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第75話 生育期間が長いサトウキビに深刻な被害を与えるハリガネムシ
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第75話 生育期間が長いサトウキビに深刻な被害を与えるハリガネムシ
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サトウキビの地下の芽を食し、被害を与えるハリガネムシ
サトウキビは沖縄県や鹿児島県の奄美群島、種子島など南西諸島の基幹農作物で、現在、およそ4万haの畑で栽培されています。栽培型には、茎の節部の芽を地下に新植する「春植え(2〜3月)」および「夏植え(8〜9月)」と、収穫後の株から出芽させる「株出し」の3つの作型があります。収穫期はいずれも晩冬から早春で、栽培期間は「春植え」と「株出し」は約1年、「夏植え」は約1年半と、生育期間の長い作物です。
そのため、病害虫の被害を受けやすく、害虫だけでも日本で約170種も記録されています。なかでも問題となっているのが、地下の芽を好んで食するハリガネムシです。
ハリガネムシとはコメツキムシの幼虫の総称で、ハリガネのように長く硬いことが名前の由来です。英名でもwireworm といいます。サトウキビを加害するハリガネムシには、主にオキナワカンシャクシコメツキとサキシマカンシャクシコメツキの2種類がいます。前者は沖縄本島や鹿児島県の奄美大島、徳之島などに分布し、後者は沖縄県の先島諸島や鹿児島県の沖永良部島、与論島に分布しています。
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オキナワカンシャクシコメツキの幼虫(ハリガネムシ) |
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オキナワカンシャクシコメツキの蛹 |
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 オキナワカンシャクシコメツキ成虫
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1世代、2年と3年のグループが混在
このうち、オキナワカンシャクシコメツキは、体長15mm程度、全体が橙黄褐色ないし暗褐色の甲虫です。成虫はまったく加害しませんが、3月中旬頃から6月にかけて土の中から地上部に出てきて、サトウキビ畑などで交尾し、雌は1匹あたり500個程度の卵を土中に産卵します。
幼虫であるハリガネムシは赤褐色で表皮が硬く、老齢期には体長が3cm以上に達します。4月から6月にかけてふ化し、地中10cm前後の場所に生息しますが、加害が始まるのはふ化して1年目の秋からです。そのまま十数回脱皮を繰り返しながら、1年半から2年、土中で暮らし、羽化前年の10〜11月になると蛹化し、約2週間で地中で羽化します。羽化成虫はそのまま越冬し、翌年春の3〜6月に地上に出現、サトウキビのほ場に集まり、交尾し、地中に産卵するのです。1〜3月の冬期は、脱皮しないため、幼虫の齢の進展は見られないものの、摂食は認められています。
越冬幼虫は翌年羽化し、2年で成虫になりますが、産卵時期や土壌条件によって3年後に成虫の出現をみる個体群もみられ、1世代が2年のグループと3年のグループが混在するのも特徴です。2〜3年の幼虫は1年中加害します。
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ハリガネムシ(オキナワカンシャクシコメツキ)の一生 |
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オキナワカンシャクシコメツキとサトウキビ被害のイラストイメージ |
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フェロモンの利用と薬剤とで防除
サトウキビは、地下部から出芽した茎を大きく育て、分けつを促進させながら栽培します。しかし、土中に生息するハリガネムシが芽子部を好んで食害してしまうと、出芽しない不萌芽や、芯枯れを起こす原因ともなり、深刻な被害をもたらします。
特に、株出し栽培の場合、収穫後から3〜4月の萌芽期までの間に2〜3年の幼虫の被害が認められています。成虫発生期に生育ステージが進み、多くの成虫が産卵に集まる夏植えサトウキビ収穫跡の株出し栽培圃場に被害が多い傾向にあるので注意が必要です。
防除法としては、性フェロモン(雌の匂い)を利用して雄成虫を誘殺する方法があります。春に出現した雄成虫を性フェロモンで誘殺することで、雌との交尾頻度を下げ、産卵を抑制するのです。この場合、防除効果が顕著に現れるのは2〜3年後で、より効果を高めるためには広域に一斉に実施する必要があります。
薬剤の使用場面としては、新植の不萌芽防止のため植え付け時に、フォース粒剤などで処理します。株出し栽培の場合、不萌芽防止のため、ふ化から若齢期の6月頃、生育中のサトウキビの株元に薬剤の灌注を行う方法もあります。
また、収穫後、ほ場をよく耕起し、地中にいるハリガネムシを日光に当て、有機物を投入するなどして物理性の良い土作りをすることも防除法として重要です。
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サトウキビ畑 |
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サトウキビの被害(地下部の芽子部が食害され陥没している) |
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シンジェンタジャパン株式会社 技術顧問
2011年9月30日掲載
※製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。
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→→第76話 斑点米カメムシ発生を低減する、ほ場周辺の雑草管理
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