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第66話 ホウレンソウケナガコナダニ
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第66話 ホウレンソウケナガコナダニ
 成虫(体長約0.5mm) |
ダニといってもハダニとは大違い
ホウレンソウケナガコナダニはダニの仲間であるが、農作物を加害するダニとして有名なハダニ類とは全く違った性質を持っている。まず、気門という呼吸器官がない。また、ハダニ類は植物体上で生活しているが、本種は通常土壌中や土壌に投入されている有機質資材中に生息しており、その一部が植物体に移動して加害する。さらに、ハダニ類に有効な多くの殺ダニ剤は効果が低い。すなわち、ハダニ類と同じような対策をとっていては駄目なのである。
施設栽培ホウレンソウでの重要害虫
本種は北海道、本州で分布が確認されている。キュウリ、スイカ、ピーマン、トマト、ネギ、ニンジン、キャベツ、トウモロコシ等、多くの作物の稚苗期から幼苗期に加害の報告がある。中でも被害が深刻なのは施設栽培のホウレンソウで、春と秋に被害が多い。ホウレンソウでは新芽部に寄生し、加害を受けた葉は展開するに伴って、小孔とその周囲の褐変、こぶ状の小突起、光沢をおびた縮葉等の症状を呈して奇形となり、ひどいときには芯止まりになる。また、土壌中の本種の密度が高い場合には、発芽障害を引き起こすこともある。
 ホウレンソウでの被害 |
ホウレンソウにおける防除のポイント
まず、増殖源となる稲ワラやもみがら、家畜糞堆肥等の未熟有機物の土壌への投入を控えることである。どうしても使用する場合には、できるだけ腐熟程度の進んだ堆肥を利用する。稲ワラの場合、約3カ月堆積すると本種の増殖量を15分の1程度に抑えることができる。また、ハウス内の前作の残さや間引き株も増殖源となるので、これらの除去を徹底する。
次に、本種は高温に弱いことから、蒸気消毒等の熱を利用した土壌消毒も有効である。初夏から夏の処理では、秋や翌春までに再増殖し被害が発生する可能性が高いので、多発が予想される作の直前に実施するとよい。
最後に、薬剤防除についてだが、ポイントは薬剤散布のタイミングである。収穫までの期間が35〜40日程度の春や秋には、本種は本葉4〜10葉期に深さ1cmまでの表層土で増加するとともに、ホウレンソウへの移動も増加してくる。これを未然に防止するため、薬剤散布は、2葉期と4〜6葉期に行うのが効果的である。なお、発芽期は播種前の耕耘の影響で薬液の届きにくい下層土にも本種が多く分布すること、8葉期以降は被害が発生して手遅れになることから、いずれも散布時期としては不適である。2008年6月現在、最も効果が安定すると考えられるのは、播種前のDCIP粒剤の土壌全面混和処理と、2葉期のダイアジノン・DDVP乳剤の散布、4〜6葉期のDDVP乳剤の散布を組み合わせた体系防除である。ただし、DDVP原体は2008年9月に製造が中止されるため、今後、有効な防除薬剤の早急な適用取得に期待したい。なお、薬剤のみに頼っていると高い防除効果が得られないことも多く、先に述べた耕種的防除等も組み合わせて、総合的に対策に取り組む必要がある。
奈良県農業総合センター 研究開発部 環境・安全担当 虫害防除チーム 松村 美小夜
2008年8月7日掲載
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→→第67話 耕種防除と適正な農薬で黒星病を防ぐ
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