トップコースとともにNO.6 病害リポート

●コースとともに

日本ではホコリタケが主役!!


 フェアリーリング病という病害は、芝生にリング状の濃緑色のベルトを発生させたり、芝生を枯死させたりします。原因となるのはキノコをつくる菌類で、これまで欧米を中心に、キノコがどのようにフェアリーリングをつくるのか、キノコの出す化学物質、キノコの遺伝などについて研究されてきました。しかし、日本での研究例は少なく、その実態は必ずしも明らかになっていません。そこで、キノコの生態に詳しい農学博士・寺嶋芳江氏(千葉県森林研究センター特用林産研究室主席研究員)に、日本におけるフェアリーリング病の実態についてお話を伺いました。

問題はヒメホコリタケとチビホコリタケ

 芝生に発生するキノコは、ボール型のキノコやシメジ型のキノコなど、いろいろな種類があります。たとえばシメジ型のキノコでは、コムラサキシメジなどが代表的なもので、これもフェアリーリングを形成する菌だといわれています。特にコウライに多く見られ、芝生を枯死させます。
 海外では、これまでにフェアリーリング病を発生させるものとして54種類のキノコが報告されています。この中では、シバフタケについての研究が進んでいます。このキノコが芝生を枯れさせる仕組みは、(1)菌糸体が密になって水が通らなくなって芝生を枯らしてしまう、(2)シアン化合物を出して直接に枯らしてしまう、(3)植物の組織に実際に侵入して枯らす、という3パターンが明らかになっています。
 芝生を枯死させてしまうという点で、日本で問題となっているキノコは、ホコリタケやコムラサキシメジ、シバフタケ、ニセショウロなどです。この中でも、特に問題となっているのが、ホコリタケの仲間です。寺嶋氏によれば「現在、ゴルフ場で発生しているホコリタケが何種類あって、今後どれだけ増えるのかはわかりません。確認できているのは、ヒメホコリタケとチビホコリタケと呼ばれる2種類のホコリタケだけ」とのことで、目下のところはこの二つのキノコが日本のフェアリーリング病の二大原因といえます。

ヒメはコウライに、チビはベントに加害性大

 千葉県の試験圃場では、2種類のホコリタケが発生して芝生に害を及ぼしていますが、これが実際にゴルフ場で病害の原因になっているのか判然としませんでした。そこで、平成10年に千葉県内のゴルフ場にアンケート調査を行い、どんなキノコが原因となっているかを調べました。その結果、グリーンの場合、ベントもコウライも、ホコリタケ類のキノコが原因となっているという報告が多く寄せられました。
 2種類のキノコの違いは、下表の「ヒメホコリタケとチビホコリタケ・性質の比較表」の通りです。
 ヒメホコリタケは6月〜11月に発生しますが、8月の暑い時期は発生しません。また、特にコウライシバに対して加害性が大きいといえます。一方、チビホコリタケは盛夏に活発に活動し、特にベント芝に対して加害性が大きいという傾向が出ています。
 また、下表には記載されていませんが、症状が必ずしも順序立って発生していないということもデータから明らかになっています。

ヒメホコリタケとチビホコリタケ・性質の比較

特徴 ヒメホコリタケ チビホコリタケ
きのこ形態 大きさ 2〜3cm 1〜2cm
トゲ トゲがある(とれやすい) ない
乳白色 乳白色、傷をつけると黄色に変わる
逆洋なし形、電球形 類球形
芝生の被害 きのこの発生 6月〜11月(8月にはない) 6月〜9月(7、8月に多い)
ベントグラス 濃緑色リング、枯死 濃緑色リング、枯死
コウライシバ 濃緑色リング
ケンタッキー
ブルーグラス
濃緑色リング、枯死
地下の菌系 位置 サッチ部分〜地下約2cm 地下0.5〜4.0cm
存在形態 密に集中 点在
病原性 ベントグラス 加害する 加害性大
日本シバ 加害性大 加害する

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