馬鈴しょの生産性向上をめざし、生産者主体のプロジェクトを始動!!

2017/10/31(火)

※写真をクリックすると大きい写真をご覧いただけます。

  • JAきたみらい販売企画部 馬鈴しょグループの有馬祐二マネージャー(左)と川辺浩輔主幹(右)

    JAきたみらい販売企画部
    馬鈴しょグループの
    有馬祐二マネージャー(左)と
    川辺浩輔主幹(右)

平成15年に8つのJAが合併し誕生したJAきたみらい。
現在では、JAの生産者組織である「きたみらい馬鈴しょ振興会」に326名が所属し、約2,324haの馬鈴しょを作付しています。
そんな馬鈴しょの大産地の意識を変え、品質や生産性の向上をめざすプロジェクトを発足することになったきっかけとは、一体なんだったのでしょうか。
同JA販売企画部馬鈴しょグループの有馬祐二マネージャー、川辺浩輔主幹、きたみらい馬鈴しょ振興会の佐藤茂樹会長にお話をうかがいました。


馬鈴しょの品質、生産性向上をめざすプロジェクト発足のきっかけについて教えてください。

有馬さん

平成24年は秋の気温が高めに推移したことなどから、馬鈴しょが大豊作でしたが、翌年の25年は全道的に大干ばつで、当管内を中心とする網走地方は馬鈴しょの収量がかなり低迷したんです。
ところが同じ北海道でも、他産地のばれいしょは大豊作でした。
この悔しい出来事をきっかけに、生産者やJAの中から「他産地に負けない馬鈴しょづくりをめざそう」という声が高まり、平成26年に生産者の方々が主体となった「馬鈴しょ生産性向上プロジェクト」が立ち上がりました。


「馬鈴しょ生産性向上プロジェクト」では、具体的にどのようなことに取り組まれたのでしょうか。

有馬さん

今まで積み重ねてきた経験や栽培技術にあぐらをかくのではなく、初心に帰って一から栽培技術を見直そう、という目的の元、指導的な立場の生産者16名が役員となり、「基本技術班」「輪作体系班」「収穫体系班」の3班に分かれてそれぞれの検証・分析や対策研究に取り組みました。
例えば、プランターで種いもの植え付けをする際の深さですが、生食用の馬鈴しょは土壌表面から4~5センチの深さに植え付けるのが適正な深度といわれてきました。
その適正な深度が、実際に現場で本当に守られているのか。
それを疑うところからスタートして、徹底的に栽培技術を見直すことにしたんです。


このプロジェクトをきかっけに、馬鈴しょの収穫に関する新しい事業をはじめたそうですね。

有馬さん

馬鈴しょは機上選別などの関係で収穫に手間がかかります。
玉ねぎは1日2ha程度収穫できますが、馬鈴しょの場合は1日40~50アール程度が限界。
だから、面積を増やしたくても増やせないという声が多かったんですね。
そこで、馬鈴しょ生産性向上プロジェクトの「収穫体系班」では、収穫作業を請け負う作業受託者をJAが派遣するコントラクター事業を立ち上げることにしました。
例えば10haだった作付を5ha増やし、増やした分に関してはJAが責任をもって収穫を行うことで、面積拡大を容易に図ることができるので、産地全体の生産量拡大にも貢献しています。


馬鈴しょの品質向上のための課題である「黒あざ病」の防除対策として、どのような取り組みをされていますか。

  • 前植溝と後植溝の2ヵ所に散布が行える植溝内土壌散布機

    前植溝と後植溝の
    2ヵ所に散布が行える
    植溝内土壌散布機

有馬さん

そうか病や疫病といった従来からの病害のほかに、近年「黒あざ病」という病害が問題化してきました。
これは、種いもについた菌核や土壌中の病原菌が感染源で、幼茎やストロンが侵されたり、菌核が黒いあざのように塊茎表面に形成されることで、収量や品質が低下する重要病害です。
馬鈴しょ生産性向上プロジェクトの「基本技術班」では、ヨーロッパでスタンダードとなっている「植溝内土壌散布(インファロー技術)」の導入をいち早く検討・推進するなど、馬鈴しょの品質向上に取り組んでいます。


植溝内土壌散布(インファロー技術)とは、どのような防除技術なのでしょうか。

佐藤さん

  • きたみらい馬鈴しょ振興会の佐藤茂樹会長

    きたみらい馬鈴しょ振興会の
    佐藤茂樹会長

植溝内土壌散布は、プランターに薬液噴射ノズルを前後に取り付けた専用の散布機を使用して、植付時に種いも周辺の土壌に薬剤を処理する技術です。
いままで防ぎきれなかった土壌由来の黒あざ病を予防することで、塊茎の大きさの均一化や品質向上を図り、規格内収量を向上させることが期待できます。
馬鈴しょ生産性向上プロジェクトのメンバーが中心となって、平成27年にイギリスの現地圃場へ視察に行きましたが、すでにヨーロッパでは植溝内土壌散布技術が標準となっており、それがないと馬鈴しょはつくれないような状況でした。

  • 植溝内土壌散布のしくみ

    植溝内土壌散布のしくみ

  • 後植溝散布専用ノズル(赤いノズルキャップ部分)

    後植溝散布専用ノズル
    (赤いノズルキャップ部分)

  • ポンプと薬液タンクを前方に設置

    ポンプと薬液タンクを前方に設置


植溝内土壌散布の導入によって、「黒あざ病」が抑えられたそうですね。

佐藤さん

数年前、黒あざ病などの病害発生がひどかったときは、19ha作付している馬鈴しょの一部が被害にあって収量が落ちてしまいました。
この地区は生食用の品種が多いので、一部とはいえどもダメージが大きいんです。
イギリスへの視察の後、平成27年と平成28年に殺菌剤のアミスター20フロアブルを使用して、植溝内土壌散布の試験をしましたが、そのときは黒あざ病などの病気は一切出ませんでした。
実は、今年は理由があって植溝内土壌散布の試験ができなかったんですが、8月に症状が出てしまったので後悔してるんです。
やっぱり植溝内土壌散布で予防しとけばよかったって。
やっぱり病気は予防が重要ですからね。

  • 植溝内土壌散布の処理風景(写真左右)

    植溝内土壌散布の処理風景(写真左右)


今後についてはどうお考えですか。

  • 植溝内土壌散布機の種いもをセッテイング

    植溝内土壌散布機の種いもを
    セッテイング

川辺さん

平成27年の試験開始以来、黒あざ病が比較的発生しにくい天候が続いてはいますが、引き続き試験を実施していきます。
植溝内土壌散布では、殺菌剤のアミスター20フロアブルが唯一、登録を持っていましたが、殺虫剤のアクタラ顆粒水溶剤も、アブラムシ類で植溝内土壌散布の適用拡大となりました。
生産現場のニーズに合ったより効率のよい種いも防除ができると期待しています。


その他、どのような新しい取り組みを考えていらっしゃいますか。

佐藤さん

近年は生産者高齢化の影響で少しずつ馬鈴しょの作付面積が減っているのですが、関係機関との連携を密にして産地を守っていかなければなりません。
そのためには、価格が安定している加工用品種はもちろん、手間のかかる生食用品種にもますます注力していく必要があります。
具体的には、干ばつに負けない栽培技術、コントラクター事業、植溝内土壌散布による病害虫防除など、多面的な取り組みが必要です。
今後は、さらなる品質・生産性の向上を図り、産地を活性化させていきたいと思います。


植付時植溝内土壌散布(インファロー技術)機「アミーゴ」製品紹介動画

植付時植溝内土壌散布(インファロー技術)機「アミーゴ」 証言動画レポート


2017年10月31日掲載

◎シンジェンタの関連製品
植溝内土壌散布で、ばれいしょの黒あざ病、銀か病をしっかり予防
殺菌剤 アミスター20フロアブル

植溝内土壌散布で、ばれいしょのアブラムシ類に高い防除効果
殺虫剤 アクタラ顆粒水溶剤