病害虫・雑草防除ガイド - 害虫と病気の話
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ぶどうの病害について その1
-黒とう病-

※写真をクリックすると大きい画像をご覧いただけます。

写真1:葉の病斑
(葉脈に連なって出現)

 ブドウは、世界でも栽培面積の多い果樹で、その品種は数千にのぼります。国内のブドウの結果樹面積は2002年には約19,700haで、ミカン、リンゴ、クリ、カキについで第5位となっています。ブドウの用途は生食用が大半を占め、その他にワインやジュース等の加工用として生産されています。近年、ブドウに含まれているポリフェノールが健康の維持増進に効果のあることがわかり、ワインブームに拍車をかけたことは、記憶に新しいところです。また、消費者ニーズの多様化に伴い、糖度が高く、果肉のしまった(噛み切りやすい)高級ブドウや種なしブドウなどの栽培が盛んになっています。

 日本は、温暖で多湿な気象条件から、病害の発生が多く、防除対策に苦慮しています。ブドウの病害の種類はウイルス病、細菌病、および糸状菌(菌類)による病害の三つに大別され、この中でも糸状菌による病害が最も多く発生します。国内で栽培されている品種は、大まかにヨーロッパ系品種(ヴィニフェラ系)、アメリカ系品種(ラブラスカ系)、およびこれらの雑種の三つに分類され、品種によって各病原菌に対する感受性が異なります。このため数種の品種を混植している場合には、各々の品種に対応した防除が必要です。それには病原菌の発生生態やブドウの生育ステージごとの被害状況を把握することが重要です。

写真2:新梢の病斑

 このところ発生が問題になっている病害は、晩腐病や灰色かび病、黒とう病、べと病等です。いずれの病害も降雨が多いと多発し、年によっては収量に影響を与えます。これらを効率的に防除するには、各々の病害の発生のしくみを理解し、農薬の安全使用基準を守りながら適期に適薬剤を散布する必要があります。また、病原菌の感染時期は生育初期から収穫期までの長期にわたるので薬剤による防除にも限界があります。そこで新梢の整理や摘房等の栽培管理を十分に行い、樹全体に光が良くあたるようにして病害の発生しにくい樹園地にすること、さらに袋かけや笠かけを行って果房への感染を防止することなど、感染を絶つための方法を組み合わせた防除が必要です。

 ここでは、主要な病害について病徴や発生生態の概要を紹介します。

黒とう病

写真3:果実の病斑
(黒色、やや陥没した斑点)

 本病はいずれの品種にも発生しますが、特に罹りやすいのは欧州系品種です。

 発病部位は葉、新梢、果実です。初め黒褐色円形の小斑点を生じ、のちに拡大して中央部は灰白色、周辺部が鮮紅色~紫黒色のやや凹んだ病斑を形成します。葉では主脈や葉脈上に病斑が連なって現れることが多く、また病斑が多数形成されると生育が不均衡になってひきつったようになります。病斑の中心部には亀裂を生じて穴があきます。新梢では病斑が多数連なることが多く、激発時には先端が黒く枯れることがあります。果実に発生すると肥大が不良となり、成熟期になっても軟かくならず、品質が低下します。

 病原菌は結果母枝や巻きひげの病斑中で菌糸の形で越冬しています。4~5月の降雨時に病斑上に形成された分生子が雨滴によって分散し、各部位に達して侵入、感染します。潜伏期間は若い葉で3~7日、葉の生育とともに長くなり、硬化した葉や新梢では発病しなくなります。

 防除は初期の発生を抑えることが重要で、5月が重点防除時期です。(その2に続く)

 

秋田県果樹試験場
深谷 雅子

2004年12月13日掲載

次回は「晩腐病」「灰色かび病」「べと病」について解説していただきます。

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