体験レポート

20haから70haへ、地域の田んぼを引き受け続けてきた13年。春の作業ピークを分散する選択肢として、 2026年からリゾケアXLを導入し、鉄コーティングと合わせて計6haで湛水直播を実践。

水稲
JAあおば 営農指導課 江畑 寛明さん(左) 株式会社茶木農場 茶木 俊文さん(右)

富山県大久保地区で、水稲54ha、麦、だいず、飼料用WCSを合わせて約73haを手がける株式会社茶木農場。就農13年目を迎え、家業を継いだ当初は20haだった作付面積が、地域の担い手不足を背景に3倍以上へと拡大してきました。飼料用WCSではこれまで鉄コーティングによる直播を実践してきましたが、2026年、食用米でも本格的な湛水直播に踏み出すべく、リゾケアXLを約1haで導入(鉄コーティングと合わせて計6haを湛水直播で実施)。「誰かがやらないと」と地域の農地を受け止めてきた茶木さんに、リゾケアXL導入の背景と、これからの水田経営についてお話を伺いました。

 

【目次】

「誰かがやらないと」の思いで、20haから70haへ規模を拡大 

春の作業ピークが最大の課題 

発芽の揃いと早さに手応え。「移植とあまり変わらない」と実感 

省力化の要として湛水直播を位置づける 

 

 

「誰かがやらないと」の思いで、20haから70haへ規模を拡大


 茶木農場が家業として稲作を営む富山県大久保地区の東部地区は、およそ200haの水田が広がるエリア。茶木さんが家業を継いだ13年前、作付面積は約20haでした。それが現在、約73haにまで拡大しています。 

 「もう続けられない、辞めたいっていう方が本当に答えてきた結果だと思います。」。
面積の広がり方は、決して計画的なものではなかったといいます。生産者同士のコミュニケーションを重ねる中で、「そろそろお願いしたい」と声がかかる。そのたびに一枚、また一枚と引き受けてきました。 

 「田んぼって、誰かがやらないとどうしようもないものだと思っています。景気が悪いから辞めます、って辞められるものじゃない。目の前に田んぼがあって、それを守っていくのが自分たちの役割なのかなと」。
一度荒れてしまった圃場を復旧する大変さも、経験したことがあります。


「荒らしてしまった田んぼを引き受けたこともあります。元の状態に戻すまでに2〜3年、丁寧に管理してやっと当たり前に作れるようになる。そうならないうちに、誰かが受けておかないといけないと思っています」。

屋外で微笑む株式会社茶木農場 茶木俊文さん

 

 春の作業ピークが最大の課題 


 茶木さんが最大の課題と位置づけているのが「春の作業ピーク」です。育苗、田植え、そしてそれに関わる人員の確保が、経営全体を左右する。


「特に春を出来る限り省力化してやりくりするかが、一年を通して一番のカギです」。
茶木農場では以前から、飼料用WCSで鉄コーティングによる直播を実践してきました。ただ、食用米の直播には手を出せずにいたそうです。乾田直播も検討したものの、地域の圃場条件では水持ちや雑草の問題があり、断念してきました。
 

「うちの辺りは水の便もそこまで豊富じゃなくて、乾田直播はちょっと難しいのではなかと考えています。それなら湛水直播の方が取り入れやすいのではないかなと思いました」。
そんな中で、農協を通じてリゾケアXLの話を聞き、近隣の生産者の圃場で試験栽培の様子を見せてもらったのが導入のきっかけでした。
 

「近隣の田んぼをちらちら見せてもらって、発芽が早そうだな、と感じたんです。じゃあうちも試してみようか、と。2026年は主食用米の栽培に鉄コーティングを5ha、リゾケアXLを1haの計6haで始めました」。

机で資料を見ながら説明する株式会社茶木農場 茶木俊文さん

 

 

発芽の揃いと早さに手応え。「移植とあまり変わらない」と実感   


 取材は、リゾケアXLを導入して数か月経った時期。収穫前ではあるものの、茶木さんは初年度の手応えを率直に語ってくれました。
「今年は順調でしたね。発芽が早く、きれいに揃って出てくれたと感じています」。


 生育初期の見た目について、茶木さんは移植栽培と大きく変わらないように感じたといいます。
「鉄コーティングはどうしても発芽までに時間がかかって、ムラも出やすい。3週間経って『そろそろ除草剤を撒かなきゃ』ってなっても、まだ揃っていない状態で撒くこともあった。リゾケアXLはそこがすごく綺麗に揃うので、除草剤散布のタイミングも取りやすくて助かりました」。
とくに手応えを感じたのが、過年度種子の富富富でした。
もうひとつ、鉄コーティングとの実務的な違いにも触れられました。
 

 「鉄コーティングは自分たちでコーティングをしていました。扱う量が多くなると、作業量や場所、作業環境などが負担に感じるようになってきました。リゾケアXLは既にコーティングされた状態で届くシンプルさがあって、その分の労力をかけずに済むのは大きいですね」。
 

 茶木さんは、同農場の作業条件を前提に比較すると、資材費と作業負担を合わせたコストは移植栽培と大きく変わらない可能性があると見ています。「収量が移植と同等ぐらいで揃ってくれれば、労力面のメリットがそのまま経営メリットになる。あとは収量の結果を待つだけ、というところですね」。
 

省力化の要として湛水直播を位置づける


 水田経営をつづけていくためには、春の作業をどれだけ分散できるかにかかっている、というのが茶木さんの明快な整理です。


「移植の作業を極力減らして、直播で分散していく。春の作業ピークを分散するには、とても有効な手段だと考えています。だから直播は、うちにとって未来の技術というより、今すでに現実的な選択肢なんです」。
初年度の結果次第では、リゾケアXLによる直播面積を今後1/3程度、15〜20ha規模まで広げることも構想にあるといいます。ただ、それには圃場条件との相性を丁寧に見極める必要があるとも。
「土質や水の条件で、どうしても湛水直播に合わない圃場もある。うまく合う圃場から、少しずつ広げていく形になると思います」。
 

面積を追い求めるのではなく、地域の田んぼを守るために現実的な選択を積み重ねていく。茶木さんの言葉の端々には、そうした地に足のついた経営者の姿勢が滲みます。
「作れる限り作る。目の前の田んぼをどう回すかを、一つひとつ考えていくしかないんです」。
秋の収穫は、今年のリゾケアXL導入の最初の答え合わせ。その結果を受けて、来年以降の作付計画がまた一段階、動き出していきます。

【茶木さんからのメッセージ:リゾケアXLを検討している方へ】
「まだ収穫までいっていないので、断言はできないですけど、これまでの生育の過程を見ていると『良さそう』という感触はありますね。鉄コーティングよりも発芽が早い印象があります。乾田直播が条件的にできる地域なら、その方が省力化の面で良さそうだと思いますが、うちみたいに湛水直播の方が確実な地域では、選択肢として十分ありだと思います。酸素発生剤コーティングや鉄コーティングをやってきて、それぞれのネックになっていた部分が、リゾケアXLで解消できそうな感触はあります。気になるなら、やってみたらいいんじゃないかなと思います」。
 

JAあおば 営農指導課 江畑 寛明さん(左) 株式会社茶木農場 茶木 俊文さん(右)

写真:JAあおば 営農指導課 江畑 寛明さん(左) 株式会社茶木農場 茶木 俊文さん(右)
富山県大久保地区。就農13年目。家業として稲作を継承し、20haから約73haまで作付面積を拡大。水稲54ha(コシヒカリ、富富富、てんたかく、てんこもりなど)、麦、だいず10ha、飼料用WCS7haを手がける。地域の担い手不足を背景に、東部地区の農地維持を担う存在として活動を続ける。2026年からリゾケアXLと鉄コーティング合わせて湛水直播6haを導入。
 

 

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リゾケアXL

※掲載内容は取材当時のものです。 
※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。 
※本記事は株式会社茶木農場への取材に基づく事例紹介です。記載された製品の使用感、生育状況、作業負担およびコスト等は、茶木農場における使用経験と見通しに基づくものであり、すべての圃場条件で同様の結果を保証するものではありません。 
※取材時点では収穫前であり、収量・品質については未確定です。生育状況や移植栽培との比較、今後の導入面積等に関する記載は茶木農場における評価または構想であり、移植栽培と同等の収量・品質や経営上の効果を保証するものではありません。 
※栽培方法や結果は、品種、種子の状態、土質、圃場、水管理、気象、播種方法、使用機器その他の条件により異なります。 
※農薬を使用する際はラベルをよく読み、登録された作物、使用時期、使用量、使用方法等を守って使用してください。