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ヒメクグ(Cyperus brevifolius var. leiolepis

写真(ヒメクグ)

● 説明

カヤツリグサ科の多年生雑草で北海道〜九州北部に分布します。湿った場所に発生しやすく、高さ10-30cmの群落を形成します。葉は狭い線形で柔らかく、揉むと独特の甘い香りがします。また葉縁と裏面に刺し毛が生えるため、葉先から根の側に向かって触ると少しザラザラした触感がします。基部の葉は短く、葉鞘は褐色または赤褐色を帯びることがあります。

● 区分

多年生カヤツリグサ科

● 主な発生場所

日当たりの良い湿った場所を好むため、ラフやフェアウェイの排水路や散水栓周り、また排水性が悪く土壌水分の高い場所に発生しやすくなります。土壌の種類を選びません。

● 特長

ヒメクグが芝地に発生した場合、旺盛な根茎伸張と種子生産により著しい増殖を示し、また芝生に似た平伏形の草型をしているため、刈り込み条件下でも地上部は完全に除去されず生き残りやすくなります。ヒメクグは地中に塊茎を形成しませんが根茎の休眠芽からの再生力が強く、刈り込みを繰り返しても容易には根絶できません。地上部(茎)は地中の根茎の各節から多数生じます。

● 生態

生育期間は5-11月で、伸張した根茎休眠芽からの増殖に加え、種子による繁殖も行います。春に根茎から芽を出して叢生し、7-10月にかけて茎の先に小穂が球状に集まった緑色の花穂を1個つけます。根茎の伸長による繁殖力は著しく、1年間で直径30-60cmの群落に成長します。

写真:ヒメクグ根茎
写真:ヒメクグ根茎
写真:芝生地に群生した発生初期のヒメクグ
写真:芝生地に群生した発生初期のヒメクグ

● 発生環境

ヒメクグは種子の生産量が多く、主に動物、人間などにより伝播されます。また、芝生地においてはバーチカットなどにより切断された根茎のそれぞれから発生が起こり、発生箇所が広がる場合があります。


● 発生消長

ヒメクグ
ヒメクグの発生消長

発生時期の表記について
:発生
地域や生育環境によっては発生時期、開花時期などが異なることがあります。

● シンジェンタからのおすすめ防除法

  • コース内だけでなく、ラフやコース周辺地の雑草を放置すると結実して有力な伝播源となるためコース周りも可能な限り管理を行ないます。
  • 湿った場所に発生しやすいことから排水性を良くする事で発生を抑えることができます。
  • 発生したら大きくなる前に早めの駆除を実施します。なお、スルホニルウレア系の除草剤を用いる場合、低薬量の処理で枯れ残りが生じると、かえって草勢(根茎の休眠芽からの再生)が強くなる場合があるため、発生箇所ではきっちりとした投下薬量で完全防除を目指します。
  • 種子からの発生に対しては土壌処理除草剤での防除が可能です。
  • 開花期である7-10月頃の刈り込みを随時行なうことで種子の形成を抑え、種子由来の新しい株の発生を抑えます。
  • 発生が甚だしい場合は必要に応じて抜き取りによる防除が必要になります。

● 雑草コラム

ヒメクグの見分けにくい類似種としては、一年生のカヤツリグサやタマガヤツリ、多年生のハマスゲなどが挙げられます。ヒメクグとこれらの類似種とを見分けるための最も簡単な方法として、ヒメクグは茎葉部を揉んで匂いをかぐと独特の甘くツーンとした香りがするのに対して、他の種は匂いがしないことが挙げられます。また、これ以外の相違点については以下の表に示しました。

表:ヒメクグ類似種の相違点
種名 ヒメクグ
Cyperus brevifolius var. leiolepis
カヤツリグサ
Cyperus microiria Steud.)
タマガヤツリ
Cyperus difformis L.)
ハマスゲ
Cyperus rofundus L.)
年生 多年生 一年生 一年生 多年生
繁殖
方法
根茎、種子 種子 種子 主に塊茎
小穂
(花穂)
の形状
小穂が球状に密生した
花穂を1個つける
多数の小穂を
密につける
小穂が球状に密生した
花穂を多数つける
小穂は線形
小穂
の色
緑色 黄褐色 褐色 赤褐色

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ハマスゲ(Cyperus rotundus L.)

写真(ハマスゲ)

● 説明

インド原産の多年生雑草で主に関東以南〜沖縄に分布します。葉は長さ20-30cmの線形で先が尖り、なめらかで光沢のある濃緑色で、地中に塊茎を形成して増殖します。その増殖力と再生力の強さから芝生地だけでなく畑作地においても強害雑草とされています。

● 区分

多年生カヤツリグサ科

● 主な発生場所

排水の良い砂質土壌を好みますが、粘土質の土壌にも良く生育します。高温で良好な生育を示し、日陰や乾燥にやや弱いため、比較的温暖な地域で日当たりが良いラフやフェアウェイに発生します。

写真:ハマスゲ塊茎
写真:ハマスゲ塊茎

● 特長

芝生中に発生したハマスゲは地中に長く根茎を延ばし多数の塊茎を形成して著しい繁殖力を示すとともに、芝生に似た平伏形の草型をしているため、刈り込み条件下でも地上部は完全に除去されず生き残りやすくなります。また、根茎や塊茎からの再生力がきわめて強く、刈り込みを繰り返しても容易には根絶できません。


● 生態

生育期間は5-11月で、主に地下部の塊茎で繁殖、越冬します。刈り込み環境や発生地域に左右されますが、6-10月にかけて茎の先に2-3個の小穂をつけます。種子は多く形成されますが稔実種子は少なく、種子による繁殖は少なくなります。塊茎の形成は開花期頃から旺盛になり、生育が終わるまで続きます。

● 発生環境

  • 塊茎は低温条件に対する耐性が弱いことから、その分布は比較的温暖な地域に限られます。
  • 塊茎は15-40℃の温度条件(最適30-35℃)であれば光のあるなしにかかわらず発芽が可能です。
  • 出芽深度は土壌の種類や水分量に左右されますが地表下6cm以内の発生が多くなります(最大30cm程度)。
  • 根茎で繋がった塊茎がバーチカットなどによって切断されることで、それぞれの塊茎からの萌芽率が高くなることがあります。

● 発生消長

ハマスゲ
ハマスゲの発生消長

発生時期の表記について
:発生
地域や生育環境によっては発生時期、開花時期などが異なることがあります。

● シンジェンタからのおすすめ防除法

  • 発生したら大きくなる前に早めの駆除を実施します。発生初期であれば登録のある茎葉処理除草剤での防除が可能です。
  • 除草剤の春・秋の連用処理で発生個体数を減らすことができます。
  • 芝生の造成予定地にハマスゲの発生が認められる場合はあらかじめ駆除を行ってから芝張りを行います。
  • 発生が甚だしい場合は必要に応じて抜き取りによる防除が必要になります。

● 雑草コラム

ハマスゲの間違えやすい類似種として、ヒメクグや一年生のカヤツリグサ類以外にもカヤツリグサ科スゲ属のクサスゲ、アオスゲ、またユリ科(スズラン科)のリュウノヒゲなどが挙げられます。クサスゲ、アオスゲ、リュウノヒゲは一般にスルホニルウレア系の除草剤に対する感受性が低いため、枯れ残ることがあります。相違点としては、ハマスゲやヒメクグは叢生して群落を作り、多年生であっても越冬時に地上部が枯死するのに対して、表に挙げた類似種は群落を作ることもありますが株型で常緑、冬季も地上部が枯死することはありません。また、リュウノヒゲはハマスゲと比較して葉の形が細く、葉色が濃いことも特徴になります。
ハマスゲとヒメクグも見分けにくい類似種ですが、ヒメクグは葉をこすると独特の甘い香りがすることに加えて、葉縁と裏面に刺し毛が生えるため葉先から根の側に向かって触ると少しザラザラした触感がするのに対してハマスゲの葉はヒメクグのような香りがせず、また無毛であるため滑らかです。また、ヒメクグは根茎が伸張するのみで塊茎を作りませんが、ハマスゲは地下部に膨らんだ塊茎を形成することからも見分けが可能です。

表:ハマスゲ類似種の相違点
ハマスゲ クサスゲ/アオスゲ リュウノヒゲ ヒメクグ
学名 Cyperus rotundus L. Carex rugata Ohwi/
Carex leucohlora Bunge
Ophiopogon japonicus Cyperus brevifolius var. leiolepis
科名 カヤツリグサ科 カヤツリグサ科 ユリ科(スズラン科) カヤツリグサ科
属名 カヤツリグサ属 スゲ属 シャノヒゲ属 カヤツリグサ属
越冬
時の
形状
塊茎 常緑 常緑 塊茎・種子
草型 叢生型 株型 株型 叢生型

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