体験レポート

酸素発生剤コーティング16年からリゾケアXLへ全面切替。 富富富の直播移行で作業ピークをさらに分散させ、 地域の農地を守る組合の次の一手

水稲
農事組合法人住吉営農組合の皆様

富山県で水稲30ha超と大麦を手がける農事組合法人住吉営農組合。組合設立以来、実に16年以上にわたって酸素発生剤コーティングによる湛水直播を続けてきた、地域でも屈指の直播経験を持つ組合です。地域の他組合との協議の結果、2026年産から全面的にリゾケアXLへ切り替え。3年目を迎えたリゾケアXLの実感と、来年からの富富富の直播移行に向けた展望について、組合長をはじめ役員の皆さんにお話を伺いました。

 

【目次】

組合発足前から続く直播の歴史。酸素発生剤コーティング16年からリゾケアXLへ 

播種同時の除草剤散布が可能に。作業回数の削減が最大のメリット 

来年からの一手は、富富富の直播移行。作業ピーク分散のカギに 

「収量よりも収支で見る」――地域の農地を守るための経営視点 

 

 

組合発足前から続く直播の歴史。酸素発生剤コーティング16年からリゾケアXLへ


農事組合法人住吉営農組合の直播の歴史は、実は組合の設立以前まで遡ります。地域には元々、個人で湛水直播に取り組んでいた生産者がおり、その方の知見が組合設立時に受け継がれる形で、組合としての直播が始まりました。

「組合が立ち上がる前から、この地区では個人で直播をやっておられる方がいたんです。その方が農業に非常に詳しくて、『直播の方が美味しいよ』と。それで組合として発足したときも、自家消費米は直播のコシヒカリで作るところから始めたんです」。

組合発足以来、実に16〜17年間にわたって続けてきたのが酸素発生剤コーティングによる湛水直播。長年にわたって蓄積された直播のノウハウは、組合の大きな財産となっています。

そんな住吉営農組合が、2026年産で全面的にリゾケアXLに切り替えたのは、地域の直播協議会全体での方針転換が大きなきっかけでした。

農事組合法人住吉営農組合の皆様

「住吉と近隣の営農組合が集まって直播協議会を組んでいるんですが、そこでリゾケアXLに転換される組合が多くなってきたんです。協議会全体としてリゾケアXLに揃えていこう、という流れになりました」。

初年度はまず1圃場から始め、翌年6圃場、そして今年から全面切り替え。組合として16年の直播歴を持ちながら、なおリゾケアXLに向き合う姿勢の背景には、地域全体で足並みを揃えて直播文化を継続させたいという判断がありました。

 

 

播種同時の除草剤散布が可能に。作業回数の削減が最大のメリット


長く酸素発生剤コーティングを扱ってきた組合として、リゾケアXLに切り替えて実感している最大のメリットは、除草剤散布のタイミングだといいます。

「酸素発生剤コーティングの時は、播種した後で田んぼを一度干して、水を落として除草剤を撒く工程が必要でした。それが、リゾケアXLだと播種と同時に除草剤を撒けるようになったんです。この差は本当に大きいですよ」。

作業回数が減るということは、単に労力の話ではなく、圃場管理のスケジュール全体を組み立て直せることを意味します。播種→田干し→再入水→除草剤散布という一連のサイクルから、播種+除草剤同時散布→水管理というシンプルな流れへ。

「以前は播種後に何日か干して、その後除草剤を撒いて…と工程が多かった。今は同時にできるので、その分だけ手が空くんです。過去の時代からずっとやってきた身としては、この違いは実感として大きいですね」。

農事組合法人住吉営農組合の皆様

一方で、リゾケアXLの初年度・2年目は水管理の面で試行錯誤もあったといいます。

「初期剤の効果を出すには、播種後7日間ぐらい水を張っておく必要があるんですが、水が抜けやすい圃場や、水管理を早めに落としてしまった方の田んぼでは、周りの草がちょっと多くなってしまった。水を張っておけた圃場では、除草効果が2回目の除草剤散布までうまくつながっていました」。

こうした実感を踏まえて、今年からは組合として水管理の方針を明確化。SNS(LINE)で「本日はこの作業をしました」「水管理をこうしてください」と組合員全員に情報共有する体制を整えました。

「40人近くの組合員がいるので、直接会えない人にも情報が届くようにLINEで流しています。これは若い役員の発案で始めたんですが、非常に助かっていますね」。

来年からの一手は、富富富の直播移行。作業ピーク分散のカギに


住吉営農組合の作付は、コシヒカリの移植約16ha、コシヒカリの直播5ha、そして富富富の移植約10haという構成。全体で30haを超える規模です。

現在の組合の課題として組合長が挙げるのが、コシヒカリと富富富の収穫時期の重なりです。

「コシヒカリの移植、コシヒカリの直播、そして富富富の順で稲刈りをしています。ただ、コシヒカリから富富富への品種切り替え時には、コンバインの清掃、乾燥機の清掃、乾燥ライン、モミすりラインの清掃と、期間を取らなくちゃならないんです。今年の天気だと富富富の刈り取りが早まる可能性もあって、その期間がなかなか取れなくなってきています」。

そこで組合が構想しているのが、富富富の直播への切り替えです。

「コシヒカリの移植→コシヒカリの直播→富富富の移植→そして最後に富富富の直播、という順番にできないかなと。富富富は登熟期が遅くなる直播にすることで、収穫のピークをさらに後ろにずらせる。品種切り替えの期間も余裕を持って取れるようになります」。

富富富は富山県のオリジナル品種として、県内でも作付が拡大している注目品種。直播との相性が良いという報告も他の生産者から聞かれているといいます。

「他の市町村でも富富富の直播をやっておられる方がいると聞いているので、今年の状況を情報収集しながら、来年からの導入を検討していきたい。もしうまくいけば、コシヒカリの直播5haに加えて、富富富の直播5ha程度を組み込んでいく形になるかもしれません」。

作業ピークの分散、収穫時期のずれ、そして育苗負担のさらなる軽減——3つの効果を同時に狙える選択肢として、富富富の直播移行は組合の次のステップに位置づけられています。

 

 

「収量よりも収支で見る」――地域の農地を守るための経営視点


コスト面について尋ねると、率直に「リゾケアXLは酸素発生剤コーティングより高い」との認識を示した上で、組合としてはこう整理されています。

「リゾケアXLは正直、酸素発生剤コーティングと比べると単価としては高い。ただし、これはコーティングや浸種の作業がなくなる分、他の作業で吸収できるような経営に切り替えていかなければならない、ということでもあるんです」。

組合員のお一人からは、より本質的な視点として「収量よりも収支で見る」という考え方が示されました。

「移植と直播で収量差があると『どっちが多い』『どっちが少ない』と話題になりがちですが、私はあまり気にしていません。収量が少なくても、資材費や人件費の差し引きで収支が合っていれば、それでいい。組合として大事なのは、単価じゃなくて、赤字か黒字か。そのシンプルな話です」。

「移植と直播の収量差が縮まってくれれば一番いいけど、それよりも費用の差し引きがどうかで判断する。省力化できることはやっぱりやっていきたいですね」。

こうした経営視点の裏には、地域の農業を担う人材の変化という切実な現実があります。

「田植えの時期には十数人が出てきていただけますが、田植え後の作業になると、平日はなかなか声をかけるのも難しくなる。うちの組合は兼業農家がほとんどなので、平日作業できる人材が限られているんです。この地域の農業を守っていくためには、少ない人数で回せる仕組みを作っていくしかない」。

近隣にも複数の営農組合がある中で、住吉営農組合は「集落に根差した組織」という位置づけです。他組合との統合の話は今のところなくても、地域の水田をどう守り続けるかという課題は、常に組合の中心にあります。

「うちに入っていない方の田んぼが数ha分ぐらい増えるかもしれない、という状況もありますが、それも含めて、少ない人数でも回せる体制をどう作っていくか。そのための一手として、リゾケアXLでの直播、そして来年からの富富富の直播があるんです」。

16年の直播の実績と、次の10年に向けた省力化の取り組み。住吉営農組合の歩みは、地域の農地を守るために組合が取れる現実的な選択肢を、着実に積み上げていく姿そのものです。

【住吉営農組合からのメッセージ:リゾケアXLを検討している方へ】
「16年間酸素発生剤コーティングをやってきた組合として言えるのは、播種と同時に除草剤が撒けるようになるのは本当に大きいということです。作業回数が減る、水管理がシンプルになる、コーティングや浸種の負担がなくなる。酸素発生剤コーティングや鉄コーティングを長くやってこられた組合や生産者ほど、その違いは実感として大きく感じられると思います。値段は正直安くはないですが、作業省力化と精神的な負担軽減を合わせて考えれば、選ぶ理由は十分にあります」。

農事組合法人住吉営農組合の皆様

写真:農事組合法人住吉営農組合の皆様(左)JAうおづ 営農経済部 清水 雄太さん(右)
富山県。組合発足前から続く直播の伝統を受け継ぎ、16〜17年間にわたって酸素発生剤コーティングによる湛水直播を実践。水稲30ha超(コシヒカリ移植16ha、コシヒカリ直播5ha、富富富移植10haなど)、大麦を手がける。組合員約40名、兼業農家中心の運営体制で、地域の農地を守る集落密着型の組織。2024年からリゾケアXLの試験導入を開始し、2026年産で全面切り替えを実施。

 

 

関連製品:

リゾケアXL

※掲載内容は取材当時のものです。 
※記事に登場する人物の、製品に関するコメントは個人の感想です。 
※本記事は農事組合法人住吉営農組合への取材に基づく事例紹介です。製品の使用感、作業回数、水管理、除草状況、作業負担および収支等は、同組合の圃場条件、使用資材および作業体制に基づくものであり、すべての条件で同様の結果を保証するものではありません。 
※播種と除草剤散布を同時に行うことができるかは、使用する除草剤の登録内容、使用時期、使用方法および栽培条件により異なります。実際の使用にあたっては、各農薬のラベルに記載された内容を必ず確認してください。 
※富富富の直播導入、作付面積および収穫時期の分散に関する記載は、取材時点における同組合の計画または見通しであり、実施や結果を保証するものではありません。 
※収量、収支、省力化の程度および除草効果は、品種、土質、圃場、水管理、気象、使用資材、作業体制その他の条件により異なります。 
※農薬を使用する際はラベルをよく読み、登録された作物、使用時期、使用量、使用方法等を守って使用してください。