでおり、これまで大きな被害は確認されていないといいます。
担い手が減る地域だからこそ、直播は将来を支える有力な選択肢
中島さんが1999年から所属してきた地域の営農組合は、当初25戸あった組合員が、現在は22戸まで減少し、組合員の高齢化が問題です。
「待っていたら減るだけ、っていう感覚はあります。何か戦略というか、こっちから動かないと。じゃあ、その戦略が今すぐ何かって言われると、それはこれから考えていくところなんですけど」。
移植を担う人手が減っていけば、地域全体で直播に取り組まざるを得ない場面が増えてくる。中島さんはそう見ています。
「苗を作る、その苗を扱う、田植えをする。そのどこかで人が足りなくなったら、もう直播しか選択肢がない、っていう場面が出てくると思うんです。うちのように機械の故障をきっかけに切り替えるケースもあれば、育苗施設の問題で移行するケースもあるでしょうし」。
一方で、リゾケアXLをはじめとするコーティング種子のコストは、決して安くはない資材でもあります。それでもなお、直播を選ぶ理由は何なのか。
「値段だけで考えたら安くはない。でも、うちの場合は田植え機が沈むような圃場でも播けるとか、苗を扱わなくていいとか、そういう省力面の魅力があるから選んでいるんです。単なる価格の話じゃなくて、選択肢としてこれがあるということに意味がある」。
これから3年、5年と先を見据えたとき、リゾケアXLと湛水直播は、金屋本江アイリスファームだけでなく、地域全体の水田を守っていくための現実的な打ち手のひとつになる。中島さんの視線は、目の前の作業だけでなく、その先の地域の姿にも向けられています。
「作れる限りは作る。作れなくなる人が出てきたときにも動けるように、こういう技術を今のうちから続けておく。それが大事だと思っています」。
自らの経営と、地域の農地を守ることを重ね合わせながら、中島さんの取り組みはこれからも続いていきます。
【中島さんからのアドバイス:これからドローン散布で直播を始める方へ】
「圃場はほんとに条件がそれぞれ違うので、自分のところの田んぼをしっかり見極めることが一番大事だと思います。水があった方がいい圃場もあれば、逆に落水しておいた方がいい圃場もある。教科書通りのやり方が全ての田んぼに当てはまるわけじゃない。欠株さえ出さなければ、収量もそこそこ取れる技術なので、まずは自分の圃場の癖を知ることから始めてほしいですね」。
写真:JAいなば 営農経済課 東 英隆さん(左)
金屋本江アイリスファーム 副代表理事 中島龍二さん(右)
富山県。水稲(コシヒカリ、てんたかく、てんこもり、ミルキークイーン、加工用米など)、キャベツ、白菜などを合わせて39haを作付。前身の営農組合時代を含め、1999年から湛水直播に取り組む地域の直播パイオニア。2020年からリゾケアXLを導入し、ドローン散布による湛水直播を6年間実践している。
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※掲載内容は取材当時のものです。
※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。
※本記事は金屋本江アイリスファームへの取材に基づく事例紹介です。製品の使用感、作業時間、作業負担および生育状況等は、同農場の圃場条件、使用機器および作業体制に基づくものであり、すべての条件で同様の結果を保証するものではありません。 ※記事中の作業時間は同農場における事例です。使用機種、圃場条件、作業人数、播種量、充電・移動時間その他の条件により異なります。
※適切な播種条件、水管理および栽培結果は、品種、種子の状態、土質、圃場、気象、使用機器その他の条件により異なります。
※農薬を使用する際はラベルをよく読み、登録された作物、使用時期、使用量、使用方法等を守って使用してください。