病害虫・雑草防除ガイド - 水稲雑草シリーズ
6

上手な水管理と難防除雑草の防除に向けて

今回は、見逃しがちな水管理と、SU抵抗性雑草以外の難防除雑草についてご説明します。基本的な水の管理方法と、除草剤が効きにくい難防除雑草への対策を身につけて、万全の雑草管理を目指しましょう!
IWM=Integrated Weed Managementの略

※写真をクリックすると大きい画像をご覧いただけます。

除草剤処理後、1週間の水管理が重要

多くの一発処理剤は湛水状態で散布します。この場合、除草剤を処理した水田の水を一定期間、外に逃さないことが重要となります。散布した除草剤はいったん水に溶け、徐々に土壌表面に吸着し薄い除草剤処理層を形成します。この土壌処理層の形成に要する期間は、水の流れを完全に止めてしまうことが必要になります。除草剤を処理した直後に水が外へ流れ出てしまうと、水に溶けた除草剤成分も一緒に外に出てしまうためです。また、水深を維持するための水の掛け流しにも注意が必要。これも結局、外に流れ出る水と一緒に除草剤成分が流れてしまいます。除草剤をまいたあとは、たとえ水が無くなっても1週間程度は水を新たに入れないことが除草剤の効果を高める秘訣です。

  • 移植栽培での雑草の要防除期間と水稲の生育

    水稲除草剤が雑草を枯らすしくみ

  • 移植栽培での雑草の要防除期間と水稲の生育

    除草剤を処理した水を流さないことが大切

水口・水尻を止め田面を露出させない

湛水処理をする除草剤は散布前に水をためることが基本です。水尻を止め、丁寧な代かきで下への浸透を防ぎ、畦畔の穴を防いで横への流出が無いように注意してください。さらに均平な代かきで、田面が水面に露出する部分が無いようにすることも大切。田面が露出して除草剤処理層が形成されないところには、当然のことながら多種多様な雑草が生えてきます。とくに最近よく見られるアメリカセンダングサやクサネム、タウコギといった大型の湿性雑草は、水深が深いところで定着できません。そのため、これらの防除には田面を露出させない水田管理がより一層重要になります。

  • 移植栽培での雑草の要防除期間と水稲の生育

    田面を露出させないための水管理

雑草イネの退治は難しい?

最近は主に直播栽培において、赤米などに混じって生えてくる「雑草イネ」が問題となるところがあります。水稲除草剤はもともとできるだけイネには効かないようにつくられているため、雑草イネを除草剤で解決するのは困難です。今のところ、直播栽培をいったん中止して移植栽培に戻し、初期剤と中期剤の体系処理を行うのがひとつの対策となっています。イネも出芽直後は除草剤に弱いため、雑草イネが大きくなる前に除草剤を効かせるのがコツというわけです。雑草イネ対策は現在も検討されている最中で、数年後には有効な除草剤体系が明らかになると期待されています。

他の防除法との組み合わせが有効

雑草イネのように除草剤だけで防除するのが難しい場合、種子が落ちる前に株ごと抜き取る、種子を他に広げることのないよう作業後の機械洗浄を徹底するなど、増殖と拡散を防ぐことが重要になります。また直播栽培から移植栽培に変えたり、いったん大豆などの畑作栽培を挟むことも有効な手段になります。他にも、混入雑草イネをまくことのないよう自家採取種子を使わない、秋耕起をせずに稲わらを取り除いて落ちた種子を鳥が食べやすいようにしておくなど、さまざまな方法を組み合わせて翌年の発生を少しでも抑えることも大切です。このような防除手段の複合的な組み合わせ=「IWM(総合的雑草管理)」を念頭に置き、あらゆる雑草に万全の体制で臨みましょう。

※IWM=Integrated Weed Managementの略

 

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
中央農業総合研究センター 生産体系研究領域
上席研究員 渡邊 寛明/内野 彰 2012年2月29日掲載

2012年2月29日掲載

ページの先頭へ戻る