L大玉以上の比率が高く、アビオスリーの生育促進効果を確認。次年度以降の継続的な試験で品質向上を見極めたい
日本一のブランドを守るために、常に新しい事に挑戦
日本一の生産量を誇るたまねぎ、「北見玉ねぎ」の産地、JAきたみらい。管内に3万1260haの圃場が広がり、北海道産たまねぎの40%を占める年間23万トンを出荷しています。降水量が少なく、1日の寒暖差が大きい気候下で育つことで、玉がしっかりと締まったたまねぎが収穫できます。加熱することで甘みがぐっと強まるのがおいしさの特徴です。極早生から晩生まで播種の時期をずらして栽培・収穫し、長期保管をしながら8月〜翌年4月まで出荷できることも北見玉ねぎの強みだといいます。
今村圭一さんは、JAきたみらい玉葱振興会青年部の副部長と、端野町玉葱振興会青年部の部長を兼任され、日本一の産地として自信と誇りを持ってたまねぎを栽培されています。
「畑の隅々までしっかりと管理をし、収量をあげることはもちろん、品質を大切にして、どうしたら良い物を取れるかを常に考えています。2023年は記録的な猛暑でしたが、そういった気候の変化があっても品質と収量が維持できるよう、青年部で情報共有をしながら新しい取り組みにも積極的に挑戦しています。」
その1つとして、今回アビオスリーの試験栽培にご協力いただきました。約30aの圃場で、5月25日の除草剤と、6月2日の殺虫剤散布時の2回、アビオスリーを1000倍に希釈し、極早生品種に使用しました。アビオスリーは液体なのでスプレイヤーで散布できる手軽さがよかったと話します。
L大玉以上の比率が高い点は評価。商品価値の高いL玉を増やすことが課題。
生育中にはアビオスリー処理区と無処理区にそれほどの差は確認できなかったとのことですが、8月8日の収量調査では、L玉大以上、特に2Lの比率が高いという結果を得ました。同時にいくつかの課題も見つかったと話します。
「L大以上、特に2Lが多かったことで、アビオスリーの使用によって玉肥大が促進され大きく育つことがわかり、その点は評価できるかと思います。ただ、生食用たまねぎはL大がもっとも商品価値が高いため、2LよりもL大を増やしていくことが目標です。そこは今後の課題として残りました」
また大きさだけではなく、規格外の屑や腐れなどの品質の悪いものをいかに減らすかも課題です。2023年は全体的にくずや腐れが比較的少なかったため、アビオスリーが玉揃えに効果を発揮できるかまでは確認できませんでした。気候など外的な要因なども含め、今後、試験を繰り返しながら品質向上にどれだけ貢献できるかも見ていきたいと話します。
「今年は肥大性がある極早生品種で使用しましたので、成長がより促進された面があるかもしれません。来年度は晩生品種でも試したり、根切り※)のタイミングも変えたりするなどして、その違いを見ていきたいです。また、より条件の悪い圃場ではどんな結果が出るかも確認できたらと思います。いずれにしろ1回ではわからないことばかりなので、最低2年、できたら3年計画くらいで青年部としてアビオスリーの試験に取り組んでいきます」
※)根切り 玉ねぎの成長を止めるために地中に伸びる玉ねぎの根を機械の刃で切断する作業のこと
【今村圭一さん アビオスリー試験時の玉ねぎ栽培暦(極早生)】
2月13日 播種
4月11日 移植苗の植え付け
5月末 土壌処理、除草剤、アビオスリー葉面散布
6月2日 殺虫剤、アビオスリー葉面散布
7月10日頃 根切り、収穫前
7月25日 極早生の収穫
8月末から9月初旬 中早生、晩生収穫
9月25日 選別終了
今村圭一さん(北海道北見市端野町)
農業に関わる仕事を経て20代後半で就農。家族4人で経営。青果用たまねぎ13ha、
赤たまねぎ1ha、秋まき小麦2ha、ビートが2.6haを作付。