病害虫・雑草防除ガイド - 水稲雑草シリーズ

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抵抗性雑草の増加と今後の除草剤の方向性を探る

 前回までは、水田雑草防除のヒントについて、IWMという概念を中心にご紹介させていただきました。今回は、増加の一途をたどっているSU抵抗性雑草について、そして除草剤開発の歴史と今後の方向性についてお話しいたします。
IWM=Integrated Weed Managementの略

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除草剤の連年施用などを背景に、抵抗性雑草が増加中

最近の水田における
雑草発生頻度(%)

 最近、各地の水田でいろいろな雑草が見られるようになりました。たとえば、除草剤でも防除が難しいクログワイ、オモダカなどの多年生雑草や、10年ほど前から出現したスルホニルウレア系除草剤(SU剤)抵抗性雑草など、水稲栽培上問題になる雑草が全国に拡がっています。では、問題雑草はどのようにして現れるのでしょうか。 有効成分「2・4-D」を含む薬剤の普及後にはノビエが問題になり、「CNP」や「ベンチオカーブ」の普及後にはマツバイ、ホタルイ、ウリカワ、ミズガヤツリが問題になりました。「ピラゾレート」と「ブタクロール」等の組み合わせから始まった一発処理剤の時代になってクログワイ、オモダカなどの難防除雑草が問題になり、SU剤が現れた後にSU抵抗性雑草が現れました。問題雑草の出現は、SU抵抗性雑草がそうであるように、特定の除草剤の連年施用などにより現れます。除草剤だけが要因ではないものの、その関与は見逃せません。

SU抵抗性雑草対策として、3〜4成分の混合剤が主流に

一発処理剤の有効成分数
と使用割合(%)

日本で最初に登場したSU剤「ベンスルフロンメチル」は、ノビエに対する作用力だけが低く、ノビエに効果がある薬剤との組み合わせが必須だったので、ノビエの効果に実績がある「プレチラクロール」や「ベンチオカーブ」、高葉令のノビエに効果がある「メフェナセット」などがその対象になりました。その後、「オキサジクロメホン」「フェントラザミド」「ピリフタリド」など高葉令のノビエに効果がある薬剤が次々に開発され、SU剤と高葉令ノビエ剤との組み合わせが、一発処理剤のほとんどを占めるようになりました。

さて、SU抵抗性雑草が出現した当時はその対策として、従来の一発処理剤に抵抗性雑草に効果がある既存の薬剤を付加する形がとられました。たとえば、SU抵抗性ホタルイを対象とした「ブロモブチド」「クロメプロップ」「ベンゾビシクロン」などや、最近では「メソトリオン」「テフリルトリオン」「ピラクロニル」などの新しい薬剤が登場し、その他の既存薬剤も含め、3〜4成分の異なる性能を持つ薬剤の組み合わせが増えています。

今後、活躍が期待される少成分数のSU抵抗性雑草対策剤

 その一方で、消費者の環境保全や食品の安全・安心に対する声に応じて、少成分数の薬剤への要望も高まってきました。近年、ノビエにも効果がある新しいALS阻害剤が開発されており、「ペノキススラム」「フルセトスルフロン」「プロピリスルフロン」「メタゾスルフロン」「ピリミスルファン」などは、一部のSU抵抗性雑草も対象にした一発処理剤として期待されています。これら新しいALS阻害剤はオモダカ、クログワイ、コウキヤガラなどにも高い効果を持ち、新しい少成分数の一発処理剤として開発が進んでいます。

また、「メソトリオン」「テフリルトリオン」など白化作用を持つ新規の4-HPPD阻害剤も幅広い草種に効果があることから、少成分数の一発処理剤の主成分として開発され、SU抵抗性雑草対策剤として期待されています。

  • 移植栽培での雑草の要防除期間と水稲の生育

    田面を露出させないための水管理

※IWM=Integrated Weed Managementの略

 

財団法人 日本植物調節剤研究協会
常務理事・研究所所長
横山 昌雄

2012年3月30日掲載

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