病害虫・雑草防除ガイド - 雑草の話
ヒルガオ、コヒルガオは種をつけず、クローンで増殖!?
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ヒルガオ属(Calystegia )について

写真(ヒルガオの花)

写真1:ヒルガオの花

写真(コヒルガオの花)

写真2:コヒルガオの花

ヒルガオ科の植物は草本、木本合わせて約50属1200種あり、特に熱帯、亜熱帯に多いとされています。日本国内には4属(ネナシカズラ属、アオイゴケ属、サツマイモ属およびヒルガオ属)の生育が知られており、特にヒルガオ属(Calystegia)のヒルガオ(Calystegia japonica)とコヒルガオ(Calystegia hederacea)は全国的に生育していて、樹園地、畦畔、畑、路傍などでごく一般的に見かけられる雑草です。(写真1、写真2)

 この2種は多年生のつる性植物で、両種ともに北海道から九州まで分布していますが、南にいくほどコヒルガオの割合が多いといわれています。雑草とはいえアサガオに似た漏斗のようなピンク色の可愛らしい花は、緑の少ない都会では夏の訪れを告げる野草の一つではないでしょうか。花は名前が示すように午前中に開き暑い昼の間咲き、夜には閉じます。両種の花はよく似ていますが、ヒルガオの花は径5〜6cmの濃いピンク色で、開花期は6〜8月頃、一方コヒルガオは花径3〜4cm位で、少し淡いピンクか白色に近いものもあり、開花期は5月〜8月と若干長い点などが異なります。葉の形もヒルガオの方が細長く中片が長楕円形で先端が丸みを帯びているのに対して、コヒルガオは中片が三角状になっていて先端が鋭く、大きさがヒルガオよりも小さいことなどが挙げられます。またコヒルガオは花柄の上部(がくのすぐ下)にしわがありこの点も両種を見極めるポイントとなります。

 ヒルガオとコヒルガオは、特徴的な花をたくさん咲かせますが、不思議なことに殆ど種子をつけません。主な繁殖源は地下茎を四方にのばし、そこから芽をだして次々とクローン個体を増やしていくとされています。また僅か1節の茎断片からも旺盛に萌芽するために、いちど畑などに侵入すると、耕起などによって地下茎がバラバラに切断されても、そこからまた新しい個体を容易に形成するので、除草作業が結果的にその生育範囲を広げてしまうこともあります。また除草剤散布によって一度地上部が枯れたようにみえても、その後の地下茎からの再生力が旺盛なため、根絶するのは難しい草です。

 一般的に、短い間隔で頻繁に環境変化がおこる畑地などでは短期間で種子を生産することのできる一年生植物が生育に有利と考えられていますが、多年生植物でもヒルガオの仲間の様に種子にかわる有効な繁殖方法を備えているものは、耕作地での強害雑草として生き延びることができます。従って種子の混入した土壌の移動から生育地を広げる雑草と同様に、どこからか運ばれてきた土に地下茎の断片が混入していれば、そこでまた仲間を増やすことが出来ます。また、ヒルガオの仲間は花が綺麗な割には、園芸目的での品種改良が殆どされてこなかったのも、種子をつけない性質のためではないでしょうか。

写真(グンバイヒルガオの花)

写真3:グンバイヒルガオの花

写真(道路に伸びるグンバイヒルガオの花)

写真4:道路に伸びるグンバイヒルガオの花

 ヒルガオと名のつく近縁種のセイヨウヒルガオ(Convolulus arvensis )は戦後野生化したものが増えて、今では普通の雑草として認識されています。つる性の多年生植物で花は夏に咲き、花冠の大きさはコヒルガオよりも小さく、色も白いので明らかに区別できます。

 在来種のグンバイヒルガオ(Ipomoea pes-caprae )(写真3)はサツマイモ属の多年草で海岸に生育し、真夏に赤紫色の可憐な花を咲かせます。特に九州南部〜沖縄に多く、茎は地面を這うように伸び特徴的なグンバイ型の多肉質の葉をもっています(写真4)。サツマイモ属には多くの植物が含まれ、国内にも在来種、帰化種あわせて幾つかの種が自生しています。これについては次回紹介します。

 

シンジェンタ ジャパン株式会社
開発本部 除草剤開発部
中谷 英夫

2004年7月5日掲載

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