トップページ > 害虫と病気の話 > バックナンバー > 第61話 バレイショ疫病 シンジェンタのメールマガジンはこちら 情報満載のメルマガ登録はこちら

害虫と病気の話

文字のサイズ変更:
小さく 標準 大きく

第61話 バレイショ疫病

19世紀中頃のことです。バレイショを主食とするアイルランドで疫病が発生。全国的な大飢饉となりました。このため160万人がアメリカに渡りました。この中にはケネディ大統領の祖父もいたのです。疫病にまつわる有名な逸話です。

病徴:

地上部では主に葉に症状が出ます。その時期はバレイショの花が咲く頃です。初め、葉の表面に水浸状に褐点ができ、次第に拡大してほぼ円形の暗緑色の病斑となります。葉の裏側には白い粉状のカビがびっしり生えています。これは病原菌の胞子(分生子;ぶんせいし)です。成熟した茎に発病することとはほとんどありませんが、生育初期の茎で発病することがあります。この場合、褐色の病斑に取り巻かれた茎は折れやすくなります。激しく発病がまん延すると、畑全体が枯れあがることあります。バレイショの食用部分は「塊茎(かいけい)」です。その塊茎でも発病します。表面に黒みを帯びた凹みを生じ、内部はレンガ色〜褐色になっています。特に「塊茎腐敗」と名付けられています。疫病菌のあとに別のカビや細菌が入り悪臭を放ちます。

写真1 疫病:葉の病徴
写真1
疫病:葉の病徴
写真2 疫病:塊茎の症状
写真2
疫病:塊茎の症状
写真3 疫病:茎の症状
写真3
疫病:茎の症状

伝染経路:

この病気の第一次伝染源は種いもです。保菌している種いもを植え付けると、およそ50日後には地際部に分生子がつくられ、上の方の葉に感染して病斑をつくります。この大量の分生子こそ、まん延の主役です。分生子はその子供の遊走子(ゆうそうし)を生んで、葉の中に侵入し発病させます。一部の遊走子は雨水と一緒に土中に染みこみ、塊茎の芽のところから侵入して「塊茎腐敗」を起こすことになります。

写真4 病斑:葉の表面
写真4
病斑:葉の表面
写真5 進展病斑:退緑部分
写真5
進展病斑:退緑部分
写真6 病斑:葉の裏側
写真6
病斑:葉の裏側

発生環境:

もともと水を好むのがこの病原菌の特徴です。低温と高い湿度は分生子をたくさんつくらせ、葉への遊走子の侵入を助けます。また気温が17℃以下で、遊走子を土の中に送り込むための多量の降雨が続くと、塊茎腐敗が多発します。

防除法:

  1. 無病種いもを使用する。
  2. 開花期以降に多発するので予防的に薬剤散布を行う。
  3. 収穫期に罹病茎葉が残っていると塊茎腐敗の発生源となるので除去する。

(写真提供:社団法人 北海道植物防疫協会)

社団法人 北海道植物防疫協会
児玉不二雄

2007年3月9日掲載

● バックナンバーを見る

→→第62話 だいずのネキリムシ −タマナヤガ−

トップへ戻る このページのトップへ戻る