トップページ > ニュースリリース 一覧 > 2001年のニュースリリース > 「ゴールデンライス」のテストを開始 メールマガジンはこちら 情報満載のメルマガ登録はこちら

シンジェンタのニュースリリース

文字のサイズ変更:
小さく 標準 大きく

国際稲研究所、「ゴールデンライス」のテストを開始

2001年1月22日
国際稲研究所(IRRI)、ロックフェラー財団、シンジェンタによる合同発表 

 ベータカロチンやその他のカロチノイドを含む遺伝子組み換えイネ「ゴールデンライス」のサンプルがフィリピン・ロスバニョスにある国際稲研究所(IRRI)に提供されました。これを受けて、IRRIの研究者たちは、ビタミンA不足を克服する「ゴールデンライス」の安全性と利用法を研究する国際的プログラムの一環となる研究を開始します。ビタミンA不足は、年間50万人に上る治療不可能な失明と、100万から200万人の死亡の原因となっています。

IRRIのR.P.カントレル所長は、「これらの基本サンプルが当研究所に提供されたことは、大きな意義があります。これにより私たちはようやく、各地方の稲の品種を使って試験を開始することができます。世界に何百万人といる貧困農家と消費者に「ゴールデンライス」を提供できるよう、IRRIが中心となって、これからの研究を進めていきます」と語っています。

 「ゴールデンライス」がヨーロッパの発明者の研究室を出て、IRRIへの提供が可能になった背景には、シンジェンタ、バイエル、モンサント、オリノバ、ゼネカ モーゲンの各社が、知的所有権に関する寄付を行ったことがあります。これらの企業は、「ゴールデンライス」の研究に用いられた技術に関わるライセンスを無償で提供しました。今後もアジアの開発途上国において研究が進み、各国の法的要件を満たせば、「ゴールデンライス」が開発途上国において、人道的な目的で使用される場合は、無料で利用できるようになります。

「ゴールデンライス」の共同発明者であるポトリカス教授は、次のように述べています。「ビタミンA不足は非常に重要な健康問題であり、現在の医学では完全に治療することはできません。これらの企業の強力な支援により、ビタミンA不足のために多くの子供たちが治療不可能な失明に至っている国々にこの発明を寄付し貢献したい、というベイヤー博士と私の長年の念願がかなえられて、とても喜んでいます。」

「ゴールデンライス」の開発途上国への導入をさらに促進するために、複数の政府および民間団体からなる「人道委員会」が設立されました。人道委員会の主な目的は次の4点です。

  1.  発明者が、高水準の安全性基準を満たし、「ゴールデンライス」を必要とする人々に無償で供与できるよう支援する。
  2. ビタミンA不足のひとつの解決策として、「ゴールデンライス」が適切に審査されるようにする。
  3. 各開発途上国やそれぞれの研究機関が、「ゴールデンライス」が自国にとって有用かどうかを判断するときにサポートをする。
  4. 世界各国における「ゴールデンライス」に関するさまざまなプロジェクト間の、情報の共有化を促進する。

人道委員会の委員長はポトリカス教授で、共同発明者のベイヤー教授は委員のひとりです。その他の委員は以下のとおりです。コッフマン博士(コーネル大学)、デュボック博士(シンジェンタ)、パドリナ博士(IRRI)、セス博士(世界銀行・東南アジア地域農村開発ユニット)、トーニセン博士(ロックフェラー財団・食糧保障)。ジェニー博士(スイス連邦工科大学・インドスイス-バイオテクノロジー協力機構)は委員会のオブザーバーです。各委員は独立したアドバイザーとしての地位を保持します。

この試みは、科学的に重要なブレークスルーを、開発分野においてさらに推進する、新しいタイプの官民協力体制です。
さらなる開発のために必要なライセンスは、公的研究機関に供与されます。その後、各地に固有な稲の品種にこの技術を適用し、バイオセーフティと効能のテストをしなければなりません。これには、少なくとも4年はかかると思われます。

解説

  • ビタミンA不足

    ビタミンAは、生命と健康を維持する上で最も重要な栄養素の1つです。従って、ビタミンAの欠乏や不足は、いくつかの重篤な症状を呈します。東南アジアでは、毎年約500万人の子供たちが眼球乾燥症(主に子供に多く見られる結膜と角膜の構造的障害)に罹っていると言われています。同様の問題は、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海地域などにもあると推定されます。アフリカにおける小児の失明の最も一般的な原因はビタミンA不足であり、はしかに関連した角膜破損にもビタミンA不足は大きく関わっていると考えられています(Foster and Sommer, 1987, Brit. Opthalmol. 71:331-343)。ビタミンA不足のために、世界中で年間約50万人の子供たちが治療不可能な失明になります。

    ユニセフの統計によると、世界中で約1億2400万人の子供たちがビタミンA不足です(Humphrey et al, 1992 WHO Bulletin, 70:225-232)。ビタミンAを十分に摂ることによって、年間約100万人から200万人の1歳から4歳までの子供たちの命を救い、約25万人から50万人のこれより年長の子供たちの命を救うことができます。ビタミンA不足は、少なくとも26の国々において健康上の深刻な問題であり、このままでは少なくともさらに13カ国においてもそうなると予想されています(Sommer, 1988, J. Nutr. 119:96-100)。

  • 「ゴールデンライス」

    「ゴールデンライス」は、ビタミンAの前駆物質であるベータカロチンとその他のカロチノイドを含む遺伝子組み換えイネで、ビタミンA不足を解消することができます。ビタミンA不足のその他の解決策は、緑色野菜や動物製品を多く摂ること、ビタミン剤を飲むことなどです。
  • 「ゴールデンライス」の発明者は、スイス連邦工科大学(ETH)植物科学研究所のインゴ・ポトリカス(Ingo Potrykus)教授と、ドイツ・フライブルグ大学/応用バイオサイエンスセンターのペーター・ベイヤー(Peter Beyer)教授です。
  • 「ゴールデンライス」の技術開発には次の団体が資金の支援をしました。ロックフェラー財団(1991−2002年)、スイス連邦工科大学(1993−1996年)、欧州連合の欧州コミュニティ・バイオテク・プログラム(1996−2000年)、スイス連邦教育科学局(1996−2000年)

  • 国際稲研究所(IRRI)はフィリピンを本拠とし、その他11カ国に事務所を持つ、世界をリードする稲研究と研修のセンタ−です。天然資源を保護しつつ、低所得の稲作農家と消費者の現在と将来の生活を改善することを目的とする、独立した非営利機関です。IRRIは、16の国際的研究センターに資金を供与する公的および私的な寄付団体の協議会である国際農業研究協議グループ(CGIAR)の一員です。さらに詳細な情報は、「CGIAR」(www.cgiar.org)または、「将来の収穫」(www.futureharvest.org)のホームページをご参照ください。「将来の収穫」(Future Harvest )は、貧困のない、健康的な家庭生活、栄養十分な子供たち、豊かな環境を実現するために、食物と環境の研究を支援し、啓蒙活動を行っている非営利団体です。「将来の収穫」は、農業研究の成果をアフリカ、ラテンアメリカ、アジアの農村、農民や家族にもたらす研究や、プロジェクトを支援し、パートナーシップを結んでいます。

  • シンジェンタは、世界をリードするアグリビジネス企業です。 農薬の分野では世界第1位、高価値種子の分野では世界第3位にランクされています。1999年度の試算売上高は約70億ドル(約7,800億円)、世界50カ国以上で事業を展開し、2万人を超える従業員を擁しています。シンジェンタは革新的な研究と技術で、持続可能な農業の実現に向けて努力を重ねています。2000年11月に、ノバルティス アグリビジネスと、ゼネカ アグロケミカルズが合併、シンジェンタが誕生しました。 シンジェンタは、スイス、ロンドン、ニューヨーク、ストックホルムの株式市場に上場しています。さらに詳しい情報は、インターネットwww.syngenta.com でご覧ください。
  • GOLDEN RICE POBEY とCARAT GOLDEN RICEは、シンジェンタグループの登録商標です。Golden Rice Pobey を人道プロジェクトに関連して使用する場合は、ライセンスは無償で供与されます。
  • 日本におけるシンジェンタ設立につきましては、未だ決まっておりませんが、決定し次第お知らせいたします。

トップへ戻る このページのトップへ戻る