トップ病害ポケットブックベントグリーンに発生する黄色いスポット

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● 病原菌

Sclerophthora macrospora , Pythium torulosum およびファイトプラズマ

● 芝種

ベントグラスをはじめとする全ての芝草

● 病徴

春から晩夏にかけてグリーンなどに直径が3センチ程度の円形で黄色いパッチが目立つことがあります。個々の植物が黄化するだけの場合と、芝が奇形になる場合があります。この場合、地上部は矮小化し黄色に変色します。また同時に過度に分げつが進み、根が短くなります。

写真(ベントグリーンに発生した黄色いスポット) 写真(ベントグリーンに発生した黄色いスポット)
ベントグリーンに発生した黄色いスポット ベントグリーンに発生した黄色いスポット
写真(奇形した罹病株(左)と健全株(右)) 写真(奇形になってない罹病株)
奇形した罹病株(左)と健全株(右) 奇形になってない罹病株

● 病原菌の生態

現在までに黄化症状と関係が疑われるものは以下の3種類があります。発生時期に違いはありますが、分けつの程度が少ない場合もあるため病徴はいずれも類似しています。またピシウムを除くと光学顕微鏡での観察は困難です。そのため病原を特定することは難しい場合が多いです。

写真(S. macrosporaの大きな卵胞子)
S. macrospora の大きな卵胞子
写真(P. torulosum の卵胞子)
P. torulosum の卵胞子
写真(ツマグロヨコバイ:上がオス、下がメス)
ツマグロヨコバイ:上がオス、下がメス

黄化萎縮病(イエロータフト) 病原菌はSclerophthora macrospora という卵菌類の糸状菌です。比較的冷涼な時期に発生します。多くのイネ科(40属85種)に感染し、最も感受性の高い芝草はスズメノカタビラです。従ってスズメノカタビラを防除してやることで伝染源を絶ち、発生量の減少を促せる可能性もあります。卵胞子の形成が稀なため土壌中での越冬は難しく、カタビラ内での感染越冬が濃厚とされています。

ピシウム性黄化スポット(仮称) 病原菌はPythium torulosum という卵菌類の糸状菌です。盛夏に発生することが報告されています。

黄萎病 病原菌はファイトプラズマというバクテリアよりも小さな微生物です。ツマグロヨコバイが媒介することが特徴で、芝を吸汁することで感染が成立し、違う植物を吸うことで病原が広がります。ツマグロヨコバイ体内で病原であるファイトプラズマが更に増殖するので防除法としてはファイトプラズマを対象とするよりもツマグロヨコバイを対象とした方が効率的と考えられています。盛夏に発生することが多く、3種類の黄化症状の中で最も叢生(そうせい:過剰分けつ)が激しい傾向にあります。
ツマグロヨコバイ:横ばいして移動しオスの羽先が黒色ということから名付けられたようです。半翅目に属し、成虫は体長4.5〜6mmで緑色。年4-5回発生し、イネ科植物を吸汁して永続的に病原菌を媒介します。

● 発生環境

黄化萎縮病とピシウム性黄化スポットは排水不良個所で多発する傾向があります。また黄萎病は河川や水田が近くにある場所で発生することが多い傾向にあります。

● 管理のコツ

  • グリーンの水はけを改善します。
  • 空気が停滞しないよう風通しをよくします。
  • 高レベルの窒素施用を避け、芝の過繁茂を防ぎます。
  • 黄化萎縮病の伝染源となるスズメノカタビラを減らします。
  • ピシウム菌に効果のある殺菌剤の施用をします。
  • 定期的に殺虫剤を散布します。

● 発生時期

図(発生時期)

発生時期の表記について
:多発生 :発生

● シンジェンタからのお奨め防除法

  • 病原の特定が難しい病害のため、毎年問題となるコースでは3種類の病害全てを対象とした取り組みをすることをお奨めします。

● 最近の話題

  • コウライシバなどの暖地型芝草でも同様の症状が問題となっているゴルフ場もあります。一度奇形(過剰分けつ)を起こした芝は正常な形態に戻ることはありません。しかし奇形芝の匍匐茎から伸びた新しい植物体には奇形は伝染しないようです。更新作業を繰り返し新芽の発生を促すことと、黄化奇形株を増やさない取り組みが重要です。
写真(コウライグリーンに発生した黄化症状)
コウライグリーンに発生した黄化症状
写真(奇形株(右)から伸びた正常株(左))
奇形株(右)から伸びた正常株(左)

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