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第70話 ジャガイモ軟腐病の防除は、適正な施肥量から
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第70話 ジャガイモ軟腐病の防除は、適正な施肥量から
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下葉から軟化腐敗が始まるジャガイモ軟腐病
ジャガイモ軟腐病は、ばれいしょの葉・茎、土壌中の新塊茎、貯蔵中や輸送中の塊茎に発生する病害です。北海道の主要な畑作物であるばれいしょ、てんさい、小麦、豆類のうち軟腐病が発生するのは、ばれいしょだけです。一方、野菜では、たまねぎ、にんじん、だいこん、はくさい、ブロッコリー、レタスなど多くの野菜に軟腐病が発生します。
ジャガイモ軟腐病は、葉においては、最初に下葉の小葉が軟化・腐敗し、発病します。北海道十勝地方の例では7月上旬から中旬に発病が始まります。その後、腐敗は葉柄から茎にまで拡大しますが、茎が発病するのは7月下旬から8月上旬です。発病した茎は腐敗し、黒く変色し、内部組織が軟化、その後、空洞化し、全体が枯死してしまいます。一方、塊茎は、皮の表面から発病することが多く、病斑は周囲に拡大し、クリーム状に軟化、腐敗します。
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葉が地表に接したところから発病が始まり茎に進行している様子 |
発生の原因は細菌(バクテリア)で、その経路は複雑
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ジャガイモ軟腐病は、Erwinia carotovora subsp. carotovoraという細菌によって引き起こされます。発生の経路は複雑で、最初の伝染源(第一次伝染源)は、土壌や種いもに生息する軟腐病細菌だと考えられています。それは、畑の土壌、種いも、ばれいしょの茎や葉などの発病部位から検出された軟腐病細菌の中に血清学的性質が同じ軟腐病細菌の存在が確認されているためです。また、軟腐病細菌の非寄主作物を2−3年作付けした畑の土壌からも軟腐病細菌が検出されることがあるため、少なくとも3年は、土壌中で越冬・生存できるとされています。
収穫された塊茎(新塊茎)から軟腐病細菌が見つかることもあります。この場合、ほとんどが表面から見つかっています。新塊茎が軟腐病細菌に汚染される経路は3つ。1.空中浮遊状態の軟腐病細菌による汚染、2.茎葉発病部由来の軟腐病細菌による汚染、3.種いも由来の軟腐病細菌による汚染です。また、収穫後、塊茎を土中貯蔵した場合には、施設貯蔵した場合よりも軟腐病細菌の検出率が高くなっています。
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 ジャガイモ軟腐病による腐敗 が葉柄から茎へ進展している様子
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防除には不可欠なのは、多窒素栽培を避け、適正な施肥量を守ること
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現在、北海道で栽培されている主要なばれいしょの品種は軟腐病に十分な抵抗性をもっていません。軟腐病が多発すると収量やでん粉価が減少しますので、軟腐病を防除する必要があります。防除法に関する諸外国の資料では、農機具の衛生管理と消毒、健全な種いもの使用、排水の良いほ場への植え付け、適期収穫などが記載されており、これらは軟腐病を防ぐ上での基本的な留意事項だといえます。
また、窒素過剰により軟腐病の発生を助長させる恐れがありますので、適正な施肥量を守りましょう。10a当たりで窒素量7kgを標準とし、これより増やしてしまうと、小葉や茎での軟腐病の発生が増加した試験事例があります。さらに、窒素が多いと、ばれいしょが過繁茂になり、通気性が悪いことで、軟腐病が発生しやすい環境を作り出してしまうので、注意が必要です。標準施肥量は用途別品種や地域によって異なりますので、北海道施肥ガイド2010を参考にして下さい(http://www.agri.hro.or.jp/chuo/fukyu/sehiguide2010_index.html)。
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 ジャガイモ軟腐病が多発した状況
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栽培期間中に茎や葉に散布する防除薬剤については、平成23年度北海道農作物病害虫防除ガイドでは適用薬剤の系統として、1.有機硫黄(剤)、2.銅(剤)、3.生物農薬、4.抗生物質、5.合成抗細菌(剤)とされており、これらの混合剤も掲載されています。散布は薬剤耐性菌の発達を防ぐ上から同一系統の薬剤を連用しないようにすることが大切です。ジャガイモ軟腐病がばれいしょの小葉に発生し始めたら直ちに第一回目の防除を開始します。特に、下葉の発病は見落としやすいので注意しましょう。
平成23年度北海道農作物病害虫防除ガイドは、北海道病害虫防除所内に掲載されていますのでご参照ください。
http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/
シンジェンタジャパン株式会社 技術顧問
2011年4月28日掲載
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→→第71話 吸汁による被害以上にウイルス媒介が心配なアブラムシ類
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