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害虫と病気の話

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第62話 だいずのネキリムシ −タマナヤガ−

だいずが芽を出して葉っぱを広げて、さあ大きくなるぞという時に茎や葉がバッサリと切り落とされ、ひどい場合は出てきた茎の半分以上がなくなってしまう事がありませんか?これは、ネキリムシと言われている害虫の仕業です(写真-1、写真-2)。このように、だいずだけではなく多くの野菜類や花卉類の茎を切断する蛾の幼虫をまとめてネキリムシ類と呼んでいます。被害を受けた作物は一見すると根を切られたように見えるためネキリムシ(根切虫)と呼ばれています。日本にはネキリムシと言われる虫は、タマナヤガとカブラヤガ、オオカブラヤガ、センモンヤガの4種類がいます。代表的な種類はカブラヤガとここで紹介するタマナヤガ(写真-3)です。どちらも若齢幼虫は葉を食害し、齢期が進むと昼間は地中にひそみ、夜間、作物の地ぎわを切断して加害します。ここでは、だいずに大きな被害を起こすタマナヤガの発生生態と防除法についてご紹介します。

写真-1 タマナヤガによる茎の切断
写真-1
タマナヤガによる茎の切断
写真-2 タマナヤガによる大きな被害
写真-2
タマナヤガによる大きな被害
写真-3 タマナヤガ幼虫
写真-3
タマナヤガ幼虫
 

発生生態:

タマナヤガはほぼ全世界に分布し、日本でも全国的に発生します。発生量はカブラヤガと異なり地域や年次による変動が大きく、北日本ではしばしば牧草地や一般畑地、水田転換畑で大発生することがあリます。
 本種は耐寒性が乏しく西南暖地では越冬しますが、北陸地方以北では越冬できないとされていて、北日本では成虫の長距離移動により発生すると考えられています。成虫の長距離移動による発生は、圃場にフェロモントラップを付けておくとよくわかります。このフェロモントラップによる調査をすると4月の初めにはすでに成虫が飛来してきています。5月中旬に飛来のピークとなり、6月は少なくなります。そして7月には再びトラップに入る成虫が多くなりますが、これは4〜5月に長距離移動してきた次の世代と考えられます(図-1)。なぜかというと、4〜5月に産み付けられた卵から成虫になるまでの有効積算温度を計算するとちょうど7月に成虫になるからです。
 春に長距離移動により飛来した雌成虫は地面を徘徊して、牧草だけでなくイヌタデやアカザなどの雑草の地表面から1cm以内の子葉や茎に産卵します。したがって、だいずの播種前の4〜5月の畑に雑草が多い場合には本種の発生が多くなる可能性が高くなります。また、水田転換畑では畦畔に雑草があるため、必然的に畦畔際での発生が多くなります。

防除対策:

圃場に雑草が多いと産卵しやすくなるので、あらかじめ耕起や除草をして雑草がない状態にしておくことが重要です。発生量が少ない場合は、被害を受けた株元の土を掘ると幼虫が見つかるので捕殺します。毎年ネキリムシによる被害が見られる地域では、薬剤処理が必要な場合もあります。特に、だいずの播種前に雑草対策を行わなかった場合や水田転換畑の畦畔際では必ず薬剤処理を行う方が良いでしょう。
 最近、種子に塗沫処理(種子消毒)できるチアメトキサム水和剤が登録になりました。この薬剤は病害や鳥害防止を目的とした他の種子消毒剤と併用可能で、圃場での薬剤散布作業をしなくても良いため省力的です。また、タネバエやアブラムシ類にも効果が高いのでだいずの出芽や初期生育が安定します。もし、チアメトキサム水和剤による種子塗沫処理を忘れた場合は、イソキサチオン粉剤や同粉粒剤を播種時に散布して土壌と混和します。種子塗沫処理や播種時の土壌混和処理を行わず、だいずの出芽後にネキリムシによる被害が見られた場合は、イソキサチオン粉剤やイソキサチオン粒剤をだいずの株元に散布します。

図-1 フェロモントラップによるタマナヤガ誘殺消長(模式図)
図-1 フェロモントラップによるタマナヤガ誘殺消長(模式図)

秋田県農林水産技術センター農業試験場 生産環境部
主任研究員 新山 徳光

2007年3月23日掲載

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→→第63話 だいずのタネバエ

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