「離農」を支援し、血縁者以外の後継者の育成を目指す就農・離農コンサルティング

2017/05/31(水)

  • 株式会社 就農・離農コンサルティング 代表取締役 原田佑嗣様

    株式会社 就農・離農コンサルティング
    代表取締役 原田佑嗣様

公認会計士の原田さんが立ち上げた(株)就農・離農コンサルティング。
ネガティブなイメージの「離農」を支援することで、新規就農者を育てようと動き始めています。
なぜ「離農」に着目したのでしょうか。
公認会計士から見た農業の課題はどこにあるのでしょうか。


やる気のある新規就農者を支援するための就農・離農コンサルタント

──公認会計士という仕事に就かれている中で農業に関心をもったのはなぜでしょうか。

公認会計士として最初に担当した監査クライアントが子会社を作って農業に参入していたことがきっかけでした。
その子会社は大変業績が悪く、設立して3年、4年と経過しても全く上向きになりませんでした。
監査法人の立場として「収益が上がっていないから」と子会社株式や子会社に対する貸付金を評価減するように監査クライアントに指導するのは簡単でしたが、なぜこうも経営状態が悪いのか、なんとか改善することはできないのかと考えるようになったのです。
私の目には農業はやりがいがあり、楽しそうな仕事に見えました。
なのに、儲かっていないのはなぜだろう。
もっと生産者寄りの立場に立ち、なんとかしてあげたい。
農業にもっと深く入り込み不採算の理由を突き詰め、可能であれば経営改善のお手伝いができればと考えました。

また、知人が京都の大原という里山で新規就農したことで生産者につながる窓口ができたこともありますし、義理の父が育種学の研究の第一人者でもあることも農業への関心のきっかけです。
そういった思いで、トーマツ退職後に、独立して農業に軸足をおいた会計事務所を設立しましました。
設立してすぐに㈱マイファームに業務提案に行き、アグリイノベーション大学校の関西校の講師に登録して頂き、関西一円の生産者とつながっていきました。

──就農・離農コンサルティングとは具体的にどのような事業を目指しているのですか。

離農する人と新規就農する人の橋渡しをできないだろうかと考えています。
志をもった新規就農者はたくさんいるにも関わらず、彼らに「優良農地」が与えられないことが多いように思います。
農業の成功の鍵を握るのは高収量、高品質の農産物を生産できる「栽培技術」の習得です。
これなしではその後の農業経営は成り立ちません。
その大前提として栽培作物にあった適切な農地が必要なのに、条件の良くない土地を提供されては、成功するはずがありません。

一方で、後継者不足で離農を余儀なくされる生産者が多い現状もあります。
この状況が進むと、農地が荒れてしまうのはもちろん、生産者が何十年と培ってきた技術もゼロになってしまいます。
その両者をつなぎ、農業専門の会計士としてのスキルで農地、農業機械、農業技術の1セットで価値付けして売買できないかと考えています。

目指しているのはやる気のある「新規就農者」のために「離農」を支援し、血縁者以外の後継者が農業を継承するための「離農」支援です。
「離農」に寄り添い「就農」に橋渡しする。
その思いを込め「就農・離農コンサルティング」という社名にしました。


農業経営の健全さを判断する指針になる作物別の原価計算

――経営が成功する農業経営者、成功しない農業経営者には何か共通項があると思いますか?

一言では難しいですが、確実に言えるのは規模拡大だけで経営が改善されるわけではないという点です。
不採算の事業をいくら大規模化しても、採算の取れない事業が拡大するだけで、いずれ破綻してしまいます。
まずは、自らの栽培技術や経営能力を理解し、それに見合った規模の農業することが大切です。
各地で大規模化が進んでいますが、その言葉に踊らされず、目前の事業性を評価できる目を持たないといけません。
それが成功への第一歩だと考えています。

――健全な経営かどうかを判断するために、会計上はどういう点に着目すると良いのでしょうか?

作物別の原価計算をし、利益の出ている作物と赤字の作物をしっかりと把握してください。
これは会計上では管理会計といいます。
会計は目的に応じて財務会計と管理会計に分かれますが、財務会計は、投資家などに向けて決算書を作成する外向けの報告書です。

一方、管理会計は、企業内部に向け作成します。
法的に義務付けられてはいませんが、業績が好調な企業は、管理会計をしっかり行っています。
それは事業のどの部門で採算が取れているかを数字で的確に判断することができ、企業活動の指針になるためです。
農業も同じで、作物ごとの収益を把握すると、生産すればするほど赤字になる作物が出てきます。
その事実を受け止め、経営方針を転換してみると良いのではないでしょうか。
また自分にどれだけの力があるかを知りたいのなら、営業利益を見ると良いと思います。
利益には経常利益や当期純利益などいくつかの種類がありますが、営業利益は本業で稼いだ利益を表す数値だからです。

農業には様々な補助金があり、それでなんとか農業経営を維持している生産者も多くいます。
でも営業利益には補助金は計上されませんので、農業だけの利益を知ることができるのです。
営業利益が出たあとに補助金が加算され、経常利益として算出されますので、「営業利益はダメだが、経常利益が高い」と言ってる生産者がいたら、補助金の依存度が大きいと判断できます。

――販路の拡大や六次産業を考える生産者も多くいます。
展開する上で、気をつけたいポイントがありましたら。教えてください。

常にマーケットインの思考を持ってください。
マーケットインとは、消費者のニーズを重視する考え方です。
世の中では何が必要とされ、何が供給できるのか、今後どういったものを供給すれば、利益があがるかを意識しないと成功はしないでしょう。
一方で、「できたものを売る」という意味のプロダクトアウトという言葉がありますが、「先祖代々作ってきたから」「地域の周りの農家がみんな作っているから」といったプロダクトアウト型の作付をしている生産者が多いように思います。
そうではなく、管理している圃場で何をどんなスケジュールで栽培し、どう利益に結び付けていくかは農業経営の根幹として重視したい事柄です。
また、農業生産だけで収益をあげるのは厳しいのは確かで、そのために、六次化を展開するのは事業として有効な戦略です。
しかしながら、六次化をしたから即成功というわけではありません。
たとえば、現状利益が出ていない理由にB品が多く歩留まり率が高いことにあるのであれば、加工販売に注力し、今まで廃棄していたB品を金に換える取り組みを行うのが有効ですし、ひと手間かけることで付加価値を付けて売るということで農業生産の薄い利益率をカバーしていくのも重要です。


離農した企業と、高い技術を持った生産者をつなげたい

――今後どのような形で自身の事業を展開していくご予定ですか。

各地の自治体で、生産者の教育事業が行われており、私も研修依頼をたくさんいただきます。
そこで高い栽培技術を持ったおもしろい生産者とつながることができました。
高い技術をもった若い生産者は日本の宝と思っているので、その力を生かすお手伝いをしていきたいですね。

私が監査に関わったクライアントのように農業の子会社を立ち上げたものの、うまく行かずに「離農」した企業も少なくありません。
そういった企業が最先端の設備のハウスなどを建てても使われないままになっていることも多々あります。

でも、私のつながっている生産者には、最先端設備のハウスを使いこなせる技術の高い農業者がたくさんいます。
資本はあるが技術のない企業と、技術のやる気もあるけれど、資金が足りない生産者をうまく橋渡しをしていきたいですね。

あとは、企業の農業参入のお手伝いもしていきたいですね。
大企業が農業に参入するも、撤退を余儀なくされたケースが今もなお散見されます。
資金力さえあれば、なんとでもなると思って参入するのでしょうが、成否を分けるのは資金力ではなく栽培技術であることが意識されていない結果だと確信しています。
陥りやすい失敗を理解しているので、それを未然に防げるようにしたいと思っています。

――最後に、読者に発信したいメッセージがありましたら、お聞かせください。

現状に満足することなく、高みを目指し、技術を高め、経営改善を続ける努力を惜しまないでほしいと思います。
今の経営、これから目指す経営の方向性が間違っていないか、過去を振り返り、分析すること大切です。
ベンチマーク分析という言葉がありますが、同一品目を生産するほかの生産者と反あたり収量、売上、販売単価を見せ合いながら、自身の経営を客観的に見て、改善していくことも重要です。
頑張ってください。
応援しています。

(原田様 経歴)
京都府京都市生まれ。京都大学経済学部卒。大学卒業後監査法人トーマツに就職。
独立し、原田公認会計士税理士事務所を開設。
その後、株式会社 就農・離農コンサルティングを設立。現在に至る。

★株式会社 就農・離農コンサルティングサイトはこちらからどうぞ。


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2017年5月31日掲載