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消費税インボイス制度導入による農業者への影響について

消費税の仕組み

2023年10月1日から消費税インボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されます。 インボイス制度とはどのような制度なのでしょうか。皆さんにどのような影響があるのででしょうか。(一社)農業利益創造研究所理事長で、農学博士の平石武さんに解説していただきました。1回目今回は「消費税の仕組みについて」です。

消費税は商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税され、消費者が負担し、事業者が納付する間接税です。まずは、消費税がどのような税なのかを解説します。

国の歳入総額の20%を占める消費税


消費税は社会保障に使われているとされ、国の予算の33.7%を占めています。一方、歳入総額で最も多いのは公債金。国の借金です。税金では消費税が一番多く、歳入総額の20%を占めています(2022年度予算)。

国の歳入総額の20%を占める消費税

3つの消費税業者

消費税は売上金額によって3つの消費税事業者に分けられます。その事業者の前々年度の課税売上によって変わります。

  • 1,000万円以下→免税事業者(消費税の申告は不要)
  • 1,000万円以上~5,000万円以下→簡易課税事業者(簡易な計算で消費税を申告)
  • 5,000万円以上 →原則課税事業者(正規の計算)

課税売上とは、売上全体から免税売上(販売が輸出取引の場合)や非課税売上(土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などの取引)をのぞいた売上のことです。事業者のこの3つの区分は、事業者の意思によって変えることができ、その場合、税務署に「課税事業者選択届出書」を提出します。

ソリマチの農業簿記ユーザー 個人事業者13,000件のデータを分析したところ、実際の販売金額別の経営体数の割合は下記表のように、
10%の農家は、免税事業者でも良いのに課税業者になっている
14%の農家は、免税か簡易事業者から、原則課税を選択している

  農業簿記ユーザーの
販売金額別の農家数の割合
(13,000件)
農林業センサス調査による
全国の経営体数の割合
(100万件)
1~1,000万円以下 41% 79%
1,000~5,000万円 53% 10%
5,000万円~ 6% 2%

原則課税事業者の消費税の計算方法


消費税の計算方法を解説しましょう。売上が1,180万円、課税売上1,080万円の農業者の場合、80万円分の消費税を預かっていることになります。一方経費の売上は710万円で、このうち人件費や地代をのぞいた課税仕入額は税込みで660万円。消費税は60万円となりますが、これを仕入税額控除といいます。

原則課税事業者は、税務署には売上にかかる消費税80万円から仕入税額控除(消費税)60万円を引いた20万円を消費税として支払います。もし仕入れの消費税額が大きかった場合は、税金が還付されます。納めすぎた消費税が還付されるのも、原則課税事業者のメリットです。

「原則課税」の消費税の計算方法

簡易課税事業者の消費税の計算方法


簡易課税事業者が同じ条件の場合、みなし仕入れ率によって課税仕入額を計算する点が異なります。みなし仕入れ率は事業者の仕事内容によって決まっており、農業は下記の割合です。
農業の(食用農産物)は第二種事業で80%
農業の(非食用) は第三種事業で70%(例えば 花)
農業の(飲食店など)は第四種事業で60% (例えば 農作業受託)

80万円の消費税を支払っている場合、その80%である64万円の消費税を支払っているとみなされます(農業の(食用農産物)の場合)。売上に対しての計算であるため還付はありません。

「簡易課税」の消費税の計算方法

免税事業者の消費税の計算方法


免税事業者は簡単です。税金を免除されているため、売上の消費税80万円から経費の消費税60万円を引いた消費税20万円は納めなくてもよいとされています。国としてはこの免税事業者に税金を納めてもらいたいという思いがあるでしょう。

「免税事業者」の場合

原則課税事業者のメリット


原則課税事業者は、高価な農業機械も課税仕入れになりますので、消費税の還付が受けられる場合があります。売上の消費税を 80万円支払っている農業者が、1,100万円のトラクターを購入すると消費税100万円ですが、納めすぎた20万円の消費税が還付されることになり、大きな買い物する場合は、原則課税が有利となります。

簡易課税事業者や免税事業者には、還付はありません。また農業機械の購入などを理由に、簡易課税事業者が購入する年だけ原則課税業者を選択することもできません。一度選択したら2年間は変更できないというルールがあるためです。

次回は「インボイス制度の概要」について特集します。

詳細は国税庁ホームページを参照してください。

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