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2.害虫と病気の話
赤星病は、薬剤散布と地域の協力で防除
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――ビャクシン類と異種寄生を行う赤星病

赤星病はナシやリンゴに発生する病害です。ナシでは品種に関係なく発生します が、ナシとリンゴとでは病原菌が異なるため、互いに伝染することはありません。
赤星病菌は庭や公園などに植栽されるビャクシン類(カイズカイブキ、ハイビャク シン、ビャクシン(イブキ)、タチビャクシン、タマイブキ)が中間宿主となり、 異種寄生を行うという特異な性質を持っています。そのため、ナシ園の周囲に ビャクシン類が植えられているか否かで発生の有無が決まります。すなわち、 ビャクシン類が、ナシ園の近くになければ発生しません。ナシの産地では、ビャクシン類による赤星病の発生やまん延を防ぐために、赤星病防止条例を制定 している自治体もあるほどです。条例にはナシ園の周囲1~1.5kmの範囲には ビャクシン類を植えないことや、すでに植えてあるビャクシン類は伐採するなどが 盛り込まれており、赤星病の発生防止に効果を上げた事例もあります。

――4月中・下旬に雨の多い年は要注意

ナシの赤星病は、4月中旬から下旬にかけての雨が多く、特に風を伴う雨が降るよ うな年に発生が多くみられます。それは、ビャクシン類の葉や枝で越冬し、成熟 した赤星病菌の冬胞子が、降雨によって寒天状に膨らみ、発芽し、小生子を飛散 させるためです。この小生子がナシの葉や枝に飛び、展葉したばかりの葉に明るい 黄色の小斑点を発生させます。これが赤星病の初期症状です。葉の発生密度が 高いと、枝や果実にも発生しますが、症状は葉と変わりありません。
病斑は少しずつ増えるのではなく、4月中旬から5月上旬に一斉に発生し、次第に 拡大し、色が濃くなり、黒褐色の小さな点が作られます。5月中旬から6月上旬に なると病斑の裏側に、淡黄灰色のタワシの毛のような毛状突起を生じ(銹子腔 [さぶしこう])、その中から橙黄色をしたサビ胞子が飛散し、ビャクシン類の 若い葉に感染し越夏・越冬し、翌年の発生源となるのです。

――周辺環境を含めた早めの防除対策がポイント

赤星病は中間宿主となるビャクシン類がなければ繁殖しないため、果樹園の近くにあるビャクシン類を除去することが重要な防除策となります。
発生の診断は4月から5月に園内を巡回し、1枚の葉に1~2個の病斑がちらほら見え る程度で有れば心配はありませんが、葉全体の2~3割を超すような赤星病が 広がっているようなら、周辺にあるビャクシン類の対応策を急がなければなりません。
また、赤星病が常時発生している地域では、果樹園の周囲1km以内の住宅や工場、 公共施設などと話し合い、ビャクシン類を伐採し、発生源をなくすことが重要です。 薬剤の散布は、早めの対応がポイント。果樹園に発生する前の4月上旬から中旬に、 20~30倍に希釈した多硫化カルシウム剤、またはメプロニル剤をビャクシン類に 2~3回散布することで、小生子の飛散を事前に防止できます。
また小生子が飛散する4月中旬から5月上旬に、ナシにスコア顆粒水和剤やアンビル フロアブルなどを組み合わせ、2回から3回散布すると効果的です。
最近は赤星病に効果の高いEBI剤が出ており、各地で発生生態を考慮した防除体系 も確立されています。さらに、住宅地でのビャクシン類の植栽に留意していること もあり、以前のように大きな被害は見られなくなりましたが、赤星病がナシや リンゴの重要な病害であることには変わりはありません。
適時に、徹底的な防除を心がけましょう。