トップ虫害ポケットブックコガネムシの被害

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 一概にコガネムシといってもゴルフ場には様々な種類のコガネムシがいるのはご存知のとおりです。また、地域性によって発生するコガネムシの種類は異なってきます。例えば、チビサクラコガネ、オオサカスジコガネなどは海岸近くの砂っぽい土壌のゴルフ場でよく見受けられますが、山沿いの地域ではあまり見受けられないかと思います。
 種類ごとに発生タイミングや越冬する形態が異なりますが、一般にコガネムシ類は、地中に産卵された卵から孵化した1令幼虫から脱皮を行うごとに大きくなり3令幼虫を経て、蛹になり、成虫となります。コガネムシの種類や気候などによって様々ですが、卵の期間は1週間から2週間、1令幼虫は10日から20日間前後、2令幼虫は20日間前後です。ヒラタアオコガネやコイチャコガネなど成虫で越冬する種類を除くほとんどのコガネムシ類は3令幼虫で越冬します。蛹期間は1週間から2週間前後となるようです。

写真(コガネムシ類による被害1)
写真1.コガネムシ類による被害1

写真(コガネムシ類による被害2)
写真2.コガネムシ類による被害2

 コガネムシ類による主な被害はもちろん幼虫による芝の根に対する食害です。もともと雑食性であるこれらのコガネムシ類は芝の根と同時に周辺のサッチなどを摂食します。しかし、1令などの若い幼虫は体が小さく摂食量も少ないため、甚大な被害をもたらすことはほとんどありません。特に被害を及ぼすのは体も大きくなった3令幼虫です。1頭当りの摂食量も多く、夏期の高温時期とも重なることが多いため乾燥害のような被害が現れやすくなります(写真1)。
 コガネムシ類の成虫は周辺のマメ科植物やコナラなどの樹木の若芽を摂食する種類と成虫は摂食しなくとも交尾、産卵する種類とがあります(表1)。ゴルフ場においては、芝だけでなく、ツツジ、フジなどの植栽に被害がおよぶこともあります。
 コガネムシ類の多くは夜行性なのですが、ウスチャコガネ、ヒラタアオコガネなどは昼行性かつ、飛翔域が地上数十センチメートルですので、プレイヤーにとって不快害虫としての位置付けもされています。

幼虫のみ摂食 幼虫・成虫が摂食
チビサクラコガネ マメコガネ
ウスチャコガネ セマダラコガネ
オオサカスジコガネ ヒラタアオコガネ
ヒメコガネ
ドウガネブイブイ
コイチャコガネ
アシナガコガネ
表1.コガネムシ類の食性1(一部)

 ベントグリーンに生息し、成虫が摂食するために地上に出て行く際、ミミズの糞塚のように盛り土をするという害もあります(写真2)。1グリーンにひとつ、ふたつなら問題はありませんが、いっせいに発生するとパッティングに支障をきたすだけでなく、そのまま刈込むと刈込み機械を傷めることにもなります。この被害を発生させる代表的なコガネムシはコイチャコガネです。
 カラスなどによる二次的被害も挙げられます。特に、ドウガネブイブイは降雨後に幼虫が地際や地上に出てくる習性があるため、カラスの標的になりやすいコガネムシです。また、芝張り箇所にコガネムシがいるとカラスは芝をめくって幼虫を突付きます。せっかく張った芝も活着しないこともよくあります。

コガネムシの亜科(例) 幼虫 成虫
スジコガネ亜科* 生植物根食 生植物葉食
コフキコガネ亜科 生植物根食 生植物葉食
センチコガネ亜科 糞食 糞食
マグソコガネ亜科 糞食 糞食
カブトムシ亜科 不朽植物質食 樹液・果実食
ハナムグリ亜科 不朽植物質食 花粉・果実食
表2.コガネムシ類の食性2(一部)

 余談かもしれませんが、甲虫類(鞘翅目)のすべてが植物の根を摂食するのではありません。特に芝の根を食害するコガネムシの種類は多くはありません。コースでよく見かけるカブトムシ、クワガタ、ツツジの花にもぐっているのをよく見かけるハナムグリなどは芝に直接的な被害を与えることはありません。芝の根を食害するコガネムシの仲間のほとんどはスジコガネ亜科に属しています。(表2)

 コガネムシ類に効果の高いネオニコチノイド系の殺虫剤は残効も長いのが特徴ですが、効果的なタイミングで散布することは薬剤の効果を最大限に引き出すことにつながります。芝に対する被害が現れるのは3令幼虫による食害が主だという事は前述したとおりです。しかし、被害が現れてからの殺虫剤散布は効果的とはいえません。3令幼虫も蛹になる準備を始めると摂食しなくなります。接触毒よりも食毒のほうが強い薬剤をこのときに散布しても、本来の殺虫剤の効果は発揮させることはできません。1令、2令の幼虫に殺虫剤を上手く食べさせるタイミング、具体的には成虫の発生ピークを過ぎたあたりにの薬剤処理が効果的なタイミングといえるでしょう。被害が現れる前の予防的な散布です。

虫コラム

 ネオニコチノイド系の殺虫剤を散布した箇所を1、2週間後に掘り返してみるとひょっとしたら幼虫がまだ生きているかもしれません。有機リン系やピレスロイド系といった即効性の殺虫剤と違い、ネオニコチノイド系の殺虫剤は虫を殺してしまうまで時間がかかります。では、散布してもすぐには食害が止まらないのでしょうか?
いえいえ、ネオニコチノイド剤が虫の体内に取り込まれると効果はすぐに現れます。神経系に作用して麻痺という形で現れ、すぐに幼虫は脚も口も動かせなくなり芝の根をかじることも出来なくなります。成虫は、卵を産むことも出来なくなります。幼虫が死に至るのは餌が食べられなくなることによる餓死が原因となります。よって、散布した所に生き残っていた幼虫というのは断食状態でなんとか生きている状態です。
コガネムシ幼虫 写真は実際にネオニコチノイド剤を散布した箇所から掘り出したコガネムシ幼虫です。動く気配すらないのは写真では分かりにくいですが、幼虫のおなかを良く見てください。真っ白なのが分かるかと思います。大好物の芝の根を食べることも出来ず、ゆっくりと死んでいくのです。

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