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害虫と病気の話

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第74話 100種類以上の植物に害を及ぼす重要害虫、ヨトウガ

日本全土に分布し夏に休眠するヨトウガ

ヨトウガはヤガ科に属する蛾の一種で、その名が「夜盗虫」に由来するように、夜行性です。「〜ヨトウ」と呼ばれる蛾には農業上重要な害虫が多く、ヨトウガ以外にハスモンヨトウ、アワヨトウ、イネヨトウなどがいます。なかでもヨトウガは、日本全土に分布しており、幼虫は雑食性で、数多くの農作物に害を及ぼすため、その生態と防除法をしっかりと把握しておきたい害虫です。
 ヨトウガは、体長15〜20mm、体色は全体が灰〜黒褐色です。土中で蛹で越冬し、春(4月〜5月)と秋(9月〜10月)の年2回、発生します。
 北海道をのぞく地域では、春の第1世代の蛹には高温期の夏に休眠する夏眠性があります。夏眠率は、南に行くほど高く、夏眠期間も長くなる傾向がありますが、地域によっては春と秋の間に夏眠しない非休眠の成虫発生が見られることもあります。
 例えば南九州では、春の成虫発生期が3月中旬〜4月、秋の発生が9月下旬〜10月で夏期は蛹で夏眠しますが、一部に6月に発生する非休眠個体が認められ、恒常的に発生しています。南九州では春の成虫発生時期が早い個体の一部は、休眠を発生させるために必要な環境条件(日の長さや気温)に達していないことが原因と考えられています。

大きな被害をもたらす老齢幼虫

成虫は寄主植物の葉裏に卵塊の状態で卵を産みつけます。1匹の雌が産卵する卵塊は、5〜10卵塊程度。1卵塊あたりの卵の数は少ないものは20個程度ですが、多いものは1700個にも達します。
 卵は1週間前後でふ化し、若齢期は集団で葉の表皮を食害し、中齢虫は葉に点々と穴をあけたように摂食します。若齢期の体色は淡緑色で、この時期まではシャクトリムシのように歩きます。中齢時期までは集団で生活しますが、発育が進むと分散し、ほ場内一様に分布するようになります。幼虫期間は約1カ月で、齢が進むにつれて褐色になり、5cm程度まで成長した後、土中で蛹になります。
 幼虫期の摂食量の90%は老齢幼虫によるもので、多量の糞を排出しながら植物の内部にもぐりこみ暴食します。アブラナ科野菜をはじめ、ムギ、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、ダイズなどの畑作物、キク、コスモス、バラなどの花き類、カンキツ、カキなどの果樹類、タバコやチャ、ヒノキの苗木など加害植物は幅広く、その種類は、100種以上にのぼります。わずか1匹の幼虫でも大きな被害をもたらし、とくにキャベツでは大害虫となるため、英名では cabbage armyworm とされているほどです。

若令幼虫・キャベツ
若令幼虫・キャベツ
3令幼虫・パセリ
3令幼虫・パセリ

薬剤防除は、ふ化幼虫の段階で行うのが効果的

薬剤防除には作物の定植時に粒剤を土壌混和する方法と、作物上に散布する方法とがあります。ただし、定植時粒剤処理は処理後の期間が長期間経過した場合、虫の発生が多い場合や乾燥が続いてしまった場合には、効果が期待できないこともあるので注意します。これに代わり、最近、定植時の防除効果を安定させるためキャベツやハクサイ・レタスのセル成型苗にジュリボフロアブルやプレバソンフロアブルを灌注して薬剤を苗に吸収させて移植する方法が開発されましたので今後普及するものと思われます。
 一方、作物の上に薬剤を散布する場合は、老齢幼虫が作物内部に侵入してからでは防除が難しくなるので、ふ化した幼虫が分散する前に薬剤散布するのが基本です。ふ化幼虫のかすり状の被害がみられた頃散布し、その後1週間程度してから中・老齢幼虫を狙って2回程散布すると高い効果が得られます。適用薬剤には、アファーム乳剤などがありますが、チョウ目害虫は抵抗性獲得回避のため、ローテーションの一剤とし、マッチ乳剤、BT剤、その他系統の異なる薬剤を交代で散布することが推奨されています。
 また、防除の基本として、ふ化当初は表皮を残して食害をするため、畑を見回り表皮を残した食害痕があれば葉裏を観察し、幼虫を見つけたら出来るだけ捕殺することも大切です。

シンジェンタジャパン株式会社 技術顧問

2011年8月31日掲載

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→→第75話 生育期間が長いサトウキビに深刻な被害を与えるハリガネムシ

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