バイオテクノロジー

水田

バイオテクノロジーのインパクト

バイオテクノロジーのインパクト
何世紀もの間,私たちは、バイオテクノロジーやバイオロジーのプロセスを利用して、パン、チーズ、ビール、ワインなどの食品を作ってきました。しかし、これらのプロセスにおいて、どの遺伝子が重要な役割を果たしているのかが分かり、それらを利用して植物の性質を変えることができるようになったのは、 1970年代に入ってからのことです。
1996年に、バイオテクノロジーの成果を商品化して以来、農薬と種子産業に大きなインパクトを与え続けています。

農薬

農薬
  • バイオテクノロジーは、主にダイズとオイルシード用の農薬市場に影響を及ぼしました。すなわち、選択性除草剤から非選択性除草剤へのシフトが起こりました。バイオテクノロジーから生まれた除草剤耐性作物に、非選択性除草剤が使われています。
  • 害虫抵抗性作物が殺虫剤市場に与えるインパクトは、まだそれほど大きくはありません。それは、作物の収穫量を上げるには、農薬による防除プログラムが、依然として必要だからです。
  • バイオテクノロジーは、新しい有効成分の開発に貢献します。たとえば、有望な化学成分を大量にテストすることができたり、遺伝子組み換え技術を用いて、化学物質が働く仕組みを開発の初期段階で明らかにすることができるため、研究開発の新しい目標を定める上で役立ちます。

種子

除草剤耐性や害虫抵抗性の農作物が登場し、種子により高い付加価値をつけることができるようになりました。

  • 従来の育種プロセスにおいて、有用な性質をもつ品種を、遺伝子マーカーを利用して追跡し、新しい品種を作り出す。
  • 遺伝子組み換え技術により、油脂やビタミン、健康に良い栄養素などを多く含む、消費者に有益な作物や、害虫や病害、除草剤に強い作物など、農家に利益をもたらす作物を作り出す。
  • 農家や消費者に役立つ新しい品種が多数開発されつつあります。今後 15年間で、バイオテクノロジーは農産物市場に大きな変化をもたらすでしょう。現在、遺伝子組み換え種子の売り上げは、シンジェンタの総売上の2%を占めています。

シンジェンタと植物バイオテクノロジー

シンジェンタと植物バイオテクノロジー
シンジェンタは、バイオテクノロジーに関連する幅の広い基礎科学の知識を世界規模でもつ企業であり、バイオテクノロジーを基盤とする製品の開発に有利な位置にある、世界でも数少ないアグリビジネス企業のひとつであると確信しています。バイオテクノロジーがもたらすことができると私たちが信じるさまざまな可能性を追求し、私たちの持つ資源を適切に、継続的に、競争に打ち勝てるレベルで投入していく方針です。

植物バイオテクノロジーは、先進国および開発途上国の人々に、大きな利益をもたらす可能性があると私たちは信じています。シンジェンタは、今後も、安全で効果的な遺伝子組み換え技術の研究開発に注力していきます。と同時に、現在、バイオテクノロジーについて、多くの方々が懸念を持たれていることを、私たちは認識しています。人々の考え方は、地域により大きく異なります。北米や新興国では、遺伝子組み換え技術は概ね、受け入れられていますが、ヨーロッパでは、遺伝子組み換え技術を用いて新しい食品や飼料を作り出すことについて、反対する人々もいます。政党、消費者団体、いくつかの政府が、食品としての安全性と、環境問題について懸念を表明しています。ヨーロッパにおいては承認プロセスの確立が遅れ、明確な法手続きがまだ定まっていません。

シンジェンタは、今までと同様、これからも遺伝子組み換え作物をめぐる話し合いに積極的に参加していきます。私たちは、各地域の住民や、世界中の業界団体を通じて活動してきました。バイオテクノロジーに関しては、次の方針に基づいて、情報の公開に努めてきました。

  • 植物科学やジェネティックに関連する情報を提供し、理解を深めていただく。
  • バイオテクノロジーがコストと品質において利益をもたらすことを明確化する。
  • 消費者の選ぶ権利を尊重する。

技術革新に関しては、世界中の人々の考え方を十分に考慮します。​

  • 例えば、ヨーロッパでは、消費者にとって明確なベネフィットがある遺伝子組み換え作物を優先して導入していくことが重要です。ゼネカがイギリスの2つのスーパーマーケットチェーンを通じて、色と味がより良く、低価格の遺伝子組み換えトマトピューレを導入したのは、このよい例です。
  • 開発途上国では、バイオテクノロジーは食糧生産と健康促進に多大な貢献を果たします。例えば、シンジェンタは、ビタミンAの前駆体であるβカロチンをつくる「ゴールデンライス」を開発しています。多くの開発途上国では、ビタミンA不足が、多くの病気や、失明、特に子供の失明の原因になっています。

シンジェンタは、技術力の改善に努め、人々が懸念するリスクを和らげる技術を採用していきます。例えば、抗生物質耐性マーカーに取って代わるマーカーとして、「ポジテック」と呼ばれる新しいマーカーシステムを導入しました。

消費者にとってベネフィットのある製品が増え、安全性問題やリスクを理解するための科学の利用について、一般の人々の理解が深まれば、バイオテクノロジー技術を使って作られた製品に対する人々の受け入れが進むと、シンジェンタは確信しています。