体験レポート

直播しか選択肢はなかった。 リゾケアXL 3年目、面積を約4割まで拡大し、 地域の水田を守る「武器」として位置づける

水稲
農事組合法人中村の皆様

富山県で水稲を中心とした農事組合法人中村。集落単位で組合員約100名、うち作業に参加する現役メンバー約40名という規模で運営されており、地域の水田を集落全体で守る集落密着型の組織です。基盤整備が一部の圃場でしか完了しておらず、加えて能登半島地震の影響で工事が中断しているという厳しい条件の中、農事組合法人中村が選んだのが湛水直播でした。3年前からリゾケアXLを本格導入。現在は水稲面積のうち約4割にまで拡大しています。地域の農地を守るための直播との向き合い方について伺いました。

 

【目次】

直播しか選択肢はなかった 

リゾケアXL 3年目で全体面積の約4割まで拡大 

2,000枚の育苗負担を軽減。省力化の実感 

「収量よりも収支」――地域の水田を守るための現実的な選択 

 

 

直播しか選択肢はなかった


農事組合法人中村は、富山県で水稲約40haを手がける集落密着型の農事組合法人。組合員は集落住民が全員入る形で約100名、そのうち実作業に参加している現役メンバーが約40名という、地域と一体化した運営体制が特徴です。

直播に取り組み始めたのは、5〜6年前のこと。きっかけは、地域の基盤整備の遅れという構造的な事情でした。

「うちの地域は、基盤整備がなかなか進まないんです。1枚1町の田んぼで機械が入って作業できる圃場もあるにはあるんですが、まだ全体の3分の1程度しか整備が終わっていない」。

さらに追い打ちをかけたのが、能登半島地震の影響でした。

「令和2年から始まった基盤整備工事が、地震で一時中断してしまって。当初は8年ぐらいで全部終わる予定だったんですが、工事費も当初の13億から15億超まで膨らんでいて、まだ数年は待たなければいけない状況です」。

こうした条件の中で、地域の水田を担っていくためには、既存の圃場条件でもできる直播に舵を切るしかなかったといいます。

「基盤整備が終わっていない狭い圃場では、大きな田植機を入れるのが難しい場合もある。それなら、直播で対応できる圃場は直播にして、少ない人数で回せる体制を作るしかない、と考えたんです」。

 

リゾケアXL 3年目で全体面積の約4割まで拡大


直播に取り組み始めたのは3年ほど前。基盤整備が終わった1ha区画の田んぼで、まずは2ha程度からリゾケアXLでスタートしました。

「1年目の作付け面積は2haほどでスタートしました」。

「今はリゾケアXLで全体の約4割まで来ています。面積で言うと、水稲全体の中で相当な割合を占めるようになりましたね」。

特に評価しているのが、リゾケアXLの播種と同時に除草剤が撒けるという点です。

「従来の湛水直播では、播種後に田んぼを一度干してから除草剤を撒く必要がありました。リゾケアXLはその工程がいらなくなって、播種と同時に済ませられる。作業回数が減るのは、労力の面でも管理の面でも大きいですよ」。

2,000枚の育苗負担を軽減。省力化の実感


直播にこだわる理由の一つが、育苗負担の重さです。組合は現在、育苗ハウスを4棟保有し、それぞれ2回転させて年間で約6,000枚の苗を育てています。

「育苗って、大変なんですよね。苗の管理をしっかりできる人でないとダメだし、その担当者への負担も相当なもの。しかも、次の世代にその技術を継いでいくのが難しくなってきている。育苗の枚数を減らせる直播は、その意味でも大きな意味があるんです」。

組合メンバーも、育苗負担の重さと直播による削減効果を実感しているといいます。

「うちはハウス42棟あって、それぞれ2回転させています。全部移植しようとなると合計で8,000枚近く必要になるんですが、リゾケアXLでの直播が入ったおかげで、そのうち2,000枚近くは減らせてきた感覚がありますね。面積で言えば、10〜12ha分ぐらいの育苗負担が軽くなっている計算です」。

育苗ハウスの回転数を抑えることで、経営全体の労力配分にも余裕が生まれつつあります。

「うちは組合員が集落全員で約100名いますが、実際に作業に参加できる現役メンバーは40名ほど。しかもオペレーターとして田植機や大型機械を扱える技術のある方はさらに少ない。そういう状況で、育苗も田植えも人手が必要な移植を続けるのは、正直厳しい」と粟屋さん。

田植え時期には、田植機1台につきオペレーター1名、苗運びのメンバー4〜5名、育苗ハウスから軽トラックで運搬する担当者、箱洗浄の担当者と、大所帯での作業になります。休みの日に総勢15〜16名が動く体制でようやく回っている現状です。

「その規模を、これから10年、20年と維持できるかというと難しい。少ない人数でも回せる仕組みを、今のうちから作っていかないといけないんです」。

 

「収量よりも収支」――地域の水田を守るための現実的な選択


コスト面について尋ねると、「リゾケアXLは酸素発生剤コーティングより単価は高い」と率直に認めます。しかし、それを補って余りある省力化のメリットがあるという判断です。

「移植と直播で収量差は正直あります。この辺りではコシヒカリの移植が反収で7俵ぐらい取れれば合格点ですが、直播だとそこから1俵ぐらい落ちることが多い。ただ、その1俵の差を人件費や労力の削減と合わせて考えれば、収支としては全然マイナスにならないんです」。

農事組合法人中村でも、経営面での判断軸を「収量よりも収支」だと明確に語ります。

「移植と比べて直播の反収が低いという話はよく出ますけど、資材費や人件費が減っていれば、差引きで見ればそんなに変わらない。うちのような組合経営では、単価じゃなくて収支で見るのが大事です。省力化できることをやっていくのが、これからの時代には必要だと思っています」。

農事組合法人中村が強く意識しているのが、地域の水田をこの先も守り続けていくための「武器」としての直播の位置づけです。

「うちの組合員は集落全員が入る形なので、集落そのものが続く限り、組合も続かなければいけない。そのために、少しでも人手を減らしても回せる仕組み、コストを抑えられる方法、そういう武器を持っておく必要があるんです。リゾケアXLは、その武器の一つとして、確実に役立っています」。

今後の展望として期待しているのが、富富富の直播への展開です。

「富富富は苗立ちが良くて、直播との相性が非常にいいと聞いています。県も富富富を増やしたい意向がありますし、うちも収穫時期を分散させる意味で、コシヒカリの直播に加えて富富富の直播を組み込んでいけないかと考えています」。

集落一体で運営する組合として、地域の水田をどう守っていくか——農事組合法人中村の視線は、目の前の作業だけでなく、次の10年、20年を見据えた地域全体の姿にも向けられています。

「基盤整備が思うように進まない中でも、できることをやっていく。省力化して、少ない人数でも回せる体制を作って、次の世代にちゃんと引き継いでいく。そのためにリゾケアXLは大事な選択肢の一つです」。

「田んぼが荒れてしまえば、地域そのものが荒れる。それだけは避けたいんです」。

【農事組合法人中村からのメッセージ:リゾケアXLを検討している方へ】
「移植と直播で収量差は確かにあります。でも、その差を人件費や労力の削減、育苗の負担軽減と合わせて総合的に考えれば、リゾケアXLは十分に選ぶ価値のある資材です。特にうちのように基盤整備が思うように進まない地域や、担い手の高齢化が進んでいる集落では、直播が地域の水田を守るための現実的な選択肢になる。値段だけで判断せず、収支の全体像で見てほしいと思います」。

農事組合法人中村の皆様

写真:農事組合法人中村の皆様
富山県。集落一体で運営される農事組合法人。組合員約100名、うち実作業に参加する現役メンバー約40名。水稲約40ha(コシヒカリ、富富富、てんたかくなど)を手がける。3年前からリゾケアXLを本格導入。現在は水稲面積のうち約4割まで拡大している。基盤整備工事の遅延という条件の中でも、地域の水田を集落一体で守るための組合経営を続けている。

 

 

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リゾケアXL

※掲載内容は取材当時のものです。 
※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。 
※本記事は農事組合法人中村への取材に基づく事例紹介です。記載された製品の使用感、育苗負担、作業人数、収量、コストおよび収支等は、同法人の圃場条件、経営規模、使用機器および作業体制に基づくものであり、すべての条件で同様の結果を保証するものではありません。 
※記事中の育苗箱約2,000枚、10~12ha相当、移植栽培との収量差および反収に関する数値は、同法人における実績または試算です。一般的な削減量や収量差を示すものではありません。 
※収量と収支に関する評価は、同法人における資材費、人件費、作業条件等を踏まえた見解です。直播による収益性、コスト削減または経営上の効果を保証するものではありません。 ※栽培結果や経営上の効果は、品種、土質、圃場、水管理、気象、資材価格、使用機器、作業体制その他の条件により異なります。 
※農薬を使用する際はラベルをよく読み、登録された作物、使用時期、使用量、使用方法等を守って使用してください。